旅行3日目。
朝、アヌラーダプラからポロンナルワへ向かう。
旅行中、いつも車の助手席にいた。
行き交う景色を撮るにはいいのだが、予想外に疲れる。
原因は、犬。
道路上にごろんと寝ている。
かと思えば、突然起き上がって、のそのそと横切ったりする。
その度に思わず(ない)ブレーキを踏むから、気が休まらない。
インドでは、牛が同じような格好でいた。
ヒンズー教では、牛は神様だから理解できるが、スリランカの犬は神でもなんでもない。
ただの野良犬なのです。
では、なぜ、犬たちは平気で車が行き交う道路上で寝られるのか。
それはスリランカ人がみんな敬虔な仏教徒だからです。
仏教では、信者が守るべき5つの戒めがあります。
その一つが「不殺生」。
殺していけないのは人間だけではない。
動物も虫も生物すべての命を殺めてはいけません。
蚊に刺されても、叩き潰さない人がスリランカにはいると云われます。
野生の象に命を落とす人が年間100人はいるそうですが、毀された家屋や踏み荒らされた畑を修理するだけで、象を処分しようという話は決してでないのだとか。
交通の邪魔になるから犬を排除しようとは、誰も考えないのです。
こうした現実を目の当たりにすると、日本が、スリランカと同じ仏教の国であることが信じられません。
田んぼがある。
稲刈りをしてると思うと、田植えをしていたりする。
当たり前の景色のようだが、本来この辺りは乾燥地帯で、水田には不向きの土地柄だった。
稲作を可能にしたのは、紀元前5、6世紀、インドからもたらされた鉄器と灌漑技術でした。
当時の人工湖沼は今もそのまま現役で、今日の目的地ポロンナルワの繁栄は、巨大な貯水池パラークラマ・サムドラの水の恩恵によるもの、と云って差し支えないでしょう。
人工湖パラクラーマ・サムドラ、左側にポロンナルワ遺蹟がある。
パラクラーマは、12世紀にこの灌漑用貯水池を造築した王、パラクラーマ・バーフ1世の名前。
ちなみに「サムドラ」は、海を意味して、その広さ2400ヘクタール、7500ヘクタールの水田耕作を可能にさせました。
パラクラーマ・バーフ1世王は、人工湖を作るとともに、そのほとりに仏教都市を構築し、上座部、大乗、密教の三派に別れ対立していた仏教界を上座部仏教に統一します。
その王の立像が、最初の目的地。
◇石立像
土の道を歩いているつもりだったが、気が付いたら広大な一枚岩の上を歩いていた。
振り返ると、岩だということがよくわかる。
正面に高さ3.6mの男の像が立っている。
どうやら足下の岩と岩質が違うようだ。
白っぽくて、柔らかそう。
この男性立像が、パラークラマ・バーフ1世だとする根拠は、スリランカの旧10ルピー紙幣に王として印刷されていたからです。
しかし、異論もある。
両手で胸の高さに掲げているのは、ヤシの葉に書かれた仏典。
だから王ではなく、学者だとする説も有力だそうで、見出しをあいまいな「石立像」としたのは、こうした事情によるものです。
◇最古の図書館
「石立像」からほんの100mほど南のレンガ遺蹟は、ポトグル・ビハーラ。
パラークラマ・バーフ王が建て、その妃が修繕したというスリランカ最古の図書館です。
よく見かける石段前のムーンストーンと両脇のガードストーンがない。
あって当然のものがないと、何故ないのか、その理由が気になってしまう。
石段を上がると正方形の基壇に円形のレンガ造りの建物。
崩れずに残った建物の一部に湾曲を見るだけですが。
ここには、ヤシの葉に文字を書いた経典が置かれていました。
サルを見るのは初めてではないが、ちょっと多いような気がする。
追っかけまわしたり、喧嘩したり、騒々しいから目立つだけなのかも知れないが・・・