英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

女流棋士考 その8「女流棋士の濫造?④ 女流棋士の降級点の検証…降級点の人数の妥当性」

2022-05-04 17:57:09 | 将棋
その1「女流棋士独断ランキング」
その2「トーナメントにおける抽選の偏り① 清麗戦予選トーナメント」
その3「トーナメントにおける抽選の偏り② 女流名人戦予選トーナメント」
その4「トーナメントにおける抽選の偏り③ その他の棋戦」
その5「女流棋士の濫造?➀ 女流棋士になる条件(女流棋士でいられる条件)」
その6「女流棋士の濫造?② 女流棋士の降級点の検証(勝率、勝数)」
その7「女流棋士の濫造?③ 女流棋士の降級点の検証…年度終了時の勝率(勝数)」

また、間が空いてしまったので、論旨を挙げておこう
①女流棋士が増えたが、プロと呼ぶには抵抗のある棋力の女流棋士が増えているような気がする。女流棋士誕生のハードルは妥当か?(その5
 この件については、②を検証した後、「最近の新女流棋士の成績の検証」の項を設ける予定
②女流棋士の濫造気味なので、連盟は歯止めをかけるため降級点制度を設けたが、それが妥当か?(その6その7
 取りあえず、当面、この点について掘り下げるつもり(できれば本記事で終わらせたい)


降級点制度の基本となるのが
「降級点の人数は、基準人数36名のときに降級点の人数を1名とし、その後は、基準人数が5名増えるごとに、降級点の人数が1名ずつ増えます」
 そもそも「基準人数36名」て何?
 大相撲の例を挙げると、大相撲では「十両以上を関取と呼び、そのうち十両よりも上の全ての番付が幕内となる」(“十両より上”というのが大事。つまり、十両力士は関取ではあるが幕内力士ではない)
 そして、幕内力士には定員があり、現在の定員は42人であるらしい。
 しかし、女流棋士の場合は“基準人数”で定員ではないようだ。女流棋士は当面は増え続けると予測して、それに対応するための算出システムの為に設けられた基準なのであろう。
 では、「36人」という人数はどういう根拠(基準)で決めたのだろうか?
 女子ゴルフの場合、プロテストがあり上位20位タイが合格(他にLPGAツアー大会優勝者)と決まっているが、降級点(引退勧告)はない。各大会(下部ツアーも)に賞金があり、それで予選通過しないと無報酬。引退も自己判断。
 女流棋士の場合、大会自体に賞金もあるが、対局料(負けても受け取れる)もあり、連盟がある程度生活を保障している。なので、連盟の棋戦収入やその他収入(イベント収入、グッズ販売、解説料など)から、養える女流棋士の人数が設定でき、その人数に収まるように人数を調整すべきである。
 だが、36人が連盟が考える適正な組織人数とは思えない。もしかすると、棋戦契約料や棋譜掲載料(女流棋士の対局はどれだけ掲載されるのだろうか?)などの収入と対局料や対局室や記録係の支出を純粋に考えると36人が適正なのかもしれない。ただ、女流棋士はファン獲得力が大きいので、増やしたいのかもしれない。
 そこで、現状から女流棋士を増やしたいか、減らしたいかを考えて、降級点制度を設定したのかもしれない。
 「1年間で誕生する女流棋士(ここ数年の人数の平均)」ー「年齢や体調、個人的理由(転職など)」(これをA人とする)を算出し、女流棋士を増やしたいなら「降級点による引退数」<A人、現状維持なら「降級点による引退数」=A人、減らしたいなら「降級点による引退数」>A人とすればよい。
 現状は降級点3で引退なので「降級点該当人数」=「降級点による引退数」とはならないが、何年か経てば「降級点2」の女流棋士が溜まって来るので、誤差は小さくなるだろう。


★現状の成績の視点から降級点制度の妥当性
 実際の降級点がどの女流棋士についたのか不明なので論じにくいが、勝率0.333以下で降級点が付かない女流棋士が7名いると考えられる。
 0.333以下という勝率は3局対局すると2敗以上するということ……これで良いのか?
 と思う反面、勝率0.300というのは「10局対局して3勝もする」とも考えられる。
 勝率だけを見ると、「微妙かな」と思うが……


実は、単なる勝率だけではない問題点が内包されている。
問題なのは、対局相手のレベルだ。

 棋力の高くない女流棋士は早い段階から登場する(早い段階というのは、1次予選とか予備予選)。となると、自分と同等かその周辺の強くない棋士と当たる可能性が高い。もちろん、清麗戦や倉敷藤花戦のように全棋士総トーナメントの場合は、いきなりトップ棋士とぶつかってしまうことはあるが。
 例えば、勝率0.333(7勝14敗)の竹部女流四段の場合、レーティングが1500点未満の相手が全21局中13局で6勝7敗。それ以外(レーティング1500点以上)の相手には8局で1勝7敗である(唯一の1勝も長期休場で棋力を落としている矢内女流五段)【参考:『棋士別成績一覧』サイト竹部女流四段2021年度成績
 本当なら他の女流棋士も検証すべきだが、「棋力の高くない女流棋士は早い段階(低い段階)から登場するので、それほど強くない女流棋士との対局が多い」という論理は妥当だと思う。
 妥当だとすると、棋力の高くない女流棋士でも、現棋力を維持してその棋力を発揮すれば、降級点を免れるだけの成績は上げられるということになる。

もう一つ考えなければならない事象がある。それは……
新女流棋士の濫造?
 新女流棋士のレベルについて検証する前に、降級点制度のもう一つの要素、「基準人数が5名増えるごとに、降級点の人数が1名ずつ増える」ことについて考えてみる。(こういうシステムなら「基準人数」ではなく「対象人数」とすべきだろう)
 これって、単純化すると「5人の内、最下位にならなければよい」ということ。つまり、他の4人と対局(4局)で1勝すれば、普通は最下位にはならない(この際、同率云々の理屈は省きます)。1勝3敗の勝率0.250で良いことになる。
 私としては、勝率3割をボーダーラインにしたいところだ。しかし、そうすると、「10人増えて降級点が3人増える」という処置になるが、10人増えないと降級点該当者は増えないことになる(9人までは、この降級点対象者増加システムが発動しない)。そこで、折衷案として「4人増えるごとに、降級点該当者は1人増える」を進言したい。(もちろん、進言する権威は私にはありません)
【以下、続く】

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2 コメント

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Unknown (まるーべり)
2022-07-10 11:37:17
私は上位女流棋士だけ見てます。下位女流棋士は見てないので、勉強になります。
返信する
参考にしない方が… ()
2022-07-11 15:18:41
こちらにも、コメント、ありがとうございます。

>下位女流棋士は見てないので、勉強になります。

 私の記事は、いちゃもんをつけているだけのような気もします。
(このシリーズ記事、まだ続けるつもりですが、個人的に余裕がないので、さぼっています。申し訳ありません)
返信する

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