書名 「ドラマチック・ロシア・in Japan」
編集責任 長塚英雄 出版社 生活ジャーナル 出版年 2012
ロシア文化フェステバルinJapan事務局がつくった第二弾。今回はもっと厚く、重くなっているので通勤中に読むにはちょっと大変だった。日本におけるロシアという切り口で、今回も多彩な執筆陣と幅広い内容になっている。ただこれだけ多彩になると内容にかなりムラがあるような気がしたし、重箱の隅をほじくっているような論考も多かったような気もした。
その中で個人的に興味深かったのが「島尾敏雄と長崎のロシア人」、「馬場佐十郎」、「帝政ロシア 長崎領事館 敷地についての法的側面」、「橘耕斎」の論考であった。
島尾とロシアと長崎という結びつきは、新鮮な切り口であり、島尾文学のこれからの研究に問題を投げかけることになるのではないだろうか。馬場佐十郎については、兄為八郎との関係も含めて、やっと本格的に取り上げてくれる人が現れたという気がした。このふたりによってロシア語事始めがはじまったと思う。長崎に行ったときかつてロシア領事館があったところにこの地はロシア領事館の敷地ですという看板が立っていたのが不思議だと思ったものだが、ここにこんなドラマがあったのかと思う。面白おかしくに橘をとりあげるのではなく、資料を読むことで橘の真の姿に迫っていく。実像に近い橘像がこれによってできあがったのではないだろうか?
日本におけるロシアについては、だいたいこれで出尽くしたのではないだろうか。今度はロシアにおける日本という切り口で論考を集めることがいいのでは。
編集責任 長塚英雄 出版社 生活ジャーナル 出版年 2012
ロシア文化フェステバルinJapan事務局がつくった第二弾。今回はもっと厚く、重くなっているので通勤中に読むにはちょっと大変だった。日本におけるロシアという切り口で、今回も多彩な執筆陣と幅広い内容になっている。ただこれだけ多彩になると内容にかなりムラがあるような気がしたし、重箱の隅をほじくっているような論考も多かったような気もした。
その中で個人的に興味深かったのが「島尾敏雄と長崎のロシア人」、「馬場佐十郎」、「帝政ロシア 長崎領事館 敷地についての法的側面」、「橘耕斎」の論考であった。
島尾とロシアと長崎という結びつきは、新鮮な切り口であり、島尾文学のこれからの研究に問題を投げかけることになるのではないだろうか。馬場佐十郎については、兄為八郎との関係も含めて、やっと本格的に取り上げてくれる人が現れたという気がした。このふたりによってロシア語事始めがはじまったと思う。長崎に行ったときかつてロシア領事館があったところにこの地はロシア領事館の敷地ですという看板が立っていたのが不思議だと思ったものだが、ここにこんなドラマがあったのかと思う。面白おかしくに橘をとりあげるのではなく、資料を読むことで橘の真の姿に迫っていく。実像に近い橘像がこれによってできあがったのではないだろうか?
日本におけるロシアについては、だいたいこれで出尽くしたのではないだろうか。今度はロシアにおける日本という切り口で論考を集めることがいいのでは。