カンボジア経済

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経済財政省 公的債務統計報告書2022春 債務状況は問題ないレベル

2022年03月22日 | 経済
 3月3日、カンボジア経済財政省は、公的債務統計報告書(Cambodia Public Debt Statistical Bulletin)第13号を公表しました。2021年12月末現在のカンボジア政府の債務状況について詳細な統計により報告しています。
 1993年から2021年12月末までの累積で見ると、借款契約の総額は、155億4587万ドル(約1兆8226億円)となっています。そのうち、82.9%がインフラ整備に向けたものです。国別では、中国が最大で54億1571万ドル(全体の34.8%)、以下、アジア開発銀行37億4326万ドル(24.1%)、日本18億5523万ドル(11.9%)、世界銀行18億20万ドル(11.6%)、韓国11億8473万ドル(7.6%)等となっています。2021年12月末の公的対外債務残高は、94億9265万ドル(約1兆1201億円)となっています。
 債務持続性分析を見てみると、公的対外債務の現在価値の対GDP比率は24.4%(基準値40%)、同対輸出比率35.6%(同180%)、債務返済比率(債務返済の対輸出比率)2.0%(同15%)、債務返済の対歳入比率7.0%(同18%)と、いずれも健全とされる基準値を大きく下回っており、全く問題ありません。ストレステストでも基準値を超えることは全くなく、対外債務については、カンボジアは大変な優等生ということができます。世界銀行・国際通貨基金の判定でも「低リスク国(青信号国)」に分類されています。
 多くの途上国が、新型コロナ対策で多額の財政支出を余儀なくされ、また、経済状況も悪化する中で、対外債務に苦しみ始めています。カンボジアは、債務の過半が日本や世界銀行・アジア開発銀行からの譲許的借款であることに加え、債務マネジメントをしっかり行ってきたため、対外債務については概ね問題ない状況にあります。また、カンボジア経済は高度にドル化しているため、この先予想されるドル金利上昇やドル高によって、いくつかの新興国で懸念が高まっている急激な債務膨張や為替レートの変動の可能性も低いと言えます。いわゆる「債務の罠」に陥る可能性は現状では低いものの、特定国に偏り過ぎないようにバランスを取りつつ、引き続き公的債務を管理していくことが必要と見られます。
(写真は、日本の円借款で整備されてきたシアヌークビル港)

経済財政省のサイト(英文及びクメール語です)
https://mef.gov.kh/documents/cambodia-public-debt-statistical-bulletin-volume-13/


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