デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

新劇とロシア演劇

2012-05-27 23:00:27 | 買った本・読んだ本
書名 新劇とロシア演劇-築地小劇場の異文化接触
著者 武田清   出版社 而立書房  出版年 2012

タイトルを見ると、正直えっという感じがする、いまどき死語ともいえるふたつの単語がくっついてしまった、しかも副題に至っては誰が知っているのだろう築地小劇場なんて、こんなことをいまさらとりあげるのはどうなのかなと最初思ってしまったことを正直に告白する。
でも中身は全然時代錯誤になっていないし、実に刺激的な論考を集めた演劇論集となっていた。
それは何故か、日本の演劇界(新劇)が、メイエルホリドのビオメハニカを、そしてエブレイノフのモノドラマをなぜあれだけ猛烈に知ろうとしたなかに、時代と演劇という宿命的な問題が透けて見えてくることもあるが、そこには演劇の手法を乗りこえた本質的な問題があったのではないかということまで迫っているからだと思う。それは日本の新劇というフィルターを一度通すことによって見えてきたものといえるかもしれない。メイエルホリドの粛清と杉本良吉と岡田嘉子のロシア脱出について、ソ連解体後新資料が次々暴かれるなか、当時いろいろ言われたことについて、岡田が永遠に伏せようとしたことにも言及しながら、その真実について迫る論考には迫力を感じた。ここまで言及した人はいないのではないだろうか。
エブレイノフのモノドラマに触れながら、救いの道化という視点から分析を試みた論考も刺激的であった。ロシアのキャバレー演劇の発生からネップ期までを緻密にたどった論考も書かれた時代は相当古いのだが、いまこれだけまとめてこうした歴史を辿れたという意味でも非常に参考になった。
そしてこれは自分にとってはまったく未知の世界だったのだが、ネップ期に書かれた戯曲の紹介分析は、面白かった。これだけ実に奥行きのある、グロテスクナ喜劇がこの時代に書かれていたということは、逆にネップ期というのはいろいろな可能性を問いかけることができた、ソビエト演劇史のなかでも、実り豊かな時代といえるのではないかという気さえしてくる。
ロシア演劇を日本の新劇がどう受けとめようとしたのかという、きわめて歴史的な切り口にみえるやりかたで、逆に歴史を超えるような本質的も問題を提出することができたのではないだろうか、だからこそメイエルホリドもエブレイノフもこの書のなかでは、実に生き生きとしていた。
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深川散策の会

2012-05-27 11:19:43 | お休み日記
昨日は22時には就寝したので、5時前に目が覚める。ベイサイドまでひとっ走り。今日は暑いくらいだ。短パンで初めて走る。今日は漂流民の会東京例会で、深川を散策することになっているのだが、このところ一箱古本市も雨だったり、なにかというと雨にたたられてきたのだが、今日はばっちり、というかちょっと暑いかも。
13時の集合前に清澄白河に着き、近くの九州ラーメンで、替え玉つきのラーメンを食べてしまう。いちばん食っちゃいかんバージョンの飯だな。
今日の参加者は5名、清澄庭園の近くの本誓寺を見学したあと、仙台堀の入り口となり、仙台の蔵屋敷があったところまで行き、そこから仙台堀をたらたら歩く。
やはりかなり暑いのだが、川際を歩いているので、風が気持ちいい。
そのあと15時に富岡八幡前で今日の慰霊碑の発見者でもある中野さんと落ち合い、慰霊碑へ。今日は骨董市を境内でやっているのでなかなか賑わっている。
慰霊碑の前で一時間ほど説明を聞いたり、拓本のやりかたのてほどきを受ける。いい体験をさせてもらった。
そのあと深川不動産に寄ってから、中野さんがよく行くという魚屋さんがやっている食堂へ。ここがなかなかいい店であった。いい会になった。
20時すぎにお開き。
21時から始まる「トンイ」には間に合わず、録画をとってもらうように家にメール。結局21時半すぎには帰宅できたのでそのまま見てしまう。なんとなく大団円が近づいている感じがする。これからがほんとうの最後の闘いにあるようだ。


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