英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・青山學院大學 2010 (7) 5パラ

2011-08-29 | 出題英文讀解

【第5パラグラフ】

5.1  How much will the demand for electricity increase if all of the 74.1 million passenger cars registered in Japan as of the end of fiscal 2006 were to be replaced by battery vehicles?

 

【讀解のポイント-かたちからのアプロウチ】

・條件節のみが「ifwere to」型の假定法になつてゐます。條件節の主語が長いため讀みづらくなつてゐます。「ifwere to」型假定法の詳細については2011年7月13日付の拙稿をご覽ください。

 

[語句]

5.1

 

register

アクセント注意

5.1

 

as of

~現在で / ~現在の

 

[意味] 5.1  假に、2006會計年度末現在(で)日本で登録されてゐる7410萬台の乘用車のすべてが電氣自動車に置き換へられたとすると、電力需要の増加はどれほどであらうか。(←「電力増加の要求」)

 

5.2  Based on the statistics mentioned above, the increase would be 74.1 billion kilowatt-hours, which is equivalent to only 12.8 percent of the total power sales of 580 billion kilowatt-hours recorded in fiscal 2007.

 

【讀解のポイント-かたちからのアプロウチ】

・過去分詞で始まる分詞の句(分詞構文)が先頭に置かれ、假定條件を含んでゐます。2011年8月17日に投稿した記事「13 いろいろな條件の示し方」の例文13.3.5 や漫畫が類例になります。

 

mentioned~ や recorded~ は過去分詞の句による説明が後置されたものです。

 

[意味] 5.2  上述の統計に基くなら、その増加は741億キロワット時で、それは2007會計年度に記録された5800億キロワット時といふ電力總賣上のわづか12.8パーセントに相當するだけである。

 

5.3  If the price of crude oil is to soar to more than $200 per barrel by 2030, as is forecast by the International Energy Agency, there is every reason to encourage replacement of gasoline engines with batteries from the standpoint of ensuring Japan’s security in energy supply.

 

 

【讀解のポイント-かたちからのアプロウチ】

・<beto-不定詞>: <beto-不定詞>は意味がはつきりしませんが、意味は「豫定・運命・義務・意圖・可能」などの手がかりを使ふと見當がつきます。不定詞は「これからのこと」を指すのが基本ですから「~することになつてゐる」といつた譯文をあてはめて文意をさぐることもできます。これが假定法過去で表現されると、5.1にあつた「ifwere to」型となるわけです。

 

, as is ~の asは「擬似關係代名詞」です。2011年5月23日付の拙稿に例文があります。

 

[語句]

5.3

 

every reason to-不定詞

~するだけの十分な理由

5.3

 

from the standpoint of

~の見地からすれば / ~の觀點から

 

[意味] 5.3  もし原油價格が、IEA(國際エネルギー機關)により豫告されるやうに、2030年までに1バーレルあたり200ドル以上にはね上がることになるなら、エネルギー供給における日本の安全を保障する見地からすれば、ガソリンエンジンを蓄電池と置き換へるやう獎勵するだけの十分な理由がある。

 

 

[用例]  be + to-不定詞

 

 

 (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake)

 

1  Our employees don’t spend enough time at their jobs.

  「うちの從業員は仕事に十分な時間を費やしてないんだ」

2  They’re always wandering off somewhere.

  ・現在進行形には、alwaysなどを伴つて反復的動作を表はし、「いつも~してゐて困つたもんだ」といつた非難の意味を込める用法があります。ここはそのニュアンスを嗅ぎとるべきでせう。

  「彼らはいつだつて持場を離れてどこかをうろついてるんだよ」

3  But, boss…we can’t chain them to their desks.

  「でも社長、彼らを机にしばりつけておくことはできませんよ」

4  No, but what’s to stop us from strapping them in their chairs?!

  ・修辭疑問文です。「何が~を阻むことになるのか」つまり「何ものも阻むことにはならない」と言つてゐるのです。

  ・<beto-不定詞>は、ここでは結果的に「可能」の意味を表はすことになると思はれます。修辭疑問が否定的な内容ですから、結局「不可能」といふことになります。

  stopfrom動名詞(…): ~が…しないやう阻む。

  「さうさ、でも(わしらが從業員たちを)椅子にしばりつけるのは止められまいて」(←「何が、私たちが~するのを止めることになるのか?)

 

【ユーモア】

  chainto the desk(「仕事や勉強で~を拘束する」)といふ比喩的表現を逆手にとつて「机がダメでも椅子に…」と話をもつていきました。經營者のしたたかな一面を仄めかして笑はせるのでせうか?