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全健国保に個人事業所装い加入 組合本部が誘導か(朝日新聞)

2010年02月15日 | Weblog
2月13日の朝日新聞によると、
『ずさんな会計処理や無資格加入が問題になった全国建設工事業国民健康保険組合(本部・東京、森大(もり・ひろし)理事長)で、原則では加入できない株式会社などの法人事業所が、個人事業所を装って加入している事例が大量にあることが分かった。組合本部が偽装加入を誘導してきたという証言もあり、組合は結果的に国からの手厚い補助金を不当に受け取っていたことになる。
 偽装した個人事業所が大量に見つかったのは札幌市周辺。社員をグループ分けして架空の個人事業所の従業員にしたり、法人であることを隠すため届け出の事業所名から「株式会社」などの表記を外したりしていた。
 組合関係者が札幌市内の組合員について調べたところ、従業員の分割で個人事業所を装った疑いがあるケースは300近く、法人隠しの疑いがあるのも600社近くにのぼったという。
 約40人の社員がいる建設会社の場合、この会社の下に5人以下の「グループ」を九つ作っていた。事業所名は従業員の氏名を使って「○○工業」「××建設」などと命名していた。
 個人加入が原則の国保組合と異なり、法人や事業主を除き5人以上の従業員がいる個人事業所には、事業主負担がある協会けんぽ(旧政府管掌健保)への加入が義務づけられている。偽装は事業主負担を逃れるための工作とみられる。組合の元幹部は「本部が考え出した方法だ。支部長会議で説明した」と組合主導を認めている。東京や福岡でも個人事業所として加入している法人の例があり、全国的に不正が横行している可能性がある。
 法人などには協会けんぽとセットで厚生年金にも加入義務があり、いずれも月々の保険料を事業主と従業員で折半する。小規模の個人事業所であれば、全建国保と国民年金のセットが選択でき、いずれも事業主負担がない。
こうした協会けんぽや厚生年金の加入義務は、1997年に厳格化され、法人事業所などは、原則として組合を脱退することになった。
 協会けんぽについては加入を免除する例外規定があり、国保組合に残ることができたが、厚生年金への加入は避けられない。そのため、個人事業所の偽装は97年から急速に広がったという。
 組合には、国庫から補助金が出ており、08年度で約240億円。本来は協会けんぽに加入しなければならない人が、個人事業所の従業員として全建国保に加入していることによって、国は組合に対して余分な補助金を出していることになる。』
 これは建設業者が社会保険の事業主負担をなくすための脱法行為です。組合自体が誘導していたのは悪質極まりないことです。