英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

女流棋士考 その9「女流棋士の濫造?⑤ 降級点消去条件の検証」

2023-03-24 10:48:53 | 将棋
非常に、大変、ものすごく、間が空いてしまいましたが
その1「女流棋士独断ランキング」
その2「トーナメントにおける抽選の偏り① 清麗戦予選トーナメント」
その3「トーナメントにおける抽選の偏り② 女流名人戦予選トーナメント」
その4「トーナメントにおける抽選の偏り③ その他の棋戦」
その5「女流棋士の濫造?➀ 女流棋士になる条件(女流棋士でいられる条件)」
その6「女流棋士の濫造?② 女流棋士の降級点の検証(勝率、勝数)」
その7「女流棋士の濫造?③ 女流棋士の降級点の検証…年度終了時の勝率(勝数)」
その8「女流棋士の濫造?④ 女流棋士の降級点の検証…降級点の人数の妥当性」
の続きです。

まず、降級点制度を引用。=========================
【女流棋士の降級点と引退制度について】
降級点について

・女流棋士は、年度成績の順位下位者に該当すると降級点がつきます。
・出産・病気による休場の場合は、降級点の対象外となります。
・女流棋士は、規定個数の降級点がつくと引退となります。
降級点の人数
・降級点の人数は、当該年度の起点となる4月1日現在の女流2級以上の女流棋士数を基準とします。ただし、4月1日現在の休場者数は基準人数に含みません。
・降級点の人数は、基準人数36名のときに降級点の人数を1名とし、その後は、基準人数が5名増えるごとに、降級点の人数が1名ずつ増えます。
・年度途中に自主引退者が出た場合は、降級点の人数から自主引退者の人数を引き算した数が、その年度の降級点の人数となります。
・年度途中に休場者が出た場合も、原則として、降級点の人数は変動しません。
降級点の決め方
・降級点は、女子将棋YAMADAチャレンジ杯を除く女流6棋戦における活躍度によって年度成績の順位を決定し、その順位下位者から順につきます。
・年度成績の順位を決める棋戦サイクルは、便宜上、大山名人杯倉敷藤花戦、リコー杯女流王座戦、マイナビ女子オープン、女流王位戦(予選)、岡田美術館杯女流名人戦(予選)、霧島酒造杯女流王将戦(予選)までとします。
・女流王位戦の予選免除者(前期挑戦者決定リーグ残留者)、岡田美術館杯女流名人戦の予選免除者(女流名人リーグ残留者)、霧島酒造杯女流王将戦の予選免除者(本戦シード者)は、前期の実績を活躍度とします。
・出産・病気による休場者は、休場の時期に関わらず、休場期間を含む当該年度において降級点の対象外となります。
・出産・病気以外の理由による年度単位の休場者には、年度終了時に降級点0.5がつき、0.5の降級点は2回で降級点1となります。
・出産・病気以外の理由による年度途中の休場者は、年度成績の順位下位者に該当した場合、降級点の対象となります。
・当該年度における年度成績の順位に差がない場合は、前年度の年度成績に遡って順位を決定します。前年度の年度成績でも差がない場合は、そのさらに前年度と1年ずつ遡って順位を確定します。
降級点の消し方
・女流1級の昇級規定に該当した場合、降級点を取り消すことができます。ただし、女子将棋YAMADAチャレンジ杯による昇級規定は対象となりません。
・年度内指し分け以上には、女子将棋YAMADAチャレンジ杯の成績を含まない女流6棋戦の良い所取りで6勝指し分け以上も対象となります。
・降級点の消し方について、複数の規定に該当した場合も、年度内に消せる降級点は1つとなります。
女流棋士の引退について(自主引退を除く)
・女流棋士は3つ目の降級点がつくと引退となります。
・女流棋士は65歳の誕生日を迎えた年度まで現役を続けることができます。
ただし、65歳になった年度終了時に降級点を1つも持っていない場合、翌年度も現役を続けることができます。
・女流棋士は65歳を過ぎると、降級点が1つでもつくと、その年度をもって引退となります。

===================================


《「その8」の復習》
・2021年度の成績が勝率0.333以下で降級点が付かない女流棋士が7名もいると考えられる(「その7」で降級点のボーダーラインの考察した)
通常、棋力が低い棋士は予選から参加する。当然、対戦相手も棋力が低い場合が多くなり、勝ち星を挙げるチャンスが多い(勝率0.333(7勝14敗)の竹部女流四段を例にとって検証)
・降級点の人数の設定が疑問。基準人数36人の時は降級点者1人。36人から5人増えるごとに、降級点者1人増える。例えば45人の時は降級点2人、46人の時は降級点3人となる。
 5人に1人が降級点が付くというのは、単純に考えると1勝4敗(勝率2割)で免れる計算になる……甘いのでは?
「その8」で言及しなかったが、「降級点を消せる条件」が甘く、弱くても女流棋士として延命できるというのも問題だ

 《条件が甘いかどうかの検証もしなければならないなあ?》と思ったが、「その5」で考察しているので、まず、それを引用。
【引用ここから】《降級点を消せる条件》
・女流1級の昇級規定に該当した場合、降級点を取り消すことができます。ただし、女子将棋YAMADAチャレンジ杯による昇級規定は対象となりません。
・年度内指し分け以上には、女子将棋YAMADAチャレンジ杯の成績を含まない女流6棋戦の良い所取りで6勝指し分け以上も対象となります。
・降級点の消し方について、複数の規定に該当した場合も、年度内に消せる降級点は1つとなります。

 2番目の項目は、解読不明だが、何となく甘いような気がする。
 1番目の「女流1級の昇級規定」だが、(ウィキペディアの「女流棋士の昇級」の項)
・白玲戦…女流順位戦でのC級昇級
・清麗戦…不明
・マイナビ女子オープン…本戦入り
・女流王座戦…本選入り
・女流王将戦…本選入り
・倉敷藤花戦…ベスト8
・女流名人戦…予選決勝進出
・女流王位戦…予選決勝進出
・一般女流公式棋戦…準優勝 (現在は女子将棋YAMADAチャレンジ杯のみ?)
・単年度成績…女流2級昇級以後、指し分け以上(8勝以上)
・(2021年10月1日以降の)勝数規定…昇級後40勝

 最後の項目の「勝数による昇級規定」は、降級点の消去条件には含まれないだろう。「白玲戦でのC級昇級」もどうなのか?
 他の条件も、降級点消去の条件としては、甘い。私が、抽選の偏りの拘った理由の一つである。
【引用ここまで】



 上記条件の難易度が分かりにくい……
 取りあえず、2021年度における上記の条件の該当者を挙げると、(カッコ内は昨年度通じての成績、表記「女流」は省略、段位等は当時のモノ)

白玲戦:女流順位戦でのC級昇級……加藤結初段(13勝9敗)、田中2級(6勝6敗)、山口恵二段(22勝10敗)、貞升二段(7勝14敗)(白玲順位戦は2021年10月~2022年7月開催)

マイナビ女子:本戦メンバー……※塚田初段(20勝12敗)、中澤初段(17勝13敗)、大島1級(13勝8敗)、渡部三段(26勝22敗)、里見女流四冠(40勝10敗)、里見女流初段(10勝13敗)、上田四段(26勝13敗)、※甲斐五段(16勝11敗)、※千葉四段(14勝13敗)、脇田初段(10勝13敗)、山根二段(25勝15敗)、竹部四段(7勝14敗)、香川四段(27勝16敗)、貞升二段(7勝14敗)中井六段(23勝24敗)、※伊藤三段(37勝16敗) ※は前期ベスト4より本戦シード

女流王将戦:本選入り……※加藤清麗(32勝18敗)、鈴木三段(22勝12敗)、塚田初段(20勝12敗)、本田三段(17勝12敗)、石本二段(20勝16敗)、渡部三段(26勝22敗)、矢内五段(9勝14敗)、※伊藤女流名人(37勝16敗)、※香川四段(27勝16敗)、礒谷初段(12勝13敗)、甲斐五段(16勝11敗)、山根二段(25勝15敗)、頼本初段(15勝13敗)、中澤初段(17勝13敗)、武富初段(10勝18敗)、※西山女流二冠(30勝8敗)  ※は前期ベスト4(西山は前王将)より本戦シード  第44期王将戦本戦は2022年度だが、予選は2021年度(2022年3月)に終了しているので、44期を反映させた

倉敷藤花戦:ベスト8……石本二段(20勝16敗)、山口恵二段(22勝10敗)、塚田初段(20勝12敗)、野原初段(15勝14敗)、中井六段(23勝24敗)、加藤三段(32勝18敗)、山根二段(25勝15敗)、伊藤三段(37勝16敗)

女流名人戦:予選決勝進出……上田四段(26勝13敗)、野原初段(15勝14敗)、西山女流二冠(30勝8敗)、塚田初段(20勝12敗)、山口恵二段(22勝10敗)、佐々木2級(3勝2敗)、北村初段(18勝16敗) 第49期予選決勝は予選は2021年度(2022年3月)に行われているので、49期を反映

女流王位戦:予選決勝進出……渡部三段(26勝22敗)、高浜2級(10勝13敗)、清水六段(19勝12敗)、上田四段(26勝13敗)、加藤圭二段(19勝19敗)、飯野初段(10勝12敗)山口稀2級(7勝14敗)、石本二段(20勝16敗)、中井六段(23勝24敗)、水町初段(14勝13敗)、西山三冠’(30勝8敗)、斎田五段(7勝15敗)

一般女流公式棋戦:準優勝 (現在は女子将棋YAMADAチャレンジ杯のみ?で、YAMADAチャレンジ杯は降級点消去の対象外)
(年度をまたいで予選が進行するケースが多いので、当該期が適切でないかもしれません。かなりチェックしたつもりですが、タイトルやタイトル数や段級位が当時と違っている可能性もあります)

 年度成績負け越しで、1級昇級条件(降級点消去条件)に該当する女流棋士は、けっこう多い。
 特に勝率の低い女流棋士の当該棋戦成績を調べてみると
……

白玲戦:貞升二段(年度成績 7勝14敗)……対戦相手ー○渡辺弥初段(11勝13敗)、○大島1級(13勝8敗)、●山口恵二段(22勝10敗)、●田中2級(6勝6敗)、(ここから2022年度)○相川初段(6勝15敗)、△山口絵1級(4勝13敗・21年度末で引退)、○北尾二段(4勝14敗)、○山口仁2級(9勝15敗)……強敵は山口恵二段、大島1級ぐらいで、後半4局は相手に恵まれた
マイナビ女子:竹部四段(7勝14敗)……○藤井初段(6勝11敗)、○島井二段(5勝15敗)……たった2局で相手も……「ツイている」としか言いようがない
マイナビ女子:貞升二段(7勝14敗)……○中倉宏二段(7勝15敗)、○清水六段(19勝12敗)……清水六段に勝利したのだから文句はない
女流王将:矢内五段(9勝14敗)……○室谷三段(12勝12敗)、○脇田初段(10勝13敗)……調子を落としているとはいえ室谷三段は手強い。脇田初段は今年度大活躍。
女流王将:武富初段(9勝14敗)……○藤井初段(6勝11敗)、○木村朱里アマ(2022年に女流2級)……たった2局で、相手にもかなり恵まれていた
女流王位:山口稀2級(7勝14敗)……○藤井初段(6勝11敗)、○脇田初段(10勝13敗)、北村初段(18勝16敗)、石本二段(20勝16敗)……北村、石本を含んでの4連勝は見事
女流王位:斎田五段(7勝15敗)……○渡辺弥初段(11勝13敗)、○中村真 三段(19勝16敗) (予選決勝は西山女流三冠に敗れている)……中村真梨花三段に勝利したのは評価できる

 白玲戦D級→C級昇級は良いとしても、2局で条件クリアという棋戦が多いのは問題を感じる。


 そして、降級点に大きく関与してくるのが《女流棋士の濫造》である。これまで、何回か述べてきたが、弱い女流棋士が増えると、弱い棋士同士で勝ち星を供給する図式が多くなる。2勝で1級昇級条件(降級点消去条件)クリアなので、弱い女流棋士が多いと、上記のように運に恵まれてクリアしてしまう例が増える。
 その原因として、女流育成会を終了し、研修会(将棋を通じて健全な少年少女の育成を目指すための機関&女流棋士養成機関)から編入することになりその結果、新女流棋士が続々誕生していること。
 次回は、ここ数年の新女流棋士と低成績女流棋士を検証したい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ヒーローになったはずなのに…... | トップ | “ブレーキとアクセルの踏み間... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

将棋」カテゴリの最新記事