書道家Syuunの忘れ物

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椿三十郎・黒澤映画の不思議さ

2007-11-27 23:07:22 | 映画鑑賞関係

映画、「椿三十郎」の名前は時に思いついた偽名であると映画の中で知った。
椿三十郎の映画では、椿が重要な位置を占めて、名前を聞かれて椿を見ながら「『椿三十郎』もうすぐ四十になるがな」と嘯く。
背景に、満開の椿の花。
黒澤映画というのはモノクロなのに色が感じられた。
そして、適役の室戸半兵衛というのは、藩随一の傑物にして剣豪。
結局藩政の意見の対立なのだが、こんな部分に剣豪の「素浪人」が入り込んでくるという妙な話。

黒澤映画では、最後の室戸半兵衛との決闘シーンの殺陣でどうして‥‥「なんで」というシーンがあった。
映画公開後、随分と問題になったが、黒澤監督も三船敏郎も何も言わなかった。

そして、常々疑問に思っているた事は、椿三十郎とは何者なのかと言うことだ。

近年歴史の時代考証に詳しくなってくると、「素浪人」ふぜいが「藩士」という支配階級になぜ食い込むのか。
しかも、どこから来たのかも知れないよそ者なのである。
何も知らない無邪気な「若侍」が物知り顔の椿を頼りにすると言うのも実は変なのである。
そして、今にして思えば、室戸半兵衛が激怒するのも無理はない。
なぜなら、藩改革に失敗しも「素浪人」には関係がない。
結局どう考えても、椿三十郎は「隠密」でしかないだろう。
今は、こういう侍の無頼漢の映画が作られなくなった。
なぜなら、現実味がない。
国の上級官僚が、フッと寄った旅人か、ホームレスに国の政策を聞くようなものだからだ。