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出た! 大企業の労働組合の本音「もう節電への協力はしない」- 特権的地位への驚くべき無自覚

2011-10-18 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
労働組合大手の言動を追っていくとすぐ分かることだが
労働組合は社会正義の追求者などでは全くない。

本質はエージェント、つまり利益の代弁者である。
従って政治的には圧力団体以外の何ものでもない。

それがどこよりもはっきり表れているのが官公労であるが
民間企業の労働組合大手も本質的には大差ない。

自らが雇用規制と政治力に守られた特権的地位にあること、
自社であろうが非正規労働者たちをそこから排除していること、
国民全体の利益より身内の利益を優先すること。

こうした事実を直視していないか、したくないのであろう。

トヨタ労組が「組合員や家族、地域への負担大」として
今冬と来夏の節電への協力を拒否したが、
これは殆どの労組大手の本音を示すものである。

これは勿論、悪意あるものでは全くない。
節電への貢献は多大なものがあり、組合員一人一人は善人である。
しかし、だからこそ根深い問題が潜んでいる。

製造業の労組大手が節電への協力を拒否することは、
意図に関わらず実態は特権の行使に他ならない。
「電力不足の問題は政府や電力会社の問題であり、
 我々は好きな時に必要な電力を使うのが当然の権利だ」

と宣言したも同然である。

もともと土日も休めない労働者や雇用調整に利用される期間工など
彼らは同じ日本人だと思っていないのだろう。
「一般家庭は節電して我々の企業に回してくれ」とさえ言いかねない。


日本の大手企業正社員と非正規労働者には
身分制度に近い格差があると池田信夫教授が指摘しているが
労組大手とそれ以外の一般国民の間にも深い断絶がある。
しかも、それを認識できないという自己欺瞞も深刻である。





『希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学』(池田信夫,ダイヤモンド社)


土日操業の節電を拒否 トヨタ労組「家族への負担大」(朝日新聞)
http://www.asahi.com/business/update/1015/NGY201110150015.html

”トヨタ自動車労働組合(組合員6万3千人)は15日、愛知県豊田市で開いた定期
 大会で、今冬や来夏は「土日操業」による節電協力はしない方針を明らかにした。
 今夏は電力需給が厳しくなる木金に工場を止め、余裕がある土日に動かして節電に
 協力した。「電力需要のピークを抑える効果はあったが、組合員や家族、地域への
 負担は大きく
、継続して行うのは難しい」と総括。政府や電力会社が、電力の安定
 供給に努めるべき
だと訴えた。
 日本自動車工業会の志賀俊之会長(日産自動車最高執行責任者)も、9月に同様の
 見解を示している。”

 → 正直な言葉だけに病根は深い。
   確かに製造業への負担は大きかったが、
   負担を社会全体で分かち合おうとの姿勢が希薄に過ぎる。

   日本社会の一員として電力不足に取り組むのであれば、
   季節間のピークシフトを申し出るのが当然ではないのか。
   春秋の操業日を増やし夏冬の休業を増やす位はできる筈だ。


振り替え操業効果、中部電管内電力需給ほぼ安定(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110705-567-OYT1T00076.htm

”中部電力がでんき予報を6月27日から始めて、4日で1週間が経過した。
 東海地方では、連日、猛暑が続いているが、管内の電力需給は、おおむね安定して
 おり、自動車産業の「木金休業、土日操業」が節電効果を発揮している。夏本番に
 向け、電力需要はさらに高まる見通しで、同社は引き続き節電を呼びかけている。
 27日以降、各地で最高気温が30度を上回る真夏日が続き、29日には2413
 万キロ・ワットと今夏最高を記録。ピーク時供給力に対する電力使用率は、1週間
 で最高の91・9%となり、前日発表された29日のでんき予報は初めて「(需給
 状況は)やや厳しい」となった。
 週後半は自動車業界の木、金曜日休業による節電効果が表れた。中部電力は、管内
 の自動車業界の電力需要を180万キロ・ワット程度と予想したが、トヨタ自動車
 などの各社が一斉休業した1日は、ピークの29日比で416万キロ・ワット低い
 1997万キロ・ワットまで下がった

 29日と1日を比較した最大電力の減少幅は、東京電力が約9%減にとどまったの
 に対し、中部電力は約17%減と大きく上回った。”

特に
夏期の電力消費ピークの9割は法人需要であり、
ここを減らさない限りどうしようもない。

大手企業やその正社員は頑としてその事実を認めないだろうから、
フランスのようにピーク時の電力料金を一気に引き上げれば良い。
価格メカニズムを導入すれば容易に企業行動をコントロールできる。

それが嫌なら工場の屋根一面に太陽電池を載せ自ら努力すべきだ。
高性能のCIS太陽電池なら曇天でも発電能力が高い。
中部地方なら御前崎周辺にまだまだ風車を設置する余地がある。

政府も夏冬の法人向け電力料金を引き上げ、
春秋の電力料金を引き下げて政策誘導すべきだ。
これで軽く火力発電数基分の効果はある。

▽ 問題の本質はピーク電力にあり、春秋に電気は余っている

『原発がなくても電力は足りる! 電力不足キャンペーン5つのウソ』(飯田哲也/古賀茂明/大島堅一)


東京都のガス火力発電所新設計画が愚策であるのも、
同様の理由である。無駄金を出して稼働率が下がるだけだ。
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