カンボジアの新型コロナウイルスの感染状況は、ワクチン接種の進展に伴い市中感染は大幅に減少していました。しかし、オミクロン株の市中感染が拡大しつつあります。2月6日の保健省の発表によれば、死者は累計3015名(1月30日から0名増)です。累計陽性者数は12万1773名(同474名増)となっています。治癒数は11万8122名(同694名増)です。先週の新規陽性者のうち、市中感染は402名、海外帰国・入国者の新規陽性は72名でした。
カンボジアで初のオミクロン株の陽性者は昨年12月14日に確認されました。当初は海外からの帰国・入国者のみでしたが、1月8日にオミクロン株初の市中感染確認が発表され、その後市中感染が拡大しています。2月6日発表で国内での市中感染は788例(1月30日から402例増)が確認されているとしています。なお、オミクロン株感染患者は、これまで強制的に隔離施設や病院での隔離治療が必要でしたが、1月21日から、自宅やホテルでの隔離が認められました。
日本政府は、2月5日以降にカンボジアから到着する入国者について、検疫所長の指定する場所での3日間待機を求めることとしました。入国後3日目に改めて検査を受けて陰性と判定されれば、検疫所が確保する指定施設を退所し、入国後 7日目までの間自宅等待機となります。これまでは、入国後は自宅又は宿泊施設で7日間待機することとなっていました。
2月4日、ファイナンシャルタイムズ紙は、「日本は水際対策見直しを ソフトパワー消失」と題する記事を掲載し、日本の鎖国政策を厳しく批判しました。同記事は、日経新聞に和訳版も掲載されています。「これだけのソフトパワーがこれほど急速に失われたことは過去にない」と指摘しています。
2月4日、フン・セン首相は、3回目、4回目の接種の促進を訴えました。また、今年上半期に、中国の支援で500万回分、カンボジア政府の購入で300万回分のワクチンの調達を決定済であり、このブースター接種に充てる計画であるとしています。
カンボジアでのワクチン接種については、世界的に見ても早いペースで接種が進んでいます。既に、5歳以上~成人についてはほぼ接種を完了しており、未接種は0歳~4歳の幼児のみと言ってもよい状況と見られます。2月5日現在で、1436万1865人への第1回接種を完了しています。これは、カンボジアの人口(約1600万人)の89.8%に相当します。成人(18歳以上約1000万人)への接種について見ると、既に目標の102.1%に第1回接種を、98.6%に2回目を完了しています。なお、中国製ワクチンの効果が不十分であることから、ブースター接種(3回目)を実施しています。2月5日現在577万6563人(うち成人506万2343人)が3回目接種を完了しています。これまでは成人のみが対象でしたが、1月3日以降、12歳~18歳に対しても3回目接種を行っており、71万4220人が接種を完了います。また、オミクロン株対策の一環として、医療関係者や軍関係等については、ファイザー製のワクチンで4回目の接種を1月14日から開始しました。2月5日現在で49万8555人が接種済です。更に、最後の接種から原則4カ月以上経過した人について、1月21日からは60歳以上、2月1日からは成人全てを対象に4回目接種を実施しています。
カンボジアでは、感染拡大に歯止めをかけるために2021年はプノンペン等のロックダウンに踏み切る等、厳しい規制を行ってきましたが、大幅緩和の方向となっています。ただ、オミクロン株の動向次第で規制が変更される可能性もあることから、十分ご留意ください。日本大使館は、「カンボジアへ入国する際や日本へ帰国の際に、入国後又は帰国時の日程に影響が及ぶ措置が導入されることも想定し予定を計画することをおすすめします。」との注意喚起を発出しています。なお、カンボジアは、医療体制が脆弱という弱点があり、いわゆる医療崩壊の懸念がありますので、引き続きマスクやアルコール消毒といった対策の継続が必要と見られます。
(写真は、プノンペン市内のブースター接種会場。あまり混んでいません。1月21日撮影)
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