朝日新書から「本と映画と「70年代」を語ろう」という川本三郎と鈴木邦男の対談が出ております。左翼親派の川本さんと新右翼の鈴木さんの対談というところでまずびっくりさせられますが、ご当人同士も驚いているようです。話が噛み合わない面白さという事もあるのですが、今回の場合は初対面とは思えないようなスイングした話が展開しております。川本さんがあとがきで書かれておりますが、二人に共通点は三つあり、年令が近い事、夫々朝日新聞、産経新聞をくびになっている事、逮捕歴がある事です。立つ立場が異なるのに話がこれだけスイングしたのは、同時代を生きた事が大きな要因ではないかと思われ、40年も経つと右とか左という事よりも、時代及び時間を共有をしたという事実が人を結びつける大きな力となってじわじわと共感となって醸成されたこと、東大と早稲田出身という経歴から見ても、元々素晴らしい知性をお持ちだったと思いますが、逮捕によって、エリートコースからはずれ、人の弱みを包み込む生き方にその知性が磨かれ奥行きを持ったためではないでしょうか。
立つ場所が異なっても話が出来、その話がスイングするというのは素晴らしい事だと思います。まず相手を受け入れなければ、その真意は聞きだす事が出来ないわけで、自分の主張だけ攻撃的に話していては、相手を論破したとしても何にもなりません。最近論破する事だけに価値を見出す風潮があるのを思うとこの対談が大きな価値を持っているように思えます。
若い人が読んでも、古い事柄について話し合われているので、興味を惹かないかもしれません。事実、川本さんが荷風の良さが分かってきたのは、40を過ぎてからだと表明されておりますので、物事の理解には年齢というものが深く関係しているようです。全共闘世代の後を追った私の世代までが、この本を興味深く面白く読める限界なのかも知れません。それにしても70年代というのは熱気がありましたね。
立つ場所が異なっても話が出来、その話がスイングするというのは素晴らしい事だと思います。まず相手を受け入れなければ、その真意は聞きだす事が出来ないわけで、自分の主張だけ攻撃的に話していては、相手を論破したとしても何にもなりません。最近論破する事だけに価値を見出す風潮があるのを思うとこの対談が大きな価値を持っているように思えます。
若い人が読んでも、古い事柄について話し合われているので、興味を惹かないかもしれません。事実、川本さんが荷風の良さが分かってきたのは、40を過ぎてからだと表明されておりますので、物事の理解には年齢というものが深く関係しているようです。全共闘世代の後を追った私の世代までが、この本を興味深く面白く読める限界なのかも知れません。それにしても70年代というのは熱気がありましたね。