「電力不足で企業が日本から脱出する」と事実を偽って
電力会社と癒着した大企業の提灯持ちをしたメディアは反省すべきだ。
場当たりに記事を書いているから醜態を見せるのだ。
製造業の生産コストに占める電力料金の割合は僅か1~2%であり、
円高ドル安による影響の10分の1以下である。
企業のアジア移転の真因は円高と需要地との距離にある。
(企業が最も重視しているのは需要地との距離だ)
そうでもなければ電力供給が不安定である上に
日本では考えられないカントリーリスクを内包する
アジア諸国に進出しようとする筈がない。
TPPに前のめりな記事を書いている大手メディアも
所詮は他人の計算した数字を鵜呑みにしているに過ぎない。
後でその誇大宣伝が明らかになるだろう。
はっきり言っておくが、円高が長期化すれば
TPPを批准し法人税を下げようとも日本企業はアジアへ出るだろう。
彼らは利害で動いており、日本社会への義理立てなど口先だけだ。
その証拠に、彼らが国益を唱える時は必ず裏に自企業の利益が隠れている。
我が国のメディアはどうしてその程度のことを理解できないのか。
自分達が再販制度や電波利権に強硬に拘るのと同じとなぜ気づかないのか。
本当に日本の輸出産業を援護したければ、原田泰氏の主張する通り
日本円を韓国ウォンにペッグする方が遥かに効果的である。
TPPよりも迅速に、しかも衝撃的な影響が生じる。
▽ 参考まで
韓国は通貨ウォンの急変動に悩まされ幾度も為替介入を行っているので
日本が円ペッグしてくれれば為替安定に繋がり歓迎する筈だ。
日本から大量に輸入している生産財の価格高騰も鎮静させられる。
そもそも日本は製造業の生産拠点として決して悪条件ではない。
為替要因で交易条件が偏ってしまっただけの話だ。
以下のアジア諸国でのカントリーリスクを見れば明らかだ。
タイ洪水、日系320社被災…主要工業団地浸水(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20111016-OYT1T00562.htm
”【バンコク=若山樹一郎】タイで続く記録的な大洪水の被害は16日も拡大し、バ
ンコク北方のアユタヤ県の工業団地1か所が新たに冠水した。
同県に5か所ある主要工業団地すべてが洪水被害を受け、生産設備は深刻な打撃を
被った。浸水地域はバンコクの一部にも広がっており、タイ政府は政府機関や商業
施設が集中する首都中心部への流入阻止に全力を挙げている。
新たに冠水したのは、メッキ工場など日系5社も操業するファクトリー・ランド工
業団地。日系の被害企業は、自動車メーカーのホンダのほか、中小の部品メーカー
など約320社に及んでおり、生産の停止や混乱は長期化しそうだ。被害を免れた
米系自動車メーカーも、部品メーカーが被災したため操業を休止しており、東日本
大震災の影響から立ち直りつつあった世界のサプライチェーン(部品供給網)に再
び悪影響を与えている。”
→ 企業は電力供給要因だけでは設備投資しない。
あくまでも様々な要因を考慮した総合判断である。
中国のように人件費高騰で工場移転する場合もある。
▽ もともとバンコク周辺が洪水地帯であるのは周知の事実だが
韓国大規模停電 担当相が事実上の辞意表明(朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/0918/TKY201109180167.html
”韓国各地で15日に起きた大規模停電を受け、電力部門を管轄する崔重卿(チェ・
ジュンギョン)・知識経済相が18日に記者会見し、「限りない責任を感じており、
大臣のいすに執着するつもりはない」と述べた。当面は原因究明や再発防止策づく
りに努めるとしているが、対応が一段落した後に引責辞任する考えを示した形だ。
崔大臣は、停電発生の15日、残暑による電力需要の伸びを見誤り、電力会社が発
電所の整備に入っていたと説明。電力消費が6726万キロワットまで上がり各地
で供給停止になった時点での予備電力が、わずか24万キロワットだったことを明
らかにした。被害者の申告を20日から受け付け、補償を検討する方針も示した。
15日は約212万戸が停電。大企業は自家発電で対応したが、中小企業や飲食店
で被害が続出。ネット上で集団訴訟の呼びかけが広がっている。
(ソウル=中野晃)”
日本の電力会社の場合、経営陣は保身的で一般国民を軽視しているが
(彼らの顔は省庁と族議員、大口顧客にしか向いていない)
現場で電力供給を担う社員は真面目なのでこのようなことはまずない。
電気料金の安さだけを追求するとこうなるという良い例だ。
タイ洪水や韓国の大停電は安易に海外移転に走る日本企業に対し
格好の警告になる。カントリーリスクを甘く見ないことだ。
基本はリスク分散しかなく、日本にも生産拠点は残さざるを得ない。
中長期的な視野のない企業経営者にも警告しておく。
10年以内に日本円は急落し、国内生産拠点の競争力は急回復する。
それに備えて国内の工場やR&D拠点を維持しておくことだ。
電力会社と癒着した大企業の提灯持ちをしたメディアは反省すべきだ。
場当たりに記事を書いているから醜態を見せるのだ。
製造業の生産コストに占める電力料金の割合は僅か1~2%であり、
円高ドル安による影響の10分の1以下である。
企業のアジア移転の真因は円高と需要地との距離にある。
(企業が最も重視しているのは需要地との距離だ)
そうでもなければ電力供給が不安定である上に
日本では考えられないカントリーリスクを内包する
アジア諸国に進出しようとする筈がない。
TPPに前のめりな記事を書いている大手メディアも
所詮は他人の計算した数字を鵜呑みにしているに過ぎない。
後でその誇大宣伝が明らかになるだろう。
はっきり言っておくが、円高が長期化すれば
TPPを批准し法人税を下げようとも日本企業はアジアへ出るだろう。
彼らは利害で動いており、日本社会への義理立てなど口先だけだ。
その証拠に、彼らが国益を唱える時は必ず裏に自企業の利益が隠れている。
我が国のメディアはどうしてその程度のことを理解できないのか。
自分達が再販制度や電波利権に強硬に拘るのと同じとなぜ気づかないのか。
本当に日本の輸出産業を援護したければ、原田泰氏の主張する通り
日本円を韓国ウォンにペッグする方が遥かに効果的である。
TPPよりも迅速に、しかも衝撃的な影響が生じる。
▽ 参考まで
『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(原田泰,新潮社) | |
韓国は通貨ウォンの急変動に悩まされ幾度も為替介入を行っているので
日本が円ペッグしてくれれば為替安定に繋がり歓迎する筈だ。
日本から大量に輸入している生産財の価格高騰も鎮静させられる。
そもそも日本は製造業の生産拠点として決して悪条件ではない。
為替要因で交易条件が偏ってしまっただけの話だ。
以下のアジア諸国でのカントリーリスクを見れば明らかだ。
タイ洪水、日系320社被災…主要工業団地浸水(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20111016-OYT1T00562.htm
”【バンコク=若山樹一郎】タイで続く記録的な大洪水の被害は16日も拡大し、バ
ンコク北方のアユタヤ県の工業団地1か所が新たに冠水した。
同県に5か所ある主要工業団地すべてが洪水被害を受け、生産設備は深刻な打撃を
被った。浸水地域はバンコクの一部にも広がっており、タイ政府は政府機関や商業
施設が集中する首都中心部への流入阻止に全力を挙げている。
新たに冠水したのは、メッキ工場など日系5社も操業するファクトリー・ランド工
業団地。日系の被害企業は、自動車メーカーのホンダのほか、中小の部品メーカー
など約320社に及んでおり、生産の停止や混乱は長期化しそうだ。被害を免れた
米系自動車メーカーも、部品メーカーが被災したため操業を休止しており、東日本
大震災の影響から立ち直りつつあった世界のサプライチェーン(部品供給網)に再
び悪影響を与えている。”
→ 企業は電力供給要因だけでは設備投資しない。
あくまでも様々な要因を考慮した総合判断である。
中国のように人件費高騰で工場移転する場合もある。
▽ もともとバンコク周辺が洪水地帯であるのは周知の事実だが
『消費するアジア - 新興国市場の可能性と不安』(大泉啓一郎,中央公論新社) | |
韓国大規模停電 担当相が事実上の辞意表明(朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/0918/TKY201109180167.html
”韓国各地で15日に起きた大規模停電を受け、電力部門を管轄する崔重卿(チェ・
ジュンギョン)・知識経済相が18日に記者会見し、「限りない責任を感じており、
大臣のいすに執着するつもりはない」と述べた。当面は原因究明や再発防止策づく
りに努めるとしているが、対応が一段落した後に引責辞任する考えを示した形だ。
崔大臣は、停電発生の15日、残暑による電力需要の伸びを見誤り、電力会社が発
電所の整備に入っていたと説明。電力消費が6726万キロワットまで上がり各地
で供給停止になった時点での予備電力が、わずか24万キロワットだったことを明
らかにした。被害者の申告を20日から受け付け、補償を検討する方針も示した。
15日は約212万戸が停電。大企業は自家発電で対応したが、中小企業や飲食店
で被害が続出。ネット上で集団訴訟の呼びかけが広がっている。
(ソウル=中野晃)”
日本の電力会社の場合、経営陣は保身的で一般国民を軽視しているが
(彼らの顔は省庁と族議員、大口顧客にしか向いていない)
現場で電力供給を担う社員は真面目なのでこのようなことはまずない。
電気料金の安さだけを追求するとこうなるという良い例だ。
タイ洪水や韓国の大停電は安易に海外移転に走る日本企業に対し
格好の警告になる。カントリーリスクを甘く見ないことだ。
基本はリスク分散しかなく、日本にも生産拠点は残さざるを得ない。
中長期的な視野のない企業経営者にも警告しておく。
10年以内に日本円は急落し、国内生産拠点の競争力は急回復する。
それに備えて国内の工場やR&D拠点を維持しておくことだ。