goo blog サービス終了のお知らせ 

mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

曇り空が快適

2025-06-09 08:50:33 | 日記
 昨日は越生の里山へ出かけた。山へ行くことだけを前日決めて、お弁当をつくって貰う。日曜日とあって人気の山はそれなりに混む。近くて、軽くて、それなりに山らしい山。これまで歩いた中の、あれこれを思い出して、一番近いかなと見立てた。もちろん電車。カミサンは高尾へ植物観察に行くというので、一緒に家を出た。
 9時40分には歩き始めていた。観光案内所で「大高取山周辺のハイキングマップ」と表題する10000分の1地形図をもらう。コースが何本も朱で記されている。そうか、これなら何度かいろいろと歩いて、わが庭にしてもいいかなと思う。これまで、と言っても昔のことは忘れてしまったから、ここ2年ほどの間に、ここへ二度来ている。ま、今回は4月に歩いたルートを辿って、次回からコースを変えてみようか。
 先を歩く人は誰もいない。歩くにつれ、何となくルートの「感触」を思い出す。この辺りで大高取山の全体が見渡せるとか、ここで沢を渡るといった身に覚えが起ち上がる。紫陽花が色とりどり、大きさもとりどりの姿を見せて、道辺に美しい。そうだ、ちょうど梅雨入り前なんだな。いい季節だね。
 空は曇っている。気温は30℃近くになると予報は注意を促していたが、風もないのに涼しい。「虚空蔵さくら公園」という標柱がある。4月には虚空蔵尊と記されたお寺に上ったが、はて、さくら公園というような広い土地は目に止まらなかった。標柱の下に、「今日6/8は公園の草刈りをします。一般の方は立入をご遠慮願います」と書いた掲示物が地面に置かれている。その先へ道は付いている。入り口だけでもみてこようと、その横道へ逸れる。
 百メートルほど緩やかな小川沿いの道を上ると、はたして、ウィーンウィーンと草刈り機の音が左手上の方から聞こえる。前方には車も止まり、何やら長机も一卓用意して飲み物やらお菓子やらを置いている。
 傍らにいた60代の男が近寄ってきて、「これから先へは……」と作業中であることを伝えようとする。
 手で制して「いやわかってます。入口だけ確認しておこうと思って」と挨拶する。
「どちらから?」
「浦和です。4月にも来たのですが、虚空蔵尊だけをお詣りして、どこにさくら公園があったのかわからなかったものですから」
「ああ、虚空蔵尊の裏側へ回ると、この公園にも出るジグザグ道があります。」
 と前置きして、この公園が地元の住民の手で整備され、年に2回草刈りをし、桜を植えたり手入れしたりしていると話す。また、地元の小学生が遠足でやってきたり、高校の部活動が手伝っていたりして、そのサポートもしていると誇らしげ。3月末から4月初めの桜の季節にまた来て下さい、ギョイコウという桜もあるのでぜひと、話が止まらない。上から草刈り機をもった人が降りてきて「お水を」と声をかけたのを汐に、お礼を言って引き上げた。
 虚空蔵尊の先から山道に入る。被さるように樹林が茂り、足元も昨日の雨で濡れている。ひときわ暗くなったように感じたが、後で考えてみると、私の目が一段と暗いところで見えにくくなっているのかもしれない。小沢を渡り桂木観音へ道を取る。ひと山巻く道の途中で、向こうからやってきた若い女の人と出会う。東吾野から来たという。とすると二山越えて来ている。なかなかの達者だ。
 桂木山の巻道を越えるとポンと舗装車道に出る。ここも紫陽花が道沿いに色を添えて気持ちがいい。4月にはここを自転車で上っている若い人に出会った。彼は途中でペダルに固定した靴が脱げ、転倒して休んでいたので言葉を交わした。長いと思っていたその急坂も、おやと思うほどすぐに終わり、桂木観音への登り口についた。
 西方を眺める展望台があり、駐車場とベンチやトイレが設置されている。道路の突き当たりでは、4月に来たとき草刈り機を回して附近の整備をしていた70男もいた。若い人と一緒に何か農機具らしきものの修理をしている。桂木観音へ上っていて振り返ると、下の駐車場に5,6人の人がやってきている。そのうちの4人が今上ってきた石段に取りついている。2歳くらいの男の子が這い上がるように手を付いて母親の前を上がる。母親はまだ歩けない子を背負って付いている。その後をばあちゃんらしき人が手荷物を下げてついてくる。観音様の御堂の木の階段を上がった子どもを抱き上げて、賽銭箱に投げ入れるように母親が言ったのであろう、手を伸ばしてからりと音がするまで、投げ入れた口を覗いている。母親が木の階段を降りるとき、2歳の子にダッコしようかというと、首を横に振る。何か言っている。「おばあちゃんがいい」と言っているようだ。ははは、背負われた妹か弟か、兄弟にかまける母親への抵抗かと思い、そうだよなあ、そういう歳だよと胸中でエールを送る。
 下の駐車場にいたやはり若い女性が、石段を上がってきてさっさと桂木山への踏路を上っていく。早い。忽ち姿が見えなくなった。何かトレーニングをしているのだろうか。それとも、そう感じるこちらが、それほどに衰えているのだろうか。そんなことを思いながら、急斜面を上がる。こちらはストックをついて四輪駆動だ。
 曇り空の日影と葉をいっぱい付けた木立の木陰が涼しくて、稜線歩きは気分がいい。思ったより早く大高取山に着いた。11時25分。大声ではしゃぐ家族連れの一団があったが、彼らは私がお昼を食べているときに出立した。他に何組もの登山者が丸太のベンチに座り、切り株のテーブルを前に、少し広い山頂の東の方と西の方をそれぞれ向いて、食事にしている。私は西の方を向き、辨当を広げる。目の前に広がる小高い山の連なりを木に彫って名前を記した表示板が設えられている。「越生アルプス」と名づけている。越上山(おがみやま)、顔振峠(こうぶりとうげ)、傘杉峠と何年か前にも歩いたことのある山脈(やまなみ)が北の皆野町方面へと続いている。小学生を連れた父母3人がやってきて、私の前方少し下の方に陣取って、これもお昼にする。その下にも、単独行の年配女性、左の方へ離れて3人の女性がお喋りしながら昼食を摂っている。そうか、今日は日曜日だと気づく。暑くもなく、もちろん寒くはない。25分も長居してしまった。
 気づくと周りの人は入れ替わり、お昼を済ませた人たちはそれぞれに散らばって出て行ったようだ。私は西山高取へ行き、そこから世界無名戦士の墓を回って越生駅へと下るコースだ。途中で、単独行の年配女性を追い越し、3人連れの親子に追いついたが、彼らは西山高取へ行かず高取山の方へ分かれて行った。西山高取は越生の町が一望できる展望台。曇っているから遠くへの見晴らしは利かないが、見えたら埼玉県の西半分は一望できる。
 無名戦士の墓へきて、拝礼する祭壇には向かわずトラバース道を通って越生神社へ下る道をとった。ひょんなところから上がってきた人がいたので、訪ねてみたら、市役所の駐車場から私の下る舗装路とは別に山道があると笑っていた。おや、13時前に越生駅に着き、電車に乗ると2分で出発。坂戸からの東上線は人身事故があって成増から先は不通であったが、地下鉄を通って横浜へ抜ける快速特急がやってきて、朝霞台までスムーズに運んでくれた。日曜日だのに坂戸駅には学生が多く、電車にも乗り込んできた。学園祭か何かあったのかもしれない。
 気持ちの良い山行になった。

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。