日本ソムリエ協会神奈川支部が主催する日本酒セミナーが海老名で行われた。
会長の田崎真也が講師になり「ソムリエのサービスと日本酒テイスティング」をテーマに6種類の酒の試飲をした。
酒は、好適な肴、例えばスルメ、塩辛、このわたなどが少しあれば、二合や三合の酒が呑めてしまうが、酒が主で肴(食い物)が従の飲み方が主流である。
晩飯前の晩酌を思い描いてみると、お父さんがちょっとした肴で呑んだ後に、さあ皆さんご飯ですよといって、子供たちが席に着き15分くらいで食事が終わってしまうのが普通だ。
また、会席料理の際に供される酒は、個々の料理に対応したマリアージュを考慮されることが無い。
最後に、「お食事にいたしますか」と聞かれ、ご飯、椀物、漬物が供されるが、この言葉は、「もう呑むのは終わりですよ」と言われているのに等しく、酒は食中酒というより、限りなく出てくる前菜の食前酒のようである。
これを、この料理には素材に鯛が使われていて、ライムが搾られ、オリーブオイルがかけられ、ハーブ類がトッピングされているとすれば、ワインならソーヴィニョン・ブランをすぐに思い浮かべるが、同じように鱧の椀に木の芽が添えられていたら、生酛系純米酒をあわせるといったような、料理に対応する酒をきちんと提案することを目指している。
まあ、こんな方針みたいですね。
しかし、ビールがこれだけ日本で浸透したのは、飲酒温度、グラス、合わせる料理など細かなことを言わず、勝手に消費者に選択させたことに大きな理由があると思うので、さて、酒を広く広めるとするなら、異なるアプローチが必要なんだろうと思う。
だが、ソムリエを念頭に置いたらそうは行かないわけで、酒と料理のマリアージュを徹底的に研究する必要があると思う。
もう一つ、面白いなと思った点は、ワインの評価は美点を数え上げていくのに対し、酒の評価は減点法であり、表現する言葉に否定的なものが多く、これは鑑評会の目的が生産者の技術向上を目指したもので、欠点を指摘してそれを補う酒造りをするためのものであった。
今回配られたテイスティングにおける香りのカテゴリーは果実、花、植物、茸、スパイス、ナッツ、乳製品、土、ミネラル、ロースト香、蜂蜜、スモーク香、劣化臭などワイン出お馴染みの用語に加えて、米という項目があった。
では具体的に試飲した酒のコメントに移りましょう。
試飲した酒は、ブラインドテイスティングで、後で酒の銘柄等の資料が配られました。
全て県産酒でした。
1.熊澤酒造 特別本状酒風露天青 五百万石 9号酵母 15% 60%
日本酒度5.5~6.5 酸度1.2~1.4
透明な色合いで、酒の風味がきつく無いのですぐに本醸造と分った。
ライチ、白い花の香り、味わいは、甘み酸がまろやかで、チャーミング、フィニッシュに苦味が広がる スタイル。やわらかい酒の印象。
田崎コメント
米、乳製品、クリーミー、白玉や新米を研いでいる時、大福の粉、蒸栗の薄皮、バナナの維管束
ブリアサヴァランのようなクリーミーなチーズ。かつて、チーズには赤ワインという時代があったが、 今は会わないことがわかっていて、ほとんどの場合、白ワインを薦める。
鮨で言えば、白身の魚に柚子を振りかけたもの
2. 熊澤酒造 純米酒 吟望天青 五百万石 9号酵母 15% 60%
日本酒度5.5~6.5 酸度1.5~1.7
ほんのり緑黄、酸化した感じの米の風味があり、純米酒であることが想定された。
強さがある。嫌いなタイプの風味。
田崎コメント
コリアンダーシード、檜の皮、樹脂、カプロン酸エチル、酢酸エチル
チーズは少し熟成したタイプ、カマンベール
鮨は、昆布〆
3. 大矢孝酒造 純米酒 生酛原酒 昇龍蓬莱 山田錦 17% 77% 701号
日本酒度8 酸度2.3 アミノ酸度1.2
順番から生酛系だろうなとの想像はついたが、米の香りが強く、金属的な揮発性の香りも感じた。
味わいにも米の風味を強く感じ、酸味が強く、時間がたつと酸が鮮やかになる。
フィニッシュに苦味。
田崎コメント
黄色いリンゴ、スイカズラ
チーズは若いコンテ、チェソマンチェゴ
鮨は、鰤の男節の炙り、鮪の赤身で脂のあるもの
4. 泉橋酒造 純米大吟醸生酛 楽風舞 16% 35% 1801号 901号
日本酒度 非公開 酸度1.8 アミノ酸度1.9
青リンゴから黄リンゴまでの香り、華やかな花、トロピカル、私の嫌う2.3の香りは無い
米の風味がたっぷりとして、やわらかく、華やかでなめらか。
やさしく、完成度が高い。
田崎コメント
カプロン酸エチル 熟したメロン
チーズは、バランセ・シェーブル
鮨は、冬のコノシロ
5. 黄金井酒造 五年古酒 純米酒 盛升 アケボノ 18% 80% 901号
日本酒度 3 酸度2.2 アミノ酸度2.5 初期には茸、後期にはロースト香、クレームド ブリュレ
ハチミツやカラメル
酸がしっかりとあり、味わいが綺麗で厚みがあり実に美味。
田崎コメント
チーズは、ウォッシュタイプ、エスポワーズ
鮨は、穴子
6. 泉橋酒造 とんぼスパークリング 山田錦 15% 麴60% 掛80%
日本酒度-1~±0 酸度1.8 アミノ酸度1.5 白いフルーツ、花、洋ナシ
甘い
田崎コメント
鮨は、卵焼 ワインだと、黄身が持っている硫黄の香りが強く感じられて合わない。
花見にロゼを勧めているが、桜餅に合いそう。
今回久し振りに田崎真也のセミナーを聴いたが、多分15年ぶりくらいだと思う。
以前聴いた時は、言葉使いが町のお兄ちゃんを出ておらず、これじゃあ日本のワイン業界を引っ張ってゆくには力不足と感じたが、今回、言葉使いに関して不快感は無く、テイスティングコメントに、チーズと鮨を入れたのが分りやすくて実によかった。
人は歳月によって変わるものだとしみじみ感じた。
後半になるに連れて田崎コメントの記載が少なくなっているが、これは疲れのため全てを拾い上げていません。
気になるかたは、他の人のものを参考にしてください。
300名が参加しているので、何方かブログかフェイスブックで書いていらっしゃると思います。
清水健一の「ワインの秘密」を読んでいるが、この方刺身と言えば、もうワインなど考えずに酒を呑む事にしているらしいが、ワイン業界もそのような気持ちが無ければ広まらないよね。
ソムリエも飲み物全てを扱うと定義されているらしいので、ワインとの関わりの印象が強いが、アルコール飲料のみならず、ジュースや水、珈琲、お茶などまで視野に入れているらしい。
会長の田崎真也が講師になり「ソムリエのサービスと日本酒テイスティング」をテーマに6種類の酒の試飲をした。
酒は、好適な肴、例えばスルメ、塩辛、このわたなどが少しあれば、二合や三合の酒が呑めてしまうが、酒が主で肴(食い物)が従の飲み方が主流である。
晩飯前の晩酌を思い描いてみると、お父さんがちょっとした肴で呑んだ後に、さあ皆さんご飯ですよといって、子供たちが席に着き15分くらいで食事が終わってしまうのが普通だ。
また、会席料理の際に供される酒は、個々の料理に対応したマリアージュを考慮されることが無い。
最後に、「お食事にいたしますか」と聞かれ、ご飯、椀物、漬物が供されるが、この言葉は、「もう呑むのは終わりですよ」と言われているのに等しく、酒は食中酒というより、限りなく出てくる前菜の食前酒のようである。
これを、この料理には素材に鯛が使われていて、ライムが搾られ、オリーブオイルがかけられ、ハーブ類がトッピングされているとすれば、ワインならソーヴィニョン・ブランをすぐに思い浮かべるが、同じように鱧の椀に木の芽が添えられていたら、生酛系純米酒をあわせるといったような、料理に対応する酒をきちんと提案することを目指している。
まあ、こんな方針みたいですね。
しかし、ビールがこれだけ日本で浸透したのは、飲酒温度、グラス、合わせる料理など細かなことを言わず、勝手に消費者に選択させたことに大きな理由があると思うので、さて、酒を広く広めるとするなら、異なるアプローチが必要なんだろうと思う。
だが、ソムリエを念頭に置いたらそうは行かないわけで、酒と料理のマリアージュを徹底的に研究する必要があると思う。
もう一つ、面白いなと思った点は、ワインの評価は美点を数え上げていくのに対し、酒の評価は減点法であり、表現する言葉に否定的なものが多く、これは鑑評会の目的が生産者の技術向上を目指したもので、欠点を指摘してそれを補う酒造りをするためのものであった。
今回配られたテイスティングにおける香りのカテゴリーは果実、花、植物、茸、スパイス、ナッツ、乳製品、土、ミネラル、ロースト香、蜂蜜、スモーク香、劣化臭などワイン出お馴染みの用語に加えて、米という項目があった。
では具体的に試飲した酒のコメントに移りましょう。
試飲した酒は、ブラインドテイスティングで、後で酒の銘柄等の資料が配られました。
全て県産酒でした。
1.熊澤酒造 特別本状酒風露天青 五百万石 9号酵母 15% 60%
日本酒度5.5~6.5 酸度1.2~1.4
透明な色合いで、酒の風味がきつく無いのですぐに本醸造と分った。
ライチ、白い花の香り、味わいは、甘み酸がまろやかで、チャーミング、フィニッシュに苦味が広がる スタイル。やわらかい酒の印象。
田崎コメント
米、乳製品、クリーミー、白玉や新米を研いでいる時、大福の粉、蒸栗の薄皮、バナナの維管束
ブリアサヴァランのようなクリーミーなチーズ。かつて、チーズには赤ワインという時代があったが、 今は会わないことがわかっていて、ほとんどの場合、白ワインを薦める。
鮨で言えば、白身の魚に柚子を振りかけたもの
2. 熊澤酒造 純米酒 吟望天青 五百万石 9号酵母 15% 60%
日本酒度5.5~6.5 酸度1.5~1.7
ほんのり緑黄、酸化した感じの米の風味があり、純米酒であることが想定された。
強さがある。嫌いなタイプの風味。
田崎コメント
コリアンダーシード、檜の皮、樹脂、カプロン酸エチル、酢酸エチル
チーズは少し熟成したタイプ、カマンベール
鮨は、昆布〆
3. 大矢孝酒造 純米酒 生酛原酒 昇龍蓬莱 山田錦 17% 77% 701号
日本酒度8 酸度2.3 アミノ酸度1.2
順番から生酛系だろうなとの想像はついたが、米の香りが強く、金属的な揮発性の香りも感じた。
味わいにも米の風味を強く感じ、酸味が強く、時間がたつと酸が鮮やかになる。
フィニッシュに苦味。
田崎コメント
黄色いリンゴ、スイカズラ
チーズは若いコンテ、チェソマンチェゴ
鮨は、鰤の男節の炙り、鮪の赤身で脂のあるもの
4. 泉橋酒造 純米大吟醸生酛 楽風舞 16% 35% 1801号 901号
日本酒度 非公開 酸度1.8 アミノ酸度1.9
青リンゴから黄リンゴまでの香り、華やかな花、トロピカル、私の嫌う2.3の香りは無い
米の風味がたっぷりとして、やわらかく、華やかでなめらか。
やさしく、完成度が高い。
田崎コメント
カプロン酸エチル 熟したメロン
チーズは、バランセ・シェーブル
鮨は、冬のコノシロ
5. 黄金井酒造 五年古酒 純米酒 盛升 アケボノ 18% 80% 901号
日本酒度 3 酸度2.2 アミノ酸度2.5 初期には茸、後期にはロースト香、クレームド ブリュレ
ハチミツやカラメル
酸がしっかりとあり、味わいが綺麗で厚みがあり実に美味。
田崎コメント
チーズは、ウォッシュタイプ、エスポワーズ
鮨は、穴子
6. 泉橋酒造 とんぼスパークリング 山田錦 15% 麴60% 掛80%
日本酒度-1~±0 酸度1.8 アミノ酸度1.5 白いフルーツ、花、洋ナシ
甘い
田崎コメント
鮨は、卵焼 ワインだと、黄身が持っている硫黄の香りが強く感じられて合わない。
花見にロゼを勧めているが、桜餅に合いそう。
今回久し振りに田崎真也のセミナーを聴いたが、多分15年ぶりくらいだと思う。
以前聴いた時は、言葉使いが町のお兄ちゃんを出ておらず、これじゃあ日本のワイン業界を引っ張ってゆくには力不足と感じたが、今回、言葉使いに関して不快感は無く、テイスティングコメントに、チーズと鮨を入れたのが分りやすくて実によかった。
人は歳月によって変わるものだとしみじみ感じた。
後半になるに連れて田崎コメントの記載が少なくなっているが、これは疲れのため全てを拾い上げていません。
気になるかたは、他の人のものを参考にしてください。
300名が参加しているので、何方かブログかフェイスブックで書いていらっしゃると思います。
清水健一の「ワインの秘密」を読んでいるが、この方刺身と言えば、もうワインなど考えずに酒を呑む事にしているらしいが、ワイン業界もそのような気持ちが無ければ広まらないよね。
ソムリエも飲み物全てを扱うと定義されているらしいので、ワインとの関わりの印象が強いが、アルコール飲料のみならず、ジュースや水、珈琲、お茶などまで視野に入れているらしい。