月刊 正論12月号・「不屈の指導者に学べ」は認識不足
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![](http://img.fujisan.co.jp/images/products/1482.jpg)
月刊 正論12月号の【歴史検証】「不屈の指導者に学べ」と言うのがある。
その指導者とは、岸信介、吉田茂、山口多聞、高橋是清、桂太郎、河井継之助、北条時宗、聖徳太子。
この記述のうちで、吉田茂、聖徳太子の記述は買いかぶりすぎであるし、山口多聞、河井継之助はもう一つ大局感のところで、北条時宗は過小評価という感じがする。
先ず吉田茂の記述。
書いているのは北康利という元銀行マンだった人物。吉田茂氏の占領下における評価から始まるのだが、所詮GHQが画策した占領の7年。MacArthurとタグを組んで占領政策を推し進めたというのは動かしがたい事実である。
それで、白州次郎は講和条約締結後仕事は終わったから総理を辞めろと迫った事実がある。
それどころか、講和条約も独立にも消極的だったのが吉田茂その人であり、GHQの庇護の元の奴隷の平和を望むために警察予備隊を軍隊にしなかった。
(片岡哲也著(フーバー研究所上席研究員)・英文原著「The Price of A Constitution」(Tailor&Francis New York,Inc)、日本版「さらば吉田茂」(絶版)、復刻版「日本永久占領」(絶版)を読むとはっきり理由が書かれている。)
このことは、吉田研究によって既に明らかになっているのだが、この件は過去のエントリーは
「渡部昇一著「裸の総理たち32人の正体」‥吉田茂を擁護とは その1」
「渡部昇一著「裸の総理たち32人の正体」‥吉田茂を擁護とは その2」
で詳細を書いている。
次ぎに聖徳太子。
「高らかに民族独立を歌い上げた聖徳太子の英知」と言うのだが、実際の聖徳太子は実権がなかったと言うのは昔習ったことである。時の大実力者蘇我馬子は、冠位十二階の冠も付けなかったし、有名な「17条憲法」も実行力は持たなかったことは事実である。
但し、書いてあることの精神論であれば良しとする。
山口多聞、河井継之助の場合。
山口多聞とは、ミッドウェー海戦で第二航空戦隊司令官として戦死した海軍中将。
河井継之助は、幕末期の越後長岡藩牧野家の家老上席である。
無駄に死ななくても良かった様な人物で、詳細は後に譲る。
北条時宗の過小評価は、弘安の役において「大風が吹いて(元・高麗)連合軍の船の大半が沈んでしまう」と言うことだけが勝因ではないこと。
「防塁」、「夜になると軍船を個々におそうゲリラ戦」と言う対元軍に対する研究がなされていたという。
こんなもので、「不屈の指導者に学べ」というのはどうかなと言う部分もある。歴史上の定説も過大評価されがちな吉田茂、聖徳太子。そして過小評価されがちな北条時宗などの微妙な要素を含んでいる。
前のエントリーで述べた昔の「月刊PRESIDENT」では、冒頭から歴史から見る指導者の方法論があった。今の中身の薄い「PRESIDENT」とは大違いで、歴史の勉強にはなった気がする。
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テーミス(THEMIS)
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その指導者とは、岸信介、吉田茂、山口多聞、高橋是清、桂太郎、河井継之助、北条時宗、聖徳太子。
この記述のうちで、吉田茂、聖徳太子の記述は買いかぶりすぎであるし、山口多聞、河井継之助はもう一つ大局感のところで、北条時宗は過小評価という感じがする。
先ず吉田茂の記述。
書いているのは北康利という元銀行マンだった人物。吉田茂氏の占領下における評価から始まるのだが、所詮GHQが画策した占領の7年。MacArthurとタグを組んで占領政策を推し進めたというのは動かしがたい事実である。
それで、白州次郎は講和条約締結後仕事は終わったから総理を辞めろと迫った事実がある。
それどころか、講和条約も独立にも消極的だったのが吉田茂その人であり、GHQの庇護の元の奴隷の平和を望むために警察予備隊を軍隊にしなかった。
(片岡哲也著(フーバー研究所上席研究員)・英文原著「The Price of A Constitution」(Tailor&Francis New York,Inc)、日本版「さらば吉田茂」(絶版)、復刻版「日本永久占領」(絶版)を読むとはっきり理由が書かれている。)
このことは、吉田研究によって既に明らかになっているのだが、この件は過去のエントリーは
「渡部昇一著「裸の総理たち32人の正体」‥吉田茂を擁護とは その1」
「渡部昇一著「裸の総理たち32人の正体」‥吉田茂を擁護とは その2」
で詳細を書いている。
次ぎに聖徳太子。
「高らかに民族独立を歌い上げた聖徳太子の英知」と言うのだが、実際の聖徳太子は実権がなかったと言うのは昔習ったことである。時の大実力者蘇我馬子は、冠位十二階の冠も付けなかったし、有名な「17条憲法」も実行力は持たなかったことは事実である。
但し、書いてあることの精神論であれば良しとする。
山口多聞、河井継之助の場合。
山口多聞とは、ミッドウェー海戦で第二航空戦隊司令官として戦死した海軍中将。
河井継之助は、幕末期の越後長岡藩牧野家の家老上席である。
無駄に死ななくても良かった様な人物で、詳細は後に譲る。
北条時宗の過小評価は、弘安の役において「大風が吹いて(元・高麗)連合軍の船の大半が沈んでしまう」と言うことだけが勝因ではないこと。
「防塁」、「夜になると軍船を個々におそうゲリラ戦」と言う対元軍に対する研究がなされていたという。
こんなもので、「不屈の指導者に学べ」というのはどうかなと言う部分もある。歴史上の定説も過大評価されがちな吉田茂、聖徳太子。そして過小評価されがちな北条時宗などの微妙な要素を含んでいる。
前のエントリーで述べた昔の「月刊PRESIDENT」では、冒頭から歴史から見る指導者の方法論があった。今の中身の薄い「PRESIDENT」とは大違いで、歴史の勉強にはなった気がする。
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