カンボジア経済

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カンボジア RCEPの効果に期待

2022年03月08日 | 経済
 2月15日、世界銀行は、「RCEPの経済及び分配への影響に関する予測(Estimating the Economic and Distributional Impacts of the Regional Comprehensive Economic Partnership)」と題する報告書を発表しました。地域的な包括的経済連携(RCEP)協定は、関税の削減などを通じて貿易の自由化を進める協定で2020年11月に15カ国(ASEAN10か国、日本・中国・韓国・オーストラリア・ニュージーランド)が署名し、2022年1月1日に発効しました。
 この地域全体としては、既にこれまでのASEAN内及びASEANと各国と間の自由貿易協定により関税削減が進んでいたことから、RCEPの関税削減だけでは効果が薄く、2035年時点で、実質所得が0.21%向上する程度と分析しています。しかし、原産国規制の緩和や生産性の上昇を組み合わせれば、実質所得の上昇率は2.5%にまで拡大するとしています。この場合、域内の貿易は12.3%増加し、2700万人を中間層へ引き上げる効果があると見ています。
 カンボジアに関連するポイントとしては、RCEPが輸出に与える影響として、RCEPだけでも3.6%増、原産地規則の緩和・生産性向上を組み合わせれば、6.5%増となるとしています。これは、ベトナム(11.5%)、日本(8.9%)、フィリピン(8.5%)に次いで、15カ国中4番目となります。拡大が見込まれる部門は、化学品・ゴム・プラスチック(14.3%増)、木材・紙(13.8%増)、繊維(6.0%増)等です。他方、輸入品との競争激化が見込まれる食品・飲料(マイナス1.8%)、アパレル(マイナス0.8%)等は、ネガティブな影響を受けやすいと見ています。
 報告書の内容は、かなり専門的なものです。前提条件も多いものの、現時点での予測としては概ね妥当なものと見られます。カンボジアとしては、相対的低賃金と南部経済回廊を中心としたロジスティクスの改善を活用して、輸出品目・輸出先の多様化を実現し、RCEPの効果を発現させて、輸出を振興していくことが重要な課題となっていくものと見られます。
(写真は、日本が支援してきたシアヌークビル港)

世界銀行のサイト(英文です)
https://openknowledge.worldbank.org/handle/10986/37012


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