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ウォーレン・バフェット「原発を持つ電力会社には絶対投資しない」- 経済合理性がなく、癒着塗れの原子力

2014-07-10 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
ブロガーぐっちーこと投資銀行家の山口氏が、
以前バフェットに会った時の話をプレジデント誌のコラムで書いている。

投資家として恐らく世界一有名で、幾何級数的な資産増加を実現したオマハの賢人は、
「私は日本だろうとどこの国だろうと、原発を持っている電力会社には絶対に投資をしない」
と語ったということだ。決然たる口調で流石である。

我が国の、利益誘導のために国民にリスク背負い込ませカネをせびる事業者や、
利権勢力と癒着している議員連中とはまさに「格が違う」。

バフェットがそのように言う理由は「原子力を理解できないから」とのことだが、
実際に原子力はいまだに政府補助がなければ成り立たない幼稚技術で、
経済合理性がない軍事技術の副産物に過ぎないから、バフェットの判断は極めて正しい。

事実、原子力比率が世界一高いフランスの成長率は恒常的に低く、
日本では原子力比率が高まるとともに経済成長率を下げているのが実態である。
(どちらも議論の余地のない明白な事実だ)
原子力に経済合理性などある筈がない。ただのレントだ。

▽ エネルギー多消費産業の雇用創出力は極めて低く、省エネ等のサービス業より格段に劣る

『グリーン経済最前線』(末吉竹二郎/井田徹治,岩波書店)


原子力関連分野には腐臭の漂う怪しい話が多過ぎて、頭がくらくらするほどである。

「今迄は電力大手が狂ったように抵抗してカネと政治力で妨害して来た電力自由化も、
 漸くにして本格的に動き始めた。福島原発事故がなければ、
 電力利権勢力は今でも全力で電力自由化を妨げていただろう」

「電力自由化において既存の大手事業者が考えることは明白だ。
 口先で国民を欺き政治家をカネで丸め込んで原発を再稼働し、
 コストは国民にツケ回しして安い電気を癒着している大手企業に回す。
 給与も賞与も以前のような殿様経営の時代に戻って目出たし、という算段である」

「勿論、過酷事故で半永久的に故郷に帰れない被災者のことなど無視である。
 良識的な者は一部に過ぎず、大多数は以前の特権的な待遇の旨味を忘れられない。
 その内「俺たちがどうしていつまでも責められるのか」と言い出すに決まっている」

「実際、電事連会長は「安定した原子力事業運営のための環境整備」を公然と求めている。
 これは事実上、「原子力はハイリスクだから我々は賠償責任は取らない、
 国や国民にカネを払わせて自分達が儲けたい」という意味である。
 (再稼働で電力大手の収益がどれほど改善するかシミュレーションすればすぐ分かる)
 よくもこのような発言を平気でできるものである」

「良心的なメディアは、電力大手が原発再稼働を求めるのは
 日本経済のためか、国民のためか、自社の収益のためか、
 どれだと思うか世論調査を行ってみるとよい。
 圧倒的多数が「自社の収益のため」と回答する筈である」

「電力の完全自由化が進めば、東電・関電・九電・北電から電気を買うのは真っ平ご免で、
 即座に新電力に切り替えようと決めている消費者は膨大な数に上る。
 電力大手は国民から信頼されておらず、経営陣を罰しなければならないと考えているのだ」

「真に日本経済が成長するためには、原発最稼働は論外であり、
 原子力利権が占有している予算を風力発電の送電網整備に移転しなければならない。
 メガソーラーを抑制させて太陽光は自家発電・自家消費を推進しなければならない」

「そして何より、コージェネ法を制定してエネルギー効率を上げなければならない。
 過酷事故の責任から逃げようとし、再び原発利権で稼ごうとする電力大手に思い知らせるため、
 家庭や集合住宅でコージェネレーションを全力で推進し
 電力利権の収益源である小口の電力消費を急減させれば利権は死ぬ」

「日本経済は燃料消費の急減と投資増で復活する。
 利権勢力以外は皆が得するベストシナリオである」

福島原発事故が起きても彼らの行動様式が変わらないのだから、
彼らのマインドコントロールは永遠に解けないのだと考えざるを得ない。

 ↓ 参考

電力各社「事故の賠償は無理、原発費用は消費者に転嫁させろ」-証明された「原子力は高リスクでコスト高」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1b78a50c952fa6c8feb4e6ee3450b4d6

▽ 大型発電所こそ、膨大なエネルギーロスの根源である

『エネルギーを選びなおす』(小澤祥司,岩波書店)


自民・電力安定供給推進議連:再稼働審査の迅速化提言へ(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20140708k0000m020046000c.html
”自民党の電力安定供給推進議連(細田博之会長)は7日までに、原子力規制委員会の原発再稼働審査の迅速化や、将来的な原発の建て替え(リプレース)の明確化を求める提言案をまとめた。月内にも政府に提出する。同議連では、原子力規制委の安全審査の遅れに不満の声が高まっており、提言案は、同委員会の運営が改善されなければ「原子力規制委設置法の改正案も検討する」とけん制した。
 提言案は、原発停止による火力発電の燃料コスト増が年間約3.6兆円に達し、貿易赤字の拡大など経済に悪影響を与えているとして、原発の早期再稼働は「国家的急務」と指摘。原発の「安全第一主義」を前提としつつ、原子力規制委の安全審査を「効率的かつ迅速に行う必要がある」と審査のスピードアップを求めた。
〔中略〕
 同議連内では、原発周辺の活断層の認定など原子力規制委の審査手法が「独善的」との批判の声が上がっており、提言案では、原子力規制委に対し「審査の透明性を高める」ことや、有識者や原子力事業者などと「幅広くコミュニケーションし、公平・公正な判断を行う」ことを要求した。【中井正裕、笈田直樹】”

福島事故以前の腐った「安全神話」が早くも復活してきた。
こうした馴れ合いこそ我が国の原子力の「伝統」であり、
信じがたい不祥事を何度も引き起こした根源なのである。

事業者と「幅広くコミュニケーション」したら癒着になるに決まっている。
規制当局が監視対象と「幅広くコミュニケーション」したら公平性は破壊される。

そもそも貿易赤字拡大の最大の理由は「円安」なのだから、
(燃料輸入量は大して増えていない)
安倍政権の異常な金融緩和を批判するのが当然である。
規制委員会とこの議連とどちらが「独善的」と思うか、世論調査を実施すればよい。

再稼働したければ、こうした議連で無責任な放言を行う輩が
福島原発事故の賠償金を自腹で払ってから主張すべきだ。

所詮、原子力利権とそれと癒着した勢力からの票獲得を当て込んだ裏取引なのであろう。
電力業界からの献金も確実に貰っている筈である。

日本の観光業に与えられた甚大な打撃がどれほど大きかったのか、
完全に無視して税金を貰って平気でいる神経は、到底理解不可能である。

「電力大手の言う「公平」が、以前のように自らが圧倒的な市場支配力を維持し、
 殿様経営と特権待遇を得られる状態を「公平」と信じ込んでいることも明白だ」

としてきた当ウェブログの主張は、基本的に事実で裏付けられたと言える。

▽ 電力利権勢力は、有権者に隠れてこそこそ裏工作を続けている

『原発ホワイトアウト』(若杉冽,講談社)


ぐっちー氏「なぜ日経新聞を信じてはいけないか?」(プレジデント)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140710-00012924-president-bus_all
”ウォールストリートからアジア各国、そして日本の地方まで、金融と経済の現場を渡り歩いた「ぐっちー」こと山口正洋氏がナマの日本経済を語りつくす。
 アベノミクスのおかげで円安、株高になって日本経済復活の道筋が見えてきた、なんてジャーナリズムははしゃいでいますけれど、これ本当なんでしょうかね。
 実は、各種の統計数字を調べてみると、景況感が上向いてきたのは12年9~10月なのです。安倍内閣の発足は12月26日だから、要するに、アベノミクスが打ち出されるよりも前から景気は上向いていたということです。
 原因は何かといえば、民主党政権の終わりが見えたということです。
〔中略〕
 20年前、私は投資の神様、ウォーレン・バフェット氏に会ったことがあります。なぜ、超安定株である日本の電力会社の株を買わないのかと質問してみると、氏はこう答えたものです。
 「私は日本だろうとどこの国だろうと、原発を持っている電力会社には絶対に投資をしない。なぜなら、原発の仕組みはよくわからないからだ」
 これが卓見であったことは、私たち日本人が一番よく理解できるはずです。”

こちらが山口氏のコラム。
正しい指摘もあるが、誤った指摘が混在していて評価が難しい。

アベノミクス前から景況が改善していたことは正しいが、
日本株を規定するのは米株と為替であるので民主党どうこうは全く関係ない。
(麻生政権で東証が悲惨な下落を見せたことを氏はどう説明するのだろうか)

また、TPPへの評価は根本的に間違っている。
農業の産業規模が小さければ効果も小さいから期待薄である。
それよりも日本産食品の人気が高いアジアへの輸出増が見込めるRCEPの方が遥かに正しい。
コストの高い日本農業は、フランスやイタリアのような高付加価値化でなければ失敗する。

より重大な間違いとしては、NAFTAで米国は雇用を減らしているから、
関税同盟では強い産業が残るが弱い産業は縮小・淘汰されるという基本的事実を分かっていない点だ。
しかも、貿易の自由化は必ずしも成長率を高めないという驚くべき事実もある。

▽ ぐっちー氏のコラムよりこちらの本の方が遥かに質が高い
 
『TPP 知財戦争の始まり』(渡辺惣樹,草思社)


また、ホルモン剤まみれの食肉など、危険なアメリカの食の問題も理解していない。

▽ TPPは基本的に米企業の利益のためのものである

『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』(鈴木宣弘,文藝春秋)

この著者は経済リテラシーに問題があるので鵜呑みにできないが、
アメリカ側の思惑については極めて正確に捉えている。
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日本の悲惨指数は1981年以来の高水準に達した(原因は勿論アベノミクス)

2014-07-10 | 注目対象…譲渡益税分は寄付に廻して下さい
安倍内閣の最大の勘違いは、デフレ脱却が好結果をもたらすと妄想している点だ。
金融関係者としては稼ぎのチャンスなのでカネのため明言しないが
デフレ脱却は国民生活を劣化させる可能性が極めて高い。

論より証拠、二度の石油ショックで日本の成長率は改善しただろうか?
バブル経済に浮かれていた時、物価高が起きたであろうか?
事実によって反証されている程度の低いキャッチコピーを信じる人間の気が知れない。

重要なのは実質所得の上昇であり、それは愚劣なアベノミクスが原因で低下し続けている。
付和雷同で自民に投票した一般大衆は、自分の生活が改善しないどころか
改善する兆しが全くないことに漸く気付いて「騙された」と言い始めるだろう。
(軍部に掌を返した敗戦後と全く同じ状況になる)

先月ブルームバーグは、日本の悲惨指数が1981年以来の高水準に達したと報じている。
物価上昇により一般国民の生活は苦しくなっているのである。


株、「出遅れ」裏付け2要因 鈍い消費・高い悲惨指数 証券部 丸山修一(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/markets/column/scramble.aspx?g=DGXNZO7357239030062014EN1000
”上半期の最終日である30日の日経平均株価は67円高と小反発した。依然としてボックス圏での値動きから抜け出せず、最高値圏にある米国株と比べて出遅れ感も強いのはなぜか。市場や経済指標に目をこらすと、出遅…〔以下略〕”

東証は所詮、米株と為替によってほぼ決定する。
両者とも崩れたら下しかない。

「今年は外国人が日本株を評価していないこと、
 先行きが不透明であること、円安のモメンタムが弱いこと。
 こうした点は依然として変わっていない」

「加えて言えば夏枯れの前であり、米中間選挙のアノマリーもある。
 欧州はユーロ安を望んでいる。全力で買われる局面ではない」

という当ウェブログの見方は一貫して変わっていない。

  ↓ マネックス(Rakuten-sec) 343   証券は明白なダウントレンド


  ↓ UA(Rakuten-sec)    3780  いい企業だが、年初の高値を超えられない


東京建物(木曜終値で932円)もショートだろう。

  ↓ マツダ(Rakuten-sec)   マツダもショートヘッジが必要


さらに、欧州ではブント(独国債)と南欧国債の利回りが殆どない異常事態になっている。
投資家が財政の悪い南欧国債をたっぷり買っている状態であり、
リスクオフ局面に入れば何が起きるかは明白である。

▽ みずほの吉田健一郎氏は、ユーロ高局面の終わりが近いと警告している

『エコノミスト』2014年 7/8号


※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
  収益への課税分を社会に貢献する組織・団体に寄付して下さい。
  (当ウェブログの こちらのカテゴリーも御覧下さい。)
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