書道家Syuunの忘れ物

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映画、小説が示す米国の10年後を歩む不思議な日本

2007-11-11 00:28:06 | 映画鑑賞関係
映画、小説が示す米国の10年後を歩む不思議な日本。
世界中で日本ほど妙な国はない。
なぜなら資本主義・消費社会でありながら社会主義を目指しているというものだ。
しかし、考えてみると日本経済が急成長した「高度成長時代」というものは、福祉社会ではなかった。
厳密には、老人福祉などは国家ではなく個人の責任に於いて行われた純粋な資本主義、自己責任の世界だった。
その上、土地の価格が安かったために結果として、土地の地上権、賃借権などの返還が難しくなく、相続税も安かった。
ところが、高度成長が終わりに近づくにつれ戦後教育を受けた人々が社会の実権を握り始めると妙なことが起こる。
その第一は、「好景気」を止めさせて「不況」に落とそうという妙な策謀だ。
基本的には、土地の高騰に対して、土地所有者及び、売却に関して高率の税をかけたり、特別土地保有税、取得税、国土法(価格規制)というような妙な法律が出来た。
これは、共産主義思想では「土地所有者」と言うものは、「打倒すべき階級」と規定されているからまず第一に狙われたと言うものである。
マッカーサーのGHQが真っ先にはじめた、「農地解放」、住宅地の「財産税(税率90%)」というのは、民政局の共産党シンパが行ったものであり、ヘレン・ミアーズは、その偏狭さを批判している。
我々が、学校の教科書で「農地解放」によって日本の農業が救われたというのは誤りで、地域のセーフティネットが外され、より農家は困窮した。
そして、それが解消したのが高度成長による都市労働者の増加である。
判りやすく言えば、「農地解放」では当時言われた単なる「三ちゃん農業」しか育たなかった。
戦後の日本経済は、戦後民主主義者によって「土地の価格」攻撃をくりかえして、バブルのハードランディングまで起こした。
一方、日本の社会というのは米国の10年後を、場合には20年後を進んでいる様に思える。


ボーイハント(1961) という映画があった。

主演はDolores Hart ドロレス・ハート(Merritt Anderws役)、 コニー・フランシス(アンジー役)の歌(同名)で有名な映画だ。
米国北部の厳格な規律の良妻賢母を作るというカトリック系の女子大の女子大生が、春休みの週末に羽根のばしフロリダに「男捜し」に行くという映画だった。
3人の美人女子大生が計画を立て、不参加と迷っていた一番美人でしっかり者のメリットは、もう一人車(オープンカー)乗れるからと車に押し込まれて参加する。
フロリダの海の若者の群れと賑わい、アイビーリーグの学生と偽って女子大生に近づく(かっこいい浮かれた)男達。
なにやら胡散臭さを薄々感じながら、将来のエリート「金持ちの妻」を夢見る女子学生。そんな状況は、30年後には確実に日本にあった。
例のコンパの女子学生暴行事件のようなことなど、映画ですでに描き出されていたのは、普遍的なことだと思い起こされる。
映画では、メリット(Dolores Hart ドロレス・ハート)その暴行事件に巻き込まれた友人に対する対処を冷静にこなすうちに、クルーザーの船員の大学生と知り合う。
ところが、その船員には妙なところがある。
やはり暴行魔の一味かと疑うが、それにしては金持ち過ぎる雰囲気がある。
そのうち、本当のアイビーリーグのHarvard大学の大金持ちの御曹司だと判るが、身分を隠したのは、御曹司と判るとロクナ女性が寄ってこない。
「本当の自分相手」を探すのが目的と明かす。
結局、東部に帰ったら再会を約束する、両親に会わせるというのが落ち‥‥
一番ボーイハントに消極的だった女性が一番高く自分を「売った」という結果になった。

しかし、その御曹司がメリットを認めたのは、清楚な美女と言うのではなくIQが138(程度)という知能の高さで、御曹司はIQ140だと言って‥‥同類と感じたらしいところが転換点になっている。

その辺は、今日本にはあるかなと言うところだ。
なぜなら、米国の個人の能力を重視するその頃風潮と違って、今の日本では、最近近世ヨーロッパ貴族社会の様に、「血統」を大事にする様だからだ。
もしそうなら、日本ではあり得ない設定かも知れない。

Dolores Hart ドロレス・ハートという女優さんは、お気に入りなのだが、調べてみたらこんな映画に出演していた。
    * 翼のリズム(1963)‥‥スチュアーデスStewardessもの
    * 脱出(1962)‥‥戦争もの
    * 剣と十字架(1961)‥‥聖フランシスカスと聖フランチェスカの純愛もの
    * ボーイハント(1961)
    * 掠奪者(1960)
    * 闇に響く声(1958)‥‥エルヴィス・プレスリーもの
    * さまよう青春(1957)
    * 野性の息吹き(1957)
Dolores Hart ドロレス・ハートという清楚な女優さんは実は、その後尼僧の映画に出た後、本当に修道院に入ってしまった人だ。(淀川長治)

小説「教授の娘」(教授の娘 The Professor's Daughter (1971)古沢安二郎訳 早川書房 )では、上流家庭の崩壊が書かれている。
娘は麻薬に溺れ、美貌の妻は同僚に寝取られ離婚を突きつけれられる。
絵に描いた様なエリート階層の崩壊は、保守派として学生に人気があった人物の苦悩を描く。
日本には、どこまで進行しているかは不明である。
少なくとも、米国ではほとんどが非正規労働者であったという時代は、日本には現実問題になりつつある。