デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

決定版私説コメディアン史

2008-04-25 15:39:44 | 買った本・読んだ本
書名 「決定版 私説コメディアン史」
著者 澤田隆治 出版社 筑摩書房(ちくま文庫) 出版年 2003年 定価 1000円(+税)

現在進んでいる澤田さんとの対談のなかで、この本のことが話題になり、そういえばこれは読んでいなかったことに気づき、あわてて購入した。去年同じちくま文庫から出た『上方芸能列伝』と同じように、文庫にするにあたって、大幅な加筆、補筆がなされている。それは対象とする相手が、芸能という生き物だから、当然のことであろう。お笑いの仕掛け人、イベントプロデューサー、いろいろな側面をもつ澤田さんだが、やはり喜劇をつくるというのが一番の原点であることを知る。少年時代朝鮮から引き揚げてきた澤田さんは、貪るように喜劇映画を見ていた。このとき見たエノケンやロッパの映画が、テレビのディレクターとしての原点であった。その意味で、この本がエノケンから始まるのはよく分かる。それから朝日放送に入社し、演芸番組のディレクターを志願し、まわりからあきれられながら、数多くの喜劇人たちと一緒に仕事をするなかで、驚異的な視聴率をとった「てなもんや三度笠」さらには「花王名人劇場」という名作をつくっていく。実際の制作現場で一緒に仕事をしたコメディアンたちの素顔、笑いをつくるためにいかに必死になっていたかが、愛情込めて描かれる。「上方芸能列伝」がそうであったように、この本も澤田さんでしか書けない本である。
決定版には三つのあとがきがおさめられている。「私説コメディアン史」、「定本私説コメディアン史」、そして本書決定版のためのあとがきである。それを読み比べていくと、澤田さんのその時点での喜劇、コメディアンに対するスタンスがよくわかる。それは澤田さんが映画館のなかや劇場のなかで見、戦後の喜劇ブームのなかで、新たなメディアとなったテレビという現場でつくってきた喜劇、そしてそれを演じていたコメディアンたちが、すでにそのかたちを失くそうとしていることの認識である。笑いがかたちを変えることはテレビの現場で生きてきたからこそわかってはいるが、でもコメディアンということにこだわり生きてきた人たちへの愛惜には限りないものがある。だからこそ澤田さんは、古いプログラムやチラシ、台本などを集めながら、残そうとしているのだと思う。その意味で、この決定版のために全面改筆となった「さて、どうするコメディアン」のなかで、「たとえ一人になってもコメディーを続ける、そんなコメディアンがいるかぎり、私はコメディアンを見捨てられないのだ」と書くのだろう。
確かに芸人という名のもとで、お笑いタレントがテレビのなかに氾濫しているが、コメディアンと呼ぶことができるタレントさんはいるのだろうか・・・
満足度 ★★★★


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ストレンジフルーツ

2008-04-25 01:14:15 | お仕事日誌
今日は絶対に返事が来ると思っていたのに、返事なし。朝からがっくり。気を取り直して、サーカス村通信の発送作業。今回はカンボジアサーカスフェスティバル存続のための募金活動がメイン。西田さんは、ひとりひとりに直筆でお願いの手紙を書いている。普通の人ではできないことだ。熱情を感じる。ということで今回の発送作業はまさに手作業となる。GWの仕事の荷物の件で電話で確認作業。ローマからメール。いろいろあるようだ。会社を18時過ぎに出て、ヒルズへ。今日はストレンジフルーツの初演。出だしトラブルがあったようだが、なんとなくクリアー。しかしこのパフォーマンスはよく考えられている。シンクロではなく、ひとりひとりのパフォーマーがそれぞれの顔を持っていることで、演技が成り立っている。ただ空中に浮遊しているだけではない、演じ手ひとりひとりが、自分のキャラクターを演じていること、それであの不思議空間が生まれるのだと思う。

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