キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

70年代は熱かったですね

2008年05月21日 | Weblog
朝日新書から「本と映画と「70年代」を語ろう」という川本三郎と鈴木邦男の対談が出ております。左翼親派の川本さんと新右翼の鈴木さんの対談というところでまずびっくりさせられますが、ご当人同士も驚いているようです。話が噛み合わない面白さという事もあるのですが、今回の場合は初対面とは思えないようなスイングした話が展開しております。川本さんがあとがきで書かれておりますが、二人に共通点は三つあり、年令が近い事、夫々朝日新聞、産経新聞をくびになっている事、逮捕歴がある事です。立つ立場が異なるのに話がこれだけスイングしたのは、同時代を生きた事が大きな要因ではないかと思われ、40年も経つと右とか左という事よりも、時代及び時間を共有をしたという事実が人を結びつける大きな力となってじわじわと共感となって醸成されたこと、東大と早稲田出身という経歴から見ても、元々素晴らしい知性をお持ちだったと思いますが、逮捕によって、エリートコースからはずれ、人の弱みを包み込む生き方にその知性が磨かれ奥行きを持ったためではないでしょうか。

立つ場所が異なっても話が出来、その話がスイングするというのは素晴らしい事だと思います。まず相手を受け入れなければ、その真意は聞きだす事が出来ないわけで、自分の主張だけ攻撃的に話していては、相手を論破したとしても何にもなりません。最近論破する事だけに価値を見出す風潮があるのを思うとこの対談が大きな価値を持っているように思えます。

若い人が読んでも、古い事柄について話し合われているので、興味を惹かないかもしれません。事実、川本さんが荷風の良さが分かってきたのは、40を過ぎてからだと表明されておりますので、物事の理解には年齢というものが深く関係しているようです。全共闘世代の後を追った私の世代までが、この本を興味深く面白く読める限界なのかも知れません。それにしても70年代というのは熱気がありましたね。
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アナケナ・ウイークに暗雲が

2008年05月20日 | Weblog
湘南は昨夜来からの強風と大雨で東海道線が止まり、お陰でゆっくりと出社する仕儀と相成り、日頃の疲れが多少取れたような気がいたします。今は陽射しも出て風が止み雨も上がり、蒸し暑い点を除けば初夏の好天に戻っております。季節外れの台風だったのでしょうか。

今週はアナケナウイークで、昨夜メーカーのアンドレが横浜へ到着する事になっていたのですが、チリからのフライトの問題で今夕到着、プレス向けディナーパーティーで幕が切って落とされることになります。しかし来日の遅れと、この初夏の嵐で出鼻が挫かれた間は否めず。スーパーチリワイン・アナケナの前途にも暗雲が立ち込めております。まあ、今朝の嵐のように一過性で、急激にお天気が回復することもあるので、どうなりますやら。

明日は昼に客先の訪問をして、夕刻からはロイヤルパークで、先日ご案内した一般消費者向け試飲会を行ない、明後日は九州の客先に向け飛び、スタッフの皆さん向けのセミナーを行ないます。ロイヤルパークの試飲会には既に200名以上の事前申し込みがあり、かなり盛大な会になりそうですし、九州の客先では野外大バーベキューパーティーを企画されているとかで、飲めや唄えの大騒ぎになる事は必定、と言いますのもアナケナのアンドレ君は歌が異常に好きで、ほっておくと勝手にヴェサメ・ムーチョを限りなく唄い続ける悪癖を持っており、おまけに身体をくねらせ変なダンスを踊りだします。

スーパー・チリワイン・アナケナウイークを華麗に知的に上品に終わらせる事は最初から無理なのかもしれません。が、アグリの品位を保つためにも、監視の目を光らせながら、決して踊りの輪に加わらないようにしたいものです。





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腰痛にジャズは有効か

2008年05月19日 | Weblog
二週間も放置しておいた庭の草が伸び放題でつい草むしりをしたのが悪かったのか、湘南の散策が過ぎたのか、はたまた他の悪事が原因なのか腰痛がぶり返し余り調子が良くありません。それでもベッドに横になっていてばかりでは大切な筋肉がやせ細って行くばかりなので、平塚まで東海道線で買い物に出かけました。踵のクッションが疲労しているウォーキングシューズを新調するのと、他の有名店を価格品質ともに凌駕する街の無名なパン屋さんに、傑作ともいえるアンパンを買いに行くのと、さくら書店で新刊本をさらっと見るのが目的でした。

靴を買って、本を観て、パン屋へ向かうと手前の広場でジャズの演奏をしており、生憎アンパンが売り切れでメロンパンを買って、ステージの前に陣取り最後の二曲、ルパンⅢ世とスペインを聴きました。横浜ではジャズフェスティヴァルが開かれますが、休日に横浜まで出るのが精神的に苦痛なのと、混んでるところが嫌なのでわざわざ聴きに行ったことはありません。熱狂的なファンではありませんが、根はジャズがとっても好きで、家で聴いたりライヴハウスへたまーに行ったりいたします。平塚辺りの素人愛好家が出演して演奏しているのかと思ったら、素人の慰みのレヴェルではなく、ピアノは埼玉あたりから来ている玄人でしたね。ドラムもペットもサックスもパーカッションも多分玄人ですね。なかなか聴き応えのある楽しい演奏でした。暑くも寒くも無い若葉の季節の夕暮れ前、聴いている人は疎ら、演奏はかなりなもの、こういう贅沢な条件は滅多に揃うものではありませんし、偶然遭遇して、しかも御代はロハ。やけに得しちゃった気分になります。たまりませんでした。

家に帰ってふと気がついてみると、腰の痛いことを忘れておりました。このまま痛みが消えうせるとすれば、音楽の効用たるや現代医学の比ではありませんぞ。






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アナケナ・ウイーク

2008年05月18日 | Weblog
昨日はお天気雨の湘南を散策いたしましたが、湘南の天気雨については、荒井由実の同名の歌があり、彼女の実家八王子から相模線に揺られて茅ヶ崎まできて、彼が行きつけのゴッデスに向かう女心を歌った内容でしたが、この辺では天気雨のことを“狐の嫁入り”と言います。このいわれを調べた事はありませんが、類推するところ、ほんとは狐なのに花嫁≒ほんとは雨なのに晴れ、こんな式が想定されます。荒井由実はどっちつかずの男心に振り回される女心を表で謳い、裏では強かな女は単純な男を化かすくらい朝飯前よと、軽快なリズムで謳ったのかもしれません。怖いですね。

さて、5月21日に横浜ロイヤルパークホテルで夕方からアナケナの社長ホルへが来日して、“メーカーとともに楽しむ、スパーチリワイン・アナケナ”という大イヴェントが開催されます。今回は一般の方向けの企画ですので、お暇がありご興味のある方は、ぜひお越しください。お申し込み方法、参加費等の詳細はHPに出ていると思います。今までチリワインに馴染みが無かったかたは、ぜひチリ固有品種のカルムネールをお試しください。アナケナのカルムネールは昨年世界一になっております。また、シングルヴィンヤードのソーヴィニョン・ブランもぜひお試しください。レイダ地区で作られたグリーントマトっぽい風味を持った秀逸なワインです。これ以外にも全20種類程度のアナケナの全てのワインが試飲できるチャンスです。全部真面目に試飲をすれば、あなたは翌日からチリワイン通として友人知人から一目置かれる事になります。

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ポキューズから進歩しているのか

2008年05月17日 | Weblog
山崎正和の昭和55年文芸春秋刊「プログラムの余白から」の中に“エスカルゴ・ア・ラ「蛸焼き」”という一文があります。山崎正和がポール・ポーキューズと逢ったときのことが書かれております。当時ポキューズはヌーベル・キュイジンの先頭を走っていたわけですが、「こってりと、ひたすら栄養満点だったソースから重さを除き、味付けの虚飾と過剰を排して、材料そのものの味を生かす」とポキューズの主張を山崎さんが要約しております。これって最近どこかで聞いたような気がいたしませんか、どうもコンテンポラリー・キュイジンの主張とやけに似ている、いやまったく同じではないでしょうか。とすれば、この30年間フレンチは素材の味わいを生かすためにソースを控えめにしてきた歴史といえるわけです。別の捕らえ方をすれば、ソース無しで味わえる優れた品質の素材が必要なわけで、この方向性にそって食品保管輸送技術が向上したんだともいえます。

子供の頃二宮の海岸で、地引網で獲れた鰯を生きているうちに、指で中骨をはがし、皮をむいて足元の海水で洗って食べたのがやけに美味かったのですが、ポキューズの思想を先鋭化したことは昔から各地で普通に行われていたわけです。

この小文の最後の方に「人間は胃袋そのものではなくて、舌と顎で食べ始めたのであり、いいかえれば、生理ではなく、感覚と想像力で食べ始めたかもしれない」とありますが、この30年の間に、日本ではいつの間にかこのベクトルは逆を向いてしまったようです。食品保管輸送技術が発展した事により、画一的な加工食品がいつでも何処でも手に入るようになると、食欲は去勢され、想像力は行き場を失ってさまよっているのが現代の日本であるのかもしれません。






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ヴァルファルモサ・ウイークに備えて

2008年05月16日 | Weblog
札幌で何を喰ってきたのかとやいのやいのと言ってくる友人がおりまして、仕事で行ってるのだから碌な物は喰ってないよと答えましても、嘘だろうというようなことになります。それほど札幌というところは何か魅力のあるところのようです。

今回はヴァルファルモサを寿司屋に入れられないかという事で、お取引先の酒屋さんと懇意にしているお店へボトルを持って出かけ、ワインが寿司の味を邪魔するのかどうかについて研究いたしました。葡萄海老、平目昆布締め、帆立貝、つぶ貝、ほっき貝、鮑、鮭、蝦蛄、雲丹などをいただきましたが、ヴァルファルモサのブリュット・ナチュレは思いのほか寿司の味わいを邪魔することなく飲めることが分かりました。酒が一番合う事は、親方も私も了解済みでしたが、これならばビールより相性がよく、焼酎水割りと同程度の相性でのめるのではないかとの見解に達しました。寿司はシャリが保温されて少し暖かいところが美味さの秘訣で、そこに冷たい飲み物をのむところに無理があるのですが、実際酒以外のお茶、椀物は熱々で供されます。したがってどうしても味わいといい温度といい燗酒がベストマッチで、最後はワイン業者を忘れ燗酒で美味しくいただいた次第、いやどうも。

6月23日には札幌でヴァルファルモサ・ウイークがスタートいたします。24日東京、25日広島、26日神戸と社長オリオールと共に回る予定です。このオリオールのやつが無類の寿司好きで、街を歩いて寿司屋を見かけると食前食後みさかい無くつまみたくなり暖簾をくぐるほど、一度ヴァルファルモサがメニューされている寿司屋で鱈腹喰わせてやりたいなあなんて思ってます。ええ、私はそれほどでも。
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28分の電車の旅

2008年05月15日 | Weblog
昨日は札幌の千歳空港から中部国際空港に飛びましたが、日本海側の海岸線を舐めるように南下し、新潟あたりから内陸に切り込み松本、飯田上空から一気に濃尾平野に入り左旋回で洋上からランディングいたしました。太平洋側は雲が無く下界の様子が良く見えましたが、地図で観る海岸線と同じものが眼下にあるというのは奇妙なものです。

以前にもこの中部国際空港へは千歳から飛んだことがありましたが、そのときは迎えの車が着ており、今回初めて名鉄の空港線を利用して名古屋駅まで出ました。全席指定の新型車で料金は¥1,200でしたが、28分間の気持ちの良いのどかな小旅行となりました。思わぬところで楽しみを得ることが出来たので、随分と得をした感じがいたしました。

確かに空港から街まで繋ぐ路線は、その都市の印象を左右するような重要な役割を果たしております。日本国中の空港線を全て利用したわけではありませんが、5月の爽やかな天気を差し引いたとしても、名鉄のこの路線は今まで利用した中で最高に気分の良い空港線です。考えてみるとこの路線は海外からのお客をトヨタ本社に連れてくる路線とも解釈できます。名古屋を代表するトヨタと名鉄の威信をかけた路線であるとすれば、素敵なのもうなずけますね。



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新幹線ひかり寿司

2008年05月14日 | Weblog
同じ書物からのお話になるのですが、嵐山光三郎「素人包丁記3」に“移動しながら食べる愉しさ、走る飲食”について書かれたものがあるのですが、自転車で飲む盗んだ牛乳に痺れ、リヤカーに夕食をちゃぶ台ごと乗せて食べた刺激、バスの車中での飲食、タクシーの中で飲むビール、飛行機の機内で飲むシャンパーニュの晴れがましに加えて新幹線の中での飲食の話が出てきます。

私は新幹線で飲んだ赤ワインの悦楽を書きましたが、嵐山さんの新幹線の使い方は卓越していて、寿司カウンターを車両一両分の長さ作り、東京の一流店の一流の寿司職人を20人くらいカウンターに入れての営業です。世界に寿司が冠たる日本料理として認められた今、これは忙しい海外からのビジネスマンのためにも移動中に寿司が食えたどんなにか喜ばれ、ぜひ実行していただきたいものです。寿司と共に輸出好調な清酒も寿司に合う銘柄を20種類くらいサーヴして、清酒のアピールも同時にしたら良いと思います。

何しろその寿司の速さといったらクルーンが投げる白球の161キロを優に上回るのです。落ちる寿司は無いものの、新幹線ひかり寿司では、箸が使えない海外の人のためにフォークを添えておく事くらいのサービスはしてくれるでしょう。

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札幌にて大阪の夜を思う

2008年05月13日 | Weblog
札幌はこの時期一年で最高の季節を迎えております。ホワイトアスパラガスには少し早いのが残念ですが、先週大阪のフレンチで鳥取産のホワイトアスパラガスをいただきました。鶏卵ベースのソースで焼きオレンジとも良く合い、シャサーニュ・モンラッシェ98との相性も良く、大変美味しくいただきました。こちらではマヨネーズに味噌をあえていただくのが一般的なようで、大量に茹で上げたホワイトアスパラにこのソースをつけて、がつがつと心置きなくいただくのは悦楽であります。

その大阪の夜のことですが、鮎の天麩羅、フォアグラのソテー、乳飲み牛のグリルなどと共に、シャサーニュモンラッシュ82とヴォーヌロマネ82の赤を飲み較べさせていただきましたが、82年というヴィンテージの特徴なのか二本共にバランスが優れたワインでした。
古いピノノワールはとても好きなワインなのですが、コート・ド・ボーヌとコート・ド・ニュイの生産者及び畑のグレードは違うとはいえ典型的なテロワールの違いを感じるとてもよい機会になりました。ブルゴーニュの生産者がニュイのピノは強く、時間がたつと複雑さをまし、ボーヌより優れた特性があると良く話されているのですが、実際この二つのワインにそれを感じ、なるほどなあと納得が出来ました。シャサーニュ・モンラッシュは若い頃の味わいは分かりませんが、多分良くバランスされたワインだったと思われ、そのバランスがそのまま熟成したワインでプラスアルファーのマッシュルームのような風味や、毛皮、森の土を掘り起こしたようなと形容される初期のワインからはうかがわれないような風味がさほど感じられませんでした。一回飲んでみただけで全てを語る訳には行きませんが、今後もこの点に気をつけて飲んでみることにいたしましょう。過去の例から言うとコート・ド・ニュイの70年代80年代を飲む機会は多いのですが、コート・ド・ボーヌの古いものを飲む機会は究めて少ないのが実情です。
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キャベツとレタス

2008年05月12日 | Weblog
昨日大磯まで散歩に行き、ついでに東海道線で平塚まで出かけ古書店と書店を覗きました。ランダムハウス講談社文庫で、嵐山光三郎さんの素人包丁記がここのところ毎月出ておりますが、今月は3で「海賊の宴会」と題されて出ており、迷わず購入しました。平塚から二宮までの東海道線の短い旅の途中でざっと眺めたところ、巻頭の随筆「下品の品格」でレタスについての考察されており、文中キャベツについて言及されている箇所があり“千切りキャベツにソースをかけて食べるのは日本人独特のの発明であろう”と書かれておりました。

豚カツに千切りキャベツをつけて食べるのが日本独特のものであり、このキャベツがワインを邪魔するんだと、私も先日キャベツについての考察をいたしましたが、やはり皆さん千切りキャベツについては日本人独特の発明である可能性を誇っている気配があるようです。

さて、嵐山さんはレタスの食べ方として、ちぎったレタスを醤油と胡麻油であえる方法を究極とされておりますが、私は1センチ角に切ったレタスを入れた炒飯が究極かなあと長く考えておりました。いずれにしろレタスは中華風料理に向いており、合わせる酒はどうも紹興酒の相性が良さそうに思えます。




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