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法科大学院の入学者が激減、自民党政権下の文教政策の生んだ大惨事 -「場当たり教育政策」の必然の帰結

2014-07-02 | いとすぎから見るこの社会-全般
日本の教育政策論議は(大手メディアを含め)著しく水準が低く、
過去の経験から学ぶ能力が決定的に欠けている。
PISAで世界最上位を争う子供達にも遥か遠く及ばない。

現在、大方の予想通り「大惨事」となりつつあるロースクールは
自民党政権下の自由化政策の一環で、法曹人材の需要増加を見込んで設立された。

その「見込み」は見事に外れて、大量の脱落者や
ワーキングプア化した若手弁護士を生み出すことになった。

出口政策もなしに粗暴な拡張政策へと走る愚劣な行動様式だから、
黒田日銀の異次元緩和と同じく最後には破綻するしかないのは明白だ。

…そして今は、権力を握ってハッスルしている新人文科相が、
ロースクールの惨事の二の舞を演じる可能性も懸念される。

「国立大学改革プランで大学地盤沈下の食い止め」
「学生の学習時間確保や留学促進」「採用時における多面的な能力評価」
「旧態依然の大学運営、教育経営をしていたのでは厳しい国際社会の中で生き残れない」

などと浮世離れした空想的理想主義を展開しているので、
尻を叩いて留学させた学生に就職先がなく高学歴ワーキングプアになる、
トップダウン型改革の押し付けでロースクール型の大失敗を招く、といった結末が予想される。

「旧態依然」なのは、場当たり的なモグラ叩き教育政策を展開している
自民党政権であると正しく自覚していなければ、まともな政策など出る筈がない。

▽ 北欧の大学は雇用市場や産業構造変化を踏まえ教育を再構築する、粗雑で既得権の強い日本の文教政策と大違い

『スウェーデン・パラドックス』(日本経済新聞出版社)


▽ 世界中から人材を集める政策でも日本は大きく劣っている(政治の水準が低いため)

『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか―画期的な新製品が惨敗する理由』


日本の教育の最大の問題は非科学的な政治介入が多く、
失敗しても真面目に検証されないことである。

「権力とスタンドプレーが大好きな自民党が与党に返り咲いた。
 そのため日本の教育政策は更なる混迷と「猫の目」化が進むであろう」

「例えば国立大学改革を進めようとしている下村文部科学大臣は、
 産業界の要望と教育のあるべき改革とを混同しているだけでなく、
 そもそも日本の高等教育の最大の問題が、自民党政権下で進められた
 大学の粗製濫造と少子高齢化による大学経営劣化であることを全く理解していない」

「「日本の教育は世界的にレベルが高くとも、政策と教育論議は果てしなく程度が低い」
 というのが悲しい我が国の現実なのである」

「優秀な留学生を集めるのに長けている英米大学の実情や、
 積極的労働市場政策で新規雇用や専門職を創出する北欧の大学の研究もせず、
 ただ独善と産業界の要望に従って文教政策を決めているから碌な案が出てこないのだ」

としてきた当ウェブログの指摘通りの展開である。

 ↓ 参考

韓国の海外留学数が不況で激減、周回遅れで真似する日本 - 下村文科相の「改革プラン」に中身はあるのか
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ec156863a7b84978eb179622df0fb9dc‎

文科省が認可した大学でも、続々と定員割れになっている - 問題の本質は田中真紀子大臣の不認可ではない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/6839b2d4f7aa07d1ad724d2146a3415e‎

▽ 自民党政権の文教政策の大失敗により、日本の大学の半分は消滅する可能性がある

『大学破綻 合併、身売り、倒産の内幕』(諸星裕,角川書店)


法科大学院定員が激減=学生離れ、ピーク時の半分に(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014070200802
文部科学省は2日、来春の法科大学院の入学定員総数が今年より634人少ない3175人になる予定との調査結果を公表した。
〔中略〕
 定員はピーク時の5825人から約45%減となった。

 文科省によると、今年の入学者は2272人で約9割の学校が定員を下回った。44校は充足率50%以下で、来春も定員割れが相次ぐ見通し。合格率が低い24校は学生数がピーク時の1割に激減した。
 各校が学生の質確保のため合格者を絞ったことや、卒業しなくても受験資格が得られる「予備試験」の志願者が増えたことが要因とみられる。
 法科大学院は当初74校あったが、募集停止が相次ぎ、来年度学生を募集するのは54校。全校がピーク時より定員を減らしており、来年度はさらに20校が減員する。

いい加減な政策で無謀な拡張を許したからこうなったのだ。
法曹人口への需要など調査してもいないのだろう。
お粗末な文教政策の必然の結果である。


法科大学院修了の1万人「連絡取れない」(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140701-OYT1T50049.html
”法科大学院修了者のうち、大学院側が進路を把握していない人が3割を超えていることが文部科学省の調査で分かった。
 司法試験合格率が低迷し修了後も法曹になれない人が多数いる中、就職先など進路確保が急務になっており、文科省は大学院に対し、修了者をフォローして支援を強化するよう求めている。
 調査は、学生募集を停止した大学院も含む73校に昨年10月末時点での状況を聞いた。その結果、2005~12年度の8年間での修了者3万3222人のうち、45.5%の1万5122人が司法試験に合格していたが、連絡が取れない「不明」が32・3%(1万721人)と2番目に多かった。11.9%(3958人)が「司法試験の勉強中」で、6.9%(2292人)が就職していた。”

この通りの結果である。殆どの不明者は大枚はたいた末の「脱落」ではないだろうか。
自民党も文科省も誰か「総括」「批判」したのか?
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ADP雇用指標の大幅改善で「最近構築されたドルのショートポジションはいくらか危うい状況」と

2014-07-02 | 注目対象…譲渡益税分は寄付に廻して下さい
ADP雇用報告で驚くべき強い数字が出た。
その割に市場が静かなので、雇用統計を待って動くと思われる。

ADPが大幅改善した2012年11月も東証が大きく動いた。
(日本の太鼓持ちエコノミストが言うようなアベノミクス効果ではなかった)
日本経済の要因ではなく外乱要因で上に行く可能性がある。
強く続伸するとは思わないが、ロングでヘッジする必要があろう。


ドルが対主要通貨で上昇、米民間雇用の大幅増受け=NY市場(reuters)
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0PD4GA20140702
”2日終盤のニューヨーク外為市場では、米民間雇用が1年半ぶりの高い伸びになったことを受け、ドルが主要通貨に対して上昇した。
 企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)などが発表した6月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は28万1000人増加した。市場予想の20万人増を上回り、2012年11月以来の大幅な伸びを記録した。これにより3日に米労働省が発表する6月雇用統計が強い内容になるとの期待が広がり、ドルを押し上げた。
 直近のユーロ/ドルは0.2%安の1.3656ドル、ドル/円は0.3%高の101.79円。
〔中略〕
 ロイター調査によると、6月米雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比21万2000人の増加が見込まれている。
 HSBC(ニューヨーク)の通貨戦略責任者、ボブ・リンチ氏は「ADP雇用報告は事態を一変させるものではないかもしれないが、最近構築されたドルのショートポジションはいくらか危うい状況になり、3日の雇用統計に向けてドルはある程度支えられるだろう」と述べた。
〔中略〕
 欧州中央銀行(ECB)は先月、幅広い政策変更を打ち出したばかりであるため、3日の理事会であまり大きな動きは見せないとの見方が大勢。それでもユーロ高を抑えるような口先介入をするのではないかとの懸念からこの日ユーロは失速し、ユーロ/ポンドは1年半ぶりの安値に沈んだ。
 一方でポンド/ドルは一時、6年ぶりの高値をつけた。英経済指標が建設業の好調や住宅価格上昇を示し、イングランド銀行(中央銀行)による年内の利上げ観測が強まったことが背景。ただ、ADP雇用報告発表後は上値が重くなり、直近は横ばいの1.7153ドルだった。”

ポジティブサプライズを受けた市況については以上の通り。

「今年は外国人が日本株を評価していないこと、
 先行きが不透明であること、円安のモメンタムが弱いこと。
 こうした点は依然として変わっていない」

「加えて言えば夏枯れの前であり、米中間選挙のアノマリーもある。
 欧州はユーロ安を望んでいる。全力で買われる局面ではない」

という当ウェブログの見方は変わらないが、上に幾らかオーバーシュートする可能性がある。

  ↓ 輸出関連(Rakuten-sec)   ホンダ以外はどこでもOKだろう


▽ 市場は「諸行無常」の世界である。何が起きるか予想できない。

『ヘッジホッグ―アブない金融錬金術師たち』(日本経済新聞出版社)


※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
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  (当ウェブログの こちらのカテゴリーも御覧下さい。)
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