英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・假定法の讀み方 (20) ミックス型

2011-08-31 | 英文法ミニ解説

15 「ミックス型」: ≪假定法過去完了・假定法過去≫

  この項では、假定法過去完了と假定法過去が一緒に使はれる文を扱ひます。大きく分けて二種類あり、ひとつはそれぞれの假定法の時制に對應した内容を表はすもの、もうひとつは略式で、假定法過去完了とすべきところを假定法過去で濟ませるものです。例文で説明する方がわかりやすいと思ひますので、上述の二種類を15.1 と15.2 に分けて例文を添へて解説いたします。

 

15.1  それぞれの假定法の時制に對應した内容を表はすもの

 

  15.1.1if 假定法過去完了の條件節・假定法過去の歸結節>

15.1.1  If I had caught the train, I would be in Tokyo now.

         もし列車に間に合つてゐたら、今頃は東京にゐるんだらうが。

 

  次は條件節が後置されるケースです。

15.1.1  He would still be alive today if he hadn't taken that drug.

         彼があの藥を服用しなかつたなら、彼は今でも生きてゐるだらう。

 

  15.1.2if 假定法過去の條件節・假定法過去完了の歸結節>

    過去も現在も變はらない事實(例文では「私は男ではない」こと)を述べる時は假定法過去を使ふ方がふつうであるとされます。

15.1.2  If I were a man, I would have fallen in love with her, too.

         もし私が男なら、私も彼女に戀してしまつたことだらう。

 

15.2  略式で、假定法過去完了とすべきところを假定法過去で濟ませるもの

 

  15.2.1if 假定法過去の條件節・假定法過去完了の歸結節>

  このかたちはアメリカ英語で見られることがあります。

15.2.1  If I knew you were coming I'd have baked a cake.

         あなたがいらつしやると知つてゐたらケーキを燒いたのに。

 

 

[用例 1]  15.1  それぞれの假定法の時制に對應した内容を表はすもの

 

 

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake)

 

1  I just had an interesting thought.

  「興味深いことを思ひついたんです」

1  What?

  「何だ?」

2  There wouldn’t be any tall buildings in the world if they hadn’t invented the elevator.

  「エレヴェイターが發明されなかつたら、世界に高層ビルはないでせうね」

2  You interrupted me for that?!

  「そんなことで私の話を邪魔したのか?!

3  Why don’t you continue by telling us what color socks you’re wearing?!

  「何色の靴下をはいてゐるかをワシらに言つて(おまへの話を)續けたらどうだ?!

3  Let’s see…gray? No, looks like blue.

  「ええと...灰色?イヤ、青みたいだ」

 

 

[用例]  15.2  略式で、假定法過去完了とすべきところを假定法過去で濟ませたものと考へられます(もしくは、Dagwoodが變はらず下手である前提で、if節に直説法現在を使つて述べてゐるのかもしれません)。

 

 

 (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake)

 

1  What’s wrong? Are you upset about your score?

  「どうしたんだ?スコアのことでむしゃくしゃしてるのかい?」

1  No, I just feel guilty.

  「イヤ、ただ氣がとがめてるんだ」

2  I’m not being fair to Blondie.

  fair「公平な」「公正な」

  Blondieに対して惡くつてなあ」

3  I work all week long and then spend six hours on Saturday on the golf course.

  「ぼくは一週間ずつと働いて、それから土曜日に6時間ゴルフ・コースで過ごす」

4  If you hit your ball where you’re supposed to, you would’ve been home two hours ago.

  hit(過去形)が假定法過去完了の略式で、areは直説法、would’ve beenが假定法過去完了の歸結のかたちです。

  be supposed to-不定詞(~):「~することになつてゐる」「~しなければならない」

  「君が打つべきところにボールを打つてたら(/打つ腕前があれば)、歸宅は2時間早かつただらうね」

 

 

  2011年5月18日から毎週水曜日に連載してきました假定法の解説は今囘でをはりです。長らくのおつきあひありがたうございました。

  とかく難しいとされる假定法ですが、拙稿『假定法の讀み方(1)~(16)』で基本の型が網羅されてゐます。まづは諳誦例文として掲げた10文を徹底暗記して基本の型を習得されると、假定法がわかりやすくなると思ひます。

 

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