未だに「日銀の量的緩和政策とゼロ金利政策」
を待望する無策の経済論
近年日本にも再び不況風が吹くようになって、日本の政策はこれで良かったのかと「失われた10年」以降の経済対策について分析がなされている。
「『100年に1度』の経済災禍」が起きると、円安バブルが弾けて輸出産業は大打撃を受けた。それで経済人は円安誘導を主張し、円高が悪いという論調も多かった。
しかし、その円高とは無理な円安に揺れた、揺れ戻しであることが判った。
又、金融収縮によって円安にして輸出したところで物は売れないと言う事があきらかになり「円高」是正の論調も下火である。
もっとも、経済評論によって、今まで長く続いた「円安」というのは日本が低金利政策を続け世界に「金」を供給することによる「円安バブル」だったと言う事が明白になったのは随分前のことである。
円は世界中が高金利政策を取っている時に、日本独自の低金利によるために、例えば、あの金融バブルで崩壊状態になったアイスランドでは、円のローンを組むのが常識だったほどだ。
斎藤精一郎氏・(日経BizPlusコラム)第83回「経済政策の『万能神話』を斬る――L型の長期不況に真っ正面から備えよ!」(2009/03/30)
‥‥で、斎藤先生は、
「日本経済は02年2月から07年10月まで戦後最長の景気回復を実現したが、それは95年9月以降の日銀の長いゼロ%台金利政策の効果でも、02年以降の不良債権処理スキームの効果でもない。この回復の最大の要因は、本コラムで過去何度も指摘する、03~07年の『牛(=米国)に引かれた世界同時好況』による目覚ましい外需拡大だった。」
と結論づけている。
だから、金融バブルが弾けると「外需依存型」日本経済は「『本物の内発的な回復力』に乏しいことが露呈されてしまった。」
日本のバブル崩壊による日本の経済対策というのは、逐次投入による財政政策であって、欧米諸国は、「日本の轍を踏まず」と日本の失敗を鏡としているのだが、「大々的に未知な政策が繰り出されていけば、経済を本来向かうべき方向から逸脱させるリスクも大きい。」と警告している。
そして、いわゆる「学校秀才」が習った経済理論から逸脱した政策をした場合、その効果に関して彼らは予想も付かない。
その例として、「長期のゼロ金利政策や量的緩和策は、過剰な円安を惹起(じゃっき)させ、日本の企業を過度な輸出依存症に陥らせるリスクを伴う。現に非伝統的な金融政策が日本経済を過度の輸出依存体質にし、その結果、今次危機で日本経済は過剰な衝撃を受けているではないか。」と述べている。
日本のバブル崩壊のための経済対策として行われた‥‥
ゼロ金利政策、量的緩和策、財政出動による公共事業などは、無意味だった。
無意味な経済実験と言う事である。
それで、日本政府のエコノミストは無意味だった「ゼロ金利政策、量的緩和策、財政出動による公共事業」をどうするのかと言う点で事実上の思考停止をしている。
産経新聞2009.3.28 「【主張】21年度予算成立 「デフレ」脱却をゴールに」では、
「金融がグローバル化した今日、円資金の国際的影響力は想像を絶するほど大きい。円資金は2,001年から米住宅金融の呼び水となった半面、その供給を絞った2,006年から米住宅市況が崩壊し始めたことはデータの上で証明されている。」
‥‥と低金利政策による円安と資金供給が米国の金融バブルの遠因になっていることを明かしながら、以下のような矛盾した論調を繰り返している。
「米国の金融危機対策と連動させ、日銀が量的緩和政策とゼロ金利政策に転換すれば、米金融市場の回復を早めよう。」
「日銀の量的緩和政策とゼロ金利政策」は、過度の円安バブルとその円安に便乗した「日本の企業を過度な輸出依存症」に陥らせたのは間違いなく、これが「内需主導」への転換を遅らせている原因でもある。
先の社説によると、
「デフレ病だと自己診断すれば、初めて有効な処方箋(せん)が書ける。個人消費を中心とした需要の回復である。中途半端で小出し、ごく一部の層だけが受益する対策では意味がない。たとえば国民1人当たり100万円の還付金、あるいは大型減税といった大胆で満遍ない消費刺激策を一気呵成(かせい)に実行してはどうだろうか。」
と書くのだが、そんなことなら金利を上げて「金」をばらまけとなぜ言わないのか。
今や金利は、金の貸し借りとは関係ないところにきている。
多分、こういうのはケインズ理論に合わないのだろうが、既に「日銀の量的緩和政策とゼロ金利政策」は、ケインズ理論の埒(らち)外にあると言う事を肝に銘ずる必要があるのではないか。
を待望する無策の経済論
近年日本にも再び不況風が吹くようになって、日本の政策はこれで良かったのかと「失われた10年」以降の経済対策について分析がなされている。
「『100年に1度』の経済災禍」が起きると、円安バブルが弾けて輸出産業は大打撃を受けた。それで経済人は円安誘導を主張し、円高が悪いという論調も多かった。
しかし、その円高とは無理な円安に揺れた、揺れ戻しであることが判った。
又、金融収縮によって円安にして輸出したところで物は売れないと言う事があきらかになり「円高」是正の論調も下火である。
もっとも、経済評論によって、今まで長く続いた「円安」というのは日本が低金利政策を続け世界に「金」を供給することによる「円安バブル」だったと言う事が明白になったのは随分前のことである。
円は世界中が高金利政策を取っている時に、日本独自の低金利によるために、例えば、あの金融バブルで崩壊状態になったアイスランドでは、円のローンを組むのが常識だったほどだ。
斎藤精一郎氏・(日経BizPlusコラム)第83回「経済政策の『万能神話』を斬る――L型の長期不況に真っ正面から備えよ!」(2009/03/30)
‥‥で、斎藤先生は、
「日本経済は02年2月から07年10月まで戦後最長の景気回復を実現したが、それは95年9月以降の日銀の長いゼロ%台金利政策の効果でも、02年以降の不良債権処理スキームの効果でもない。この回復の最大の要因は、本コラムで過去何度も指摘する、03~07年の『牛(=米国)に引かれた世界同時好況』による目覚ましい外需拡大だった。」
と結論づけている。
だから、金融バブルが弾けると「外需依存型」日本経済は「『本物の内発的な回復力』に乏しいことが露呈されてしまった。」
日本のバブル崩壊による日本の経済対策というのは、逐次投入による財政政策であって、欧米諸国は、「日本の轍を踏まず」と日本の失敗を鏡としているのだが、「大々的に未知な政策が繰り出されていけば、経済を本来向かうべき方向から逸脱させるリスクも大きい。」と警告している。
そして、いわゆる「学校秀才」が習った経済理論から逸脱した政策をした場合、その効果に関して彼らは予想も付かない。
その例として、「長期のゼロ金利政策や量的緩和策は、過剰な円安を惹起(じゃっき)させ、日本の企業を過度な輸出依存症に陥らせるリスクを伴う。現に非伝統的な金融政策が日本経済を過度の輸出依存体質にし、その結果、今次危機で日本経済は過剰な衝撃を受けているではないか。」と述べている。
日本のバブル崩壊のための経済対策として行われた‥‥
ゼロ金利政策、量的緩和策、財政出動による公共事業などは、無意味だった。
無意味な経済実験と言う事である。
それで、日本政府のエコノミストは無意味だった「ゼロ金利政策、量的緩和策、財政出動による公共事業」をどうするのかと言う点で事実上の思考停止をしている。
産経新聞2009.3.28 「【主張】21年度予算成立 「デフレ」脱却をゴールに」では、
「金融がグローバル化した今日、円資金の国際的影響力は想像を絶するほど大きい。円資金は2,001年から米住宅金融の呼び水となった半面、その供給を絞った2,006年から米住宅市況が崩壊し始めたことはデータの上で証明されている。」
‥‥と低金利政策による円安と資金供給が米国の金融バブルの遠因になっていることを明かしながら、以下のような矛盾した論調を繰り返している。
「米国の金融危機対策と連動させ、日銀が量的緩和政策とゼロ金利政策に転換すれば、米金融市場の回復を早めよう。」
「日銀の量的緩和政策とゼロ金利政策」は、過度の円安バブルとその円安に便乗した「日本の企業を過度な輸出依存症」に陥らせたのは間違いなく、これが「内需主導」への転換を遅らせている原因でもある。
先の社説によると、
「デフレ病だと自己診断すれば、初めて有効な処方箋(せん)が書ける。個人消費を中心とした需要の回復である。中途半端で小出し、ごく一部の層だけが受益する対策では意味がない。たとえば国民1人当たり100万円の還付金、あるいは大型減税といった大胆で満遍ない消費刺激策を一気呵成(かせい)に実行してはどうだろうか。」
と書くのだが、そんなことなら金利を上げて「金」をばらまけとなぜ言わないのか。
今や金利は、金の貸し借りとは関係ないところにきている。
多分、こういうのはケインズ理論に合わないのだろうが、既に「日銀の量的緩和政策とゼロ金利政策」は、ケインズ理論の埒(らち)外にあると言う事を肝に銘ずる必要があるのではないか。