2年前から始まった FIFA World Cup 2014 の地区予選。様々なドラマがあった。その中で北中米カリブ海地区の予選はいつも本大会出場を楽々決める常連のメキシコが大苦戦。あわや予選落ちの危機に晒された。
今年10月16日に行われた最終節でメキシコはコスタリカに敗れこの時点でかろうじて大陸間プレーオフ進出の4位の座にいた。そして同じ日に Panama City で行われたパナマ対アメリカ戦。既に本大会出場を決めているアメリカに対し、ホームのパナマは 2-1 でリードしておりそのままロスタイムに入った。このまま試合が終わればパナマはメキシコと勝点 11 得失点差 -2 で並ぶが総得点でパナマが上回り、メキシコは1982年大会以来の地区予選落ち ( 1990 年大会は出場停止で予選にも出られず。) の憂き目に会い、パナマのプレーオフ進出が決まるところであった。
しかし、ロスタイムに入った91分にアメリカの Graham Zusi, 92分にも Aron Johnnsson に連続ゴールを許しまさかの逆転負けを喫し、メキシコが奇跡的にニュージーランドとの大陸間プレーオフ進出を決めた。
そして11月13日。スタメンを5人入れ替えたメキシコは Azteca Stadium で All Whites を 5-1 と粉砕。続く Wellingtonでのアウェー戦も 4-2 で快勝し本大会出場を決めた。
今回の北中米カリブ海地区予選の結果はニュージーランドにとっては悲劇であった。 北中米地区予選が進むにつれて、プレーオフの相手がメキシコになるのではと言う不安が濃く現実味を帯び始めついに対戦相手がメキシコに決まってしまった。
オセアニア予選を勝ち抜いた All Whites にとってはこの地域の4番手がまさかメキシコになるとは思わなかっただろう。
2010年大会は Ryan Nelsen を始めとした粘り強い守備力で前回覇者のイタリアと引き分けるなど3分勝点3で大会を終えてニュージーランドのサッカー興隆のきっかけとするべく健闘という印象を残した。
2005年2月25日からニュージーランド代表 All Whites を率いる Ricki Herbert 監督としては史上初の2大会連続ワールドカップ本大会出場を目標としその可能性も感じていたはずであった…….
4年前28年ぶりに本大会出場を決めたその歓喜のWellington でメキシコに 2-4 で敗れた後 Herbert 監督は辞任を表明。 今後の同国のサッカー人気がまたも危惧されはじめた。
昨年、一昨年は日本で開催された FIFA Club World Cup は今年はモロッコでの開催となった。
そして昨年と一昨年には開催国枠でJリーグのチームが出場できたが今年の ACL では 広州恒大の軍門に下り、日本のチームの出場はならなかった。 そんな中、昨年に引き続きこの大会に出場を決めた日本人選手が Auckland City FC 所属の岩田卓也。 大会の放映権を得ている日本テレビは Bayern München や Athletico Mineiro の事ばかり言及するが私の最大の関心は彼の雄姿が拝めるかどうかであった。
バルセロナで事前合宿
12月3日。 事前合宿の地バルセロナに向けてチームはAuckland を発ったとの事。そして5日には地元の名門、かつて
中村俊輔が在籍した RCD Espanyolと練習試合を行った。
この試合には Espanyol サイドも Pere Martinez Sastre、Borja Martinez といったレギュラー選手もスタメンに起用された。
しかしそれに臆することなく立ち上がりの Auckland は攻勢をかけ、20分にはフィジーからの助っ人 Roy Krishna がゴールを狙うがここは Espanyol GK Koke がファインセーブでストップ。
以降は地力に勝る Espanyol がペースを掴み22分には少し遠目の位置得たFK から直接狙うがこれはクロスバーを越えた。 その後、 Peres Martinez のクロスにペナルティースポット付近の Railoがフリーであわせるがこの絶好機は外してしまった。
前半終了前に Auckland のアルゼンチン人FW Tade がシュートを放つがこれは GK Koke が掴む。
Auckland のTribulietx 監督は前半のパフォーマンスに不安を和らげる要素が多く喜ばされたと試合後コメントを残した。
“前半は1失点は覚悟はしていたけど、ボールを良く動かし相手よりも支配率で上回ることが出来た。 前半の方が選手達はより堅実であったが、何人かの選手はここに来る前にフル出場をしたことを心に留めて置かねばならない。そして時差が最初のタッチを不安定にさせたりフィジカル的な問題の大きな要因と思わねばならない。”我々はボールを受けたときに動きや判断を強制されるのではなく主導権を持たねばならない。守備的な面ではよく構築できたと思う。そして Espanoyl は我々を破ることが出来なかった。ここでの回答は明確だ。“
後半は両軍共に全選手を交代させた。そして Espanyol に運動量が戻った。
立ち上がりペナルティーエリアでボールをまわされ最後はArthur がシュートに持ち込むがそのシュートはミスをしてくれて失点は免れた。
しかし65分、中盤でこぼれダマを拾った Mamapou がそのまま放ったロングシュートが後半から交替で入ったGK Louie Caunter を破り先制ゴールが Espanyol に生まれた。
Auckland は失点後も右サイドを James Pritchett , Ryan de Vries and John Irving.らが支配をし Espanyol ゴール前に迫るが最後の詰めが甘くゴールは奪えなかった。
75分には中盤でよく動いていたEspanyol の Miravent が放ったショットを若い GK Caunter がファインセーブでストップ。失点は1でとめた。
“スペインの全てのチームは30人から40人の選手からメンバーを選んでいるが我々はそんなにいない。しかし多くの若手が後半からプレーをし Espanyol の様なチームを相手に良い経験を積められたと思う。 Espanoyol の選手達は動きが速くボールさばきも素晴らしく、こちらがボールを持ってもすぐに詰めて来る。そういった選手達を相手に Auckland の若手達の発展は素晴らしくこの経験から若い選手達は多くの前向きなものを掴めたと思う。”
この様なコメントをTribulietx 監督は残した。
残念ながらこの試合に岩田選手は出場しなかった。足首の故障から大事をとったらしい。 この報道を地元紙で知ったときはちょっと心配になってしまった…..
翌日 Auckland City FC一行は最初の試合が行われるモロッコの Agadir に移動したとの事であった.
Soccer: Spaniard inspires Cup side
Espanyol 戦で活躍したフィジーのストライカー Roy Krishna は2008年大会に Waitakere のメンバーとしても Club World Cup に出場。この時は日本開催で国立競技場で行われた Adelaide United との試合は現場で観戦した。
FIFA World Cup 2010, 2014 の予選もフィジー代表として出場している。 Raja Casablanca DF陣を悩ませただけの実力は持っていたと良く理解できた。
またMFのCristobal Marquez は2008年からEl Submarino Amarillo (the Yellow Submarine) ことVillaral でプレーした経歴を持つ。2010-11 にはトップチームで2試合プレーした経歴がある。それでも B チーム時代は同僚に今やArsenal のスター選手Santi Cazorla そしてReal Madrid のGK Diego Lopez 達がおりその当時の監督は現在Manchester City で指揮を執るManuel Pellegrini.であった。 2011 シーズンからはウクライナの Karpathy Lviv に移籍しスペインリーグ2部の Elche にローン移籍をしていいた。
その Karpathy Lviv とは彼の給与未払い問題で法廷と争われて約 99.4万 NZドル ( 約8,500 万円 ) が支払われるようになったがその直後に Tribulietx 監督は Marquez にアプローチ。欧州でプレーをすれば FIFA Club World Cup に出場できるチャンスが少ないと Auckland 入りを説得したとの事。
“これは良い機会だ。ウクライナでは良いシーズンを過ごせなかった。彼らは契約を尊重しなかったのでそこでのキャリアーを終えた。ここオークランドには何かを持って来たかった。私は個人プレーをする選手ではなくチームの中でプレーする選手だ。”
先週の Waitakere との試合では類まれなテクニックを披露。地元の観客に“ここらでは見られないプレー”と賞賛を得たらしい。また190cmの長身守備的MF Mario Bilen もチームにフィットしてきており決して Underdog で終わらないと意気は上がったらしい。
“難しい試合になるだろう。しかし夢は最初の試合を突破し存在を知らしめることだ。 世界に我々が何が出来ることを示したい。それは可能であると思う。 我々にもチャンスはあるはずだ。 ” Marquez はこう語った。
日本人選手 連続出場なる!!
FIFA Club World Cup 2013 の開幕戦は12月11日に Agadir で開催された。そしてこの試合が放映されたのは翌日だった。その試合の録画をようやく私が見られたのは更に翌日の事であった。それまで私は試合結果を見ないように、偶然でも知ってしまわないように気をつけていた。幸いにも?この試合を取り扱う日本のマスコミは皆無に等しく気を使う必要もなかたけど。
注目のスタメン。まず Auckland City の左SB には背番号3番、日本人選手岩田卓也が起用された事を知り声を出して拳を握り締めた。 怪我の為に Espanyol 戦に出場できなかったのでこの試合もベンチスタートかと危惧したけど見事に2年連続出場を果たしてくれた。
GK Tanati Williams も岩田同様昨年に続いて連続出場。 スペイン陣CB Angel Berlanga は2011年大会から3大会連続出場でもう一人のCB Ivan Vicelich は All Whites のメンバーとしてWorld Cup 2010 に出場。重鎮だった Ryan Nelsen とCBを組み、イタリアの猛攻を不可解なPK1失点に抑えた。この試合でも守勢に回ることは容易に予想されたので彼に掛る期待も大きかった。 右SB 25歳のJohn Irving はかつて English Premiership のEverton にも在籍した。ボランチには Villareal にいた Marques と31歳のウェールズ人 MF Christopher Bale が入る。 Bale は今大会で4回目の Club World Cup 出場となる。2007, 2008年大会は Waitakere のメンバーとして来日をした。 その後ろには長身のクロアチア人の MF Mario Bilenが置かれた。 攻撃陣では2列目右にフィジーからの助っ人 Ray Krishna 。 左の Daniel Koprivic は今大会で6回目、8試合目の出場。この選手も Bale 同様 2007, 2008 年は Waitakere のメンバーとして来日。 ワントップには England から来た Adam Dickinson。 2009年に初出場以来4大会6試合目の出場。
こうしてみると FIFA 大会の出場経験をみれば Auckland の方が断然上回っており、それが何とか試合に良い様に現れてくれればと思った。
一方ホームの Raja Casablanca はFIFA Club World Cup は2000年のブラジルで開催された大会に出場しておりその時は Corinthians 2-0, Al Nassr 4-3 そして Real Madrid 3-2 と3戦3敗で大会を後にした。 しかしそこはサッカー国技のモロッコで国内リーグ優勝11回。 アフリカクラブ選手権優勝3回の名門チーム。メンバーを調べると CB Oulhaj, 左SB Karroushy がモロッコ代表。 Issam Erraki と組む Guehi はコートジボアール人MFでまだ代表暦は無いが何とか代表入りをして翌年のワールドカップメンバー入りを目指しているとか。 攻撃陣ではトップしたの Chtibi と2列目左の Hatidi がモロッコ代表暦がある。 2列目右の Mohsine Moutaouali は何故か代表暦が無い。 トップの Moussine Iajour はまだ代表暦は無いが2005年オランダで開催された FIFA U-20 に出場。決勝トーナメント1回戦ではGK 西川、 FW 平山を擁する日本と対戦しロスタイムの得点で 1-0 で日本を破った。この日のスタメンでは唯一FIFA 主催大会に出場した事がある選手だった。
地力に勝ると言われている Raja Casablanca の最大のアドヴァンテージはBoca Juniors, Borussia Dortmund そして Celtic に次いで熱狂サポーター世界ランク4位と公式に言われているサポーター達の熱い声援。 ちなみに9位が浦和レッズらしい。実力もさることながらこのサポーター達の後押しが Auckland イレブンにと言うよりも審判団にどう影響するかが懸念された。
大会直前のリーグ戦では12月4日の Hassania Agadir 11月29日の Difaa El Jadida 戦に共に 0-1 で連敗を喫していた。その影響か監督が更迭され現在のチュニジア人の Faouzi Benzarti 監督が就任したとの事。
しかし1週間前に Agadir に来ていたことが更に大きなアドヴァンテージになると思った。この試合のメンバーが解ればなぁ~と思った…
6日前に亡くなったネルソン=マンデラ氏への追悼の為の黙祷 ( この模様は日本テレビでは放映されず ) の後に Auckland FC のキックオフで試合が始まった。キックオフ直後、Raja Casablanca ゴール前にロブがあげられ Auckland の選手が雪崩れ込む。そしてスローインを得ると早速岩田がボールを投げ込む。 完全アウェーのAuckland の数少ないアドヴァンテージは上背があることととこの大会への経験が多いこと。 2分17秒には岩田が Marquez とのワンツーで左サイドを抜け出し中に入れる。3分15秒には逆にCasablanca が左サイドから攻撃に出て Karroushy からのセンタリングに Chtibi が走りこんで撃つがここは Vicelich がクリアー。Auckland の選手がボールを前に運ぶとすかさず口笛が鳴り響き、Casablanca の選手達が取り返すと大歓声が上がる。 5分59秒、岩田がスライディングで相手の攻撃を止め、そのこぼれダマを拾った Krishna から Morquez に繋ぎ中に入れるが今度はボランチの Guehi がクリアー。 Auckland スペースに選手が出てきてボールを受けるなどこれまでの大会では見せなかった繋ぎを見せる。 Tribulietx監督はとにかくスペースを突く動きを徹底させたかったらしい。
しかしAuckland の攻勢もここまで、6分36秒、左サイドの Karrouchy から Chtibi を経由して Guehi に渡り、右サイドのMoutaoualiに送られる。岩田がマークに入る前に上がってきた Karrouchy に渡り Irving, Koprivic がマークに入る前にシュートを放たれる。このショットは外れたがこれを境にCasablanca の攻勢が続いた。7分54秒には Erraki から Iajour に渡り Vicelich がマークに入るもシュートに持ち込まれるがGK正面に。11分30秒、Irving が Karrouchy を倒して与えたFKの早いリスタートから Erraki が放つがここはゴール枠を外す。17分11秒、 Chtibi がMoutaoualiとのワンツーから抜け出すがここは Vicelich がクリアー。
Casablanca は右サイドをMoutaouali ドリブルでががんがん上がって来たと思えばトップ下の Chtibi に預けてリターンを貰ったり、素晴らしいスルーパスを送ったりと対峙する岩田は序盤何度か後手に回ることがあった。 ちょっと彼一人では対応は厳しいと思わされた。 また Hachimi, Karrouchy の両サイドバックがワイドに開き攻撃時は高い位置を保持するのでAuckland の2列目以降が押し込まれる形に。 ボランチの Guehi と Erraki が良い位置にいるのでAuckland がボールを取り返しても経てパスが入りにくい。
21分33秒にはMoutaoualiから受けた Iahour が岩田のマークをかいくぐってシュートに持ち込むがここはGK Williams がストップ。22分18秒にはMoutaoualiがドリブルで上がって来るがここは岩田と Berlanga と2人掛りでストップ。22分31秒にはショートコーナーから中に入れられるが長身 CB Vicelich がクリアー。23分5秒にはまたもショートコーナーから 左SB Karrouchy がシュートを撃つがGK Williams がキャッチ。 23分50秒には Iajour , 24分47秒には Guehi が連続してミドルを放つ。 Casablanca の選手達がシュートを放ったり、CKを得たりするたびに大歓声が彼らを後押しした。
29分29秒Moutaoualiから Hafidi への浮きダマのパスが通り Iajour 送られる。 Vicelich がマークに入ったところを後方のMoutaoualiに戻されシュートを撃たれるがアンカーの Bilen に当たってゴールラインを割った。
Auckland はCasablanca の猛攻に晒されている様には見えるが決定的なシュートは何とか防ぐと言う粘りのディフェンスを見せていた。 CKを取られても高さでは上回るAuckland DF陣はしっかりと中を固めていた。
しかし均衡は破られてしまう。38分11秒、Moutaoualiから Iajour に渡りボランチの Guehi に送られる。そして左サイドを上がってきた Karrouchy にパスが通ると Karrouchy はワンタッチパスを前線にそこに走りこんだ Iajour が Vicelich のマークを受けながらもシュートに持ち込み GK Williams の左を破ってAuckland ゴールネットを揺らし先制ゴールを上げた。
ここまでしっかり守ってきたのに….と残念に思った。大歓声を上げるCasablanca サポーター。大喜びと言うよりも快勝を期待していた彼らにとっては安心の遅すぎた先制ゴールであったか…… テレビに映し出されたAuckland のTribulietx 監督がミネラルウォーターをあおったのが印象的だった。
先制ゴールを許したAuckland であったが終了間際にチャンスを迎える。44分36秒、FW Dickinson にボールが入りドリブルでPA付近に迫る。 Hachimi のスライディングが明らかに Dickinson の脚に入り転倒するが笛は鳴らない。更にこぼれダマを拾った Marquez がドリブルでPAに入って転倒する。リプレーを見ればマークに入った Benlamalem が脛を蹴っているのにガンビア人の Gassama 主審は笛を吹かない。 どちらかのプレーは明らかなファールだったけど。 ファールをアピールする Marquez に観客は口笛を浴びせた。
しかし前半終了直前にCasablanca の選手が倒れてボールアウトにしAuckland のスローインとなったが、Marquez がCasablanca の選手に返した時は拍手が送られた。
同点!しかしロスタイムに無念の決勝点….
両軍選手交替無しにCasablanca のキックオフで始まった後半もMoutaoualiで幕が開けた。開始早々 Berlange がMoutaoualiを倒してFKを与えるがこのFKは Irving がヘッドでクリアー。その直後のCKは Vicelich がヘッドでクリアーするもこぼれダマを拾ったMoutaoualiがチップキックでAuckland ゴール前に送りテクニックを見せる。 50分には岩田をかわして前に上がるがここは Berlange がカバー。51分には左サイドに回ったMoutaoualiが Vicelich と競りながらドリブルシュートに持ち込むがファーポストの左に外れる。 何とか追加点は止めないと….と案じるが、55分を過ぎるとAuckland が前に出てくる機会が増え始めた。 その基点となったのは左MFの Roy Krishna。前半も何度かドリブル突破を見せていたが後半は更にそのドリブルがボランチの Guehi 一人では止められずSBの Hachimi , トップ下の Chtibi が引っ張られる様になった。
55分にはボール支配率がCasablanca 59 Auckland 41 と表示されるがこの時に試合を支配しているのはAuckland だった。56分岩田が Dickinson に送るとマークに入った Benlamalen に倒されイエローカードが出されFKが与えられる。 Marquez の FK から Koprivic に繋ぎ中央に走りこんだ Krishna に送られるがその前に Erraki がクリアー。惜しいチャンスだった。そのCKから Vicelich がヘッドで前に送り跳ね返ったところを Koprivic が放つがゴール枠は外れる。 61分には再び Vicelich からゴール前に入れられ Krishna が撃つがここは GK Askiri の正面に。 徐々にオークランドがペースを掴みスタジアムに口笛だけが響くようになる。
そして63分久々MoutaoualiにPA付近でボールが渡るが3人でマークに入りボールがこぼれる。そのこぼれダマを拾った Krishna が一気にドリブルで上がると今度はここにマークが3人入る。しかしマークに入った Erraki, Oulhaj おして Benlamalen が重なる様に交錯しボールがこぼれる。それを再び拾った Krishna がそのままドリブルで上がりGK Askiriと1対1になる。 Krishna が冷静に放ったシュートはCasablanca ゴールに突き刺さりAuckland が同点に追いついた。
スタジアムはただ静寂が訪れた。何人いたのだろう観客席にいた Kiwi 達が大喜びしている。そしてテレビを見ていた私も思わず声を上げた。
Auckland City FC というよりも2009年大会の TP Mazembe との5位決定戦で Auckland City FC の Riki Van Steeden がロスタイムで決勝ゴールを上げて以来333分ぶりにオセアニア代表のチームがこの大会で決めた得点であった。
その直後、追いついた Auckland ベンチが動く。トップの Dickinson を下げてアルゼンチン人FW Emilliano Tade が投入された。 足の止まり始めた Casablanca DF ラインをドリブルで突破する方策だろう。
攻撃の方も悩まされていた Moutaouali は岩田と Berlaga が上手く協力して抑える様になっていた。そして Chitbi の運動量が落ちて来てMoutaoualiが孤立しだした。70分には Krishina が左サイドを突破し左サイドに回って来た Bale に出す。 Bale が入れたクロスに Koprivic がヘッドで狙おうとするが Chtibi が完全に抱え込んでヘッドが撃てない。 ここはホイッスルが鳴ってもよくは無かったか? 73分にはMoutaoualiからのスルーパスに Hachimi が反応できずMoutaoualiの表情が険しくなる。 この調子で行けばAuckland にもチャンスがあると思い出した。
Casablanca ベンチは74分遂に Chtibi を下げてコンゴ代表の Deo Kanda を投入する。 Kanda は2009年大会 TP Mazembe のメンバーとしてAuckland と対戦している。Kanda は2列目右に入り、 Hafidi がトップ下に入った。 この交替がそうしたのかポジションチェンジがそうしたのかこれでCasablanca が再び主導権を握りだした。
76分 Erraki から Iajour に縦パスが入るが Berlaga がマーク。 77分にはMoutaoualiのドリブルから中に送られHafidi を経由して Guehi がシュートを撃つが Irving がブロック。
82分Auckland ベンチは2人目の交替選手パプアニューギニア代表 FW David Brown を投入する。これで2トップ気味にするのかな?と思ったけどCasablanca ベンチも延長はご免とばかりに Iajourを下げて中央アフリカ代表の Vivien Mabide を投入する。その直後にMoutaouali から Hafidi に渡るが Berlaga がスライディングでストップ。 87分には Mabide が右サイドから大きく左前方に送るがここも直前に Irvine に替わって投入されたベテラン James Prichett がスライディングでクリアー。 その向こうには Kanda, Hafidi がフリーだった。さすが元 All Whites のベテランと思った。88分には Erraki からMoutaoualiに入るがここも岩田が粘りのマークで中に入れさせない。
そしてロスタイムが4分と表示される。 延長に入るとAuckland の方が苦しいかもしれないけど前半よりも得点の可能性が感じた。チャンスがあるはずだと期待した。試合前に岩田卓也のコメントが紹介された。“ チャンスを掴めば拡がる。”
そして90分左サイドを Krishina がドリブルで上がり中央を上がった Tade に送る。 そして更に前に入った Brown に。Brown は倒されるけど笛は鳴らない。そこから繋がれ中盤のMoutaoualiに繋がれる。 Bilen がファール覚悟でストップを図るが Moutaoualiは倒れそうで倒れず、Gassama 主審はアドヴァンテージを取り笛を吹かない。 そして左サイドを上がった Karrouchy に送る。 Karrouchy のクロスに中央で飛び込んだ Oulhaj のヘッドは GK Williams が良く反応するが走り込んだ Hafidiにこぼれ球を押し込まれてしまった。 もう一人中央に走り込んだKandaのマークに入っていた岩田の反対側にボールがこぼれるという不運だった。 痛恨のゴールを許した GK Williams と岩田の表情が……
大歓声の上がるスタジアム。しかしまだ数分残っている….. 再開後に Bale が Erraki に倒されFKのチャンスを掴む。散々相対したこの二人、最後に来て睨み合いを始めた。 そしてCasablanca ベンチは時間稼ぎか Hafidi を下げて Rahumani を入れる。 もう最後のチャンスだ。 GKが蹴り入れろ!全員ゴールマウスに入れ!とテレビに向かって叫ぶ。
しかしWilliams は蹴らずにCasablanca ゴール前に上げられたFKは跳ね返され、激闘に終止符を打つホイッスルが鳴り響いた。
あぁ~惜しかったなぁ~。
試合後、Tribulietx監督は選手達の健闘を誇りに思う、というコメントを残したらしい。 日本テレビでも“これだけハイレベルな開幕戦は初めて。”としきりに賞賛していた。 だったら昨年までのAuckland は何なんだ?とちょっと腹が立った。
Auckland の選手達は翌朝早くに Agadir 離れ30時間近く掛けて遠路ニュージーランドに帰国したらしい。
この間の選手達の心中は......
勝ったCasablanca は更にMonterrey そして何とAthletico Mineiroをも破り、史上初めて開催国枠のチームの決勝進出を決めた。 こんなに強いチームにあれだけ健闘したのか....それともこの試合がCasablanca を成長させたのか......
決勝戦と同じくらい楽しみだった試合だった。また来年どんなオセアニアのチームが出て来るか楽しみだ。
その時は現地で観戦したいなぁ.... だけどモロッコは遠いか....
今年10月16日に行われた最終節でメキシコはコスタリカに敗れこの時点でかろうじて大陸間プレーオフ進出の4位の座にいた。そして同じ日に Panama City で行われたパナマ対アメリカ戦。既に本大会出場を決めているアメリカに対し、ホームのパナマは 2-1 でリードしておりそのままロスタイムに入った。このまま試合が終わればパナマはメキシコと勝点 11 得失点差 -2 で並ぶが総得点でパナマが上回り、メキシコは1982年大会以来の地区予選落ち ( 1990 年大会は出場停止で予選にも出られず。) の憂き目に会い、パナマのプレーオフ進出が決まるところであった。
しかし、ロスタイムに入った91分にアメリカの Graham Zusi, 92分にも Aron Johnnsson に連続ゴールを許しまさかの逆転負けを喫し、メキシコが奇跡的にニュージーランドとの大陸間プレーオフ進出を決めた。
そして11月13日。スタメンを5人入れ替えたメキシコは Azteca Stadium で All Whites を 5-1 と粉砕。続く Wellingtonでのアウェー戦も 4-2 で快勝し本大会出場を決めた。
今回の北中米カリブ海地区予選の結果はニュージーランドにとっては悲劇であった。 北中米地区予選が進むにつれて、プレーオフの相手がメキシコになるのではと言う不安が濃く現実味を帯び始めついに対戦相手がメキシコに決まってしまった。
オセアニア予選を勝ち抜いた All Whites にとってはこの地域の4番手がまさかメキシコになるとは思わなかっただろう。
2010年大会は Ryan Nelsen を始めとした粘り強い守備力で前回覇者のイタリアと引き分けるなど3分勝点3で大会を終えてニュージーランドのサッカー興隆のきっかけとするべく健闘という印象を残した。
2005年2月25日からニュージーランド代表 All Whites を率いる Ricki Herbert 監督としては史上初の2大会連続ワールドカップ本大会出場を目標としその可能性も感じていたはずであった…….
4年前28年ぶりに本大会出場を決めたその歓喜のWellington でメキシコに 2-4 で敗れた後 Herbert 監督は辞任を表明。 今後の同国のサッカー人気がまたも危惧されはじめた。
昨年、一昨年は日本で開催された FIFA Club World Cup は今年はモロッコでの開催となった。
そして昨年と一昨年には開催国枠でJリーグのチームが出場できたが今年の ACL では 広州恒大の軍門に下り、日本のチームの出場はならなかった。 そんな中、昨年に引き続きこの大会に出場を決めた日本人選手が Auckland City FC 所属の岩田卓也。 大会の放映権を得ている日本テレビは Bayern München や Athletico Mineiro の事ばかり言及するが私の最大の関心は彼の雄姿が拝めるかどうかであった。
バルセロナで事前合宿
12月3日。 事前合宿の地バルセロナに向けてチームはAuckland を発ったとの事。そして5日には地元の名門、かつて
中村俊輔が在籍した RCD Espanyolと練習試合を行った。
この試合には Espanyol サイドも Pere Martinez Sastre、Borja Martinez といったレギュラー選手もスタメンに起用された。
しかしそれに臆することなく立ち上がりの Auckland は攻勢をかけ、20分にはフィジーからの助っ人 Roy Krishna がゴールを狙うがここは Espanyol GK Koke がファインセーブでストップ。
以降は地力に勝る Espanyol がペースを掴み22分には少し遠目の位置得たFK から直接狙うがこれはクロスバーを越えた。 その後、 Peres Martinez のクロスにペナルティースポット付近の Railoがフリーであわせるがこの絶好機は外してしまった。
前半終了前に Auckland のアルゼンチン人FW Tade がシュートを放つがこれは GK Koke が掴む。
Auckland のTribulietx 監督は前半のパフォーマンスに不安を和らげる要素が多く喜ばされたと試合後コメントを残した。
“前半は1失点は覚悟はしていたけど、ボールを良く動かし相手よりも支配率で上回ることが出来た。 前半の方が選手達はより堅実であったが、何人かの選手はここに来る前にフル出場をしたことを心に留めて置かねばならない。そして時差が最初のタッチを不安定にさせたりフィジカル的な問題の大きな要因と思わねばならない。”我々はボールを受けたときに動きや判断を強制されるのではなく主導権を持たねばならない。守備的な面ではよく構築できたと思う。そして Espanoyl は我々を破ることが出来なかった。ここでの回答は明確だ。“
後半は両軍共に全選手を交代させた。そして Espanyol に運動量が戻った。
立ち上がりペナルティーエリアでボールをまわされ最後はArthur がシュートに持ち込むがそのシュートはミスをしてくれて失点は免れた。
しかし65分、中盤でこぼれダマを拾った Mamapou がそのまま放ったロングシュートが後半から交替で入ったGK Louie Caunter を破り先制ゴールが Espanyol に生まれた。
Auckland は失点後も右サイドを James Pritchett , Ryan de Vries and John Irving.らが支配をし Espanyol ゴール前に迫るが最後の詰めが甘くゴールは奪えなかった。
75分には中盤でよく動いていたEspanyol の Miravent が放ったショットを若い GK Caunter がファインセーブでストップ。失点は1でとめた。
“スペインの全てのチームは30人から40人の選手からメンバーを選んでいるが我々はそんなにいない。しかし多くの若手が後半からプレーをし Espanyol の様なチームを相手に良い経験を積められたと思う。 Espanoyol の選手達は動きが速くボールさばきも素晴らしく、こちらがボールを持ってもすぐに詰めて来る。そういった選手達を相手に Auckland の若手達の発展は素晴らしくこの経験から若い選手達は多くの前向きなものを掴めたと思う。”
この様なコメントをTribulietx 監督は残した。
残念ながらこの試合に岩田選手は出場しなかった。足首の故障から大事をとったらしい。 この報道を地元紙で知ったときはちょっと心配になってしまった…..
翌日 Auckland City FC一行は最初の試合が行われるモロッコの Agadir に移動したとの事であった.
Soccer: Spaniard inspires Cup side
Espanyol 戦で活躍したフィジーのストライカー Roy Krishna は2008年大会に Waitakere のメンバーとしても Club World Cup に出場。この時は日本開催で国立競技場で行われた Adelaide United との試合は現場で観戦した。
FIFA World Cup 2010, 2014 の予選もフィジー代表として出場している。 Raja Casablanca DF陣を悩ませただけの実力は持っていたと良く理解できた。
またMFのCristobal Marquez は2008年からEl Submarino Amarillo (the Yellow Submarine) ことVillaral でプレーした経歴を持つ。2010-11 にはトップチームで2試合プレーした経歴がある。それでも B チーム時代は同僚に今やArsenal のスター選手Santi Cazorla そしてReal Madrid のGK Diego Lopez 達がおりその当時の監督は現在Manchester City で指揮を執るManuel Pellegrini.であった。 2011 シーズンからはウクライナの Karpathy Lviv に移籍しスペインリーグ2部の Elche にローン移籍をしていいた。
その Karpathy Lviv とは彼の給与未払い問題で法廷と争われて約 99.4万 NZドル ( 約8,500 万円 ) が支払われるようになったがその直後に Tribulietx 監督は Marquez にアプローチ。欧州でプレーをすれば FIFA Club World Cup に出場できるチャンスが少ないと Auckland 入りを説得したとの事。
“これは良い機会だ。ウクライナでは良いシーズンを過ごせなかった。彼らは契約を尊重しなかったのでそこでのキャリアーを終えた。ここオークランドには何かを持って来たかった。私は個人プレーをする選手ではなくチームの中でプレーする選手だ。”
先週の Waitakere との試合では類まれなテクニックを披露。地元の観客に“ここらでは見られないプレー”と賞賛を得たらしい。また190cmの長身守備的MF Mario Bilen もチームにフィットしてきており決して Underdog で終わらないと意気は上がったらしい。
“難しい試合になるだろう。しかし夢は最初の試合を突破し存在を知らしめることだ。 世界に我々が何が出来ることを示したい。それは可能であると思う。 我々にもチャンスはあるはずだ。 ” Marquez はこう語った。
日本人選手 連続出場なる!!
FIFA Club World Cup 2013 の開幕戦は12月11日に Agadir で開催された。そしてこの試合が放映されたのは翌日だった。その試合の録画をようやく私が見られたのは更に翌日の事であった。それまで私は試合結果を見ないように、偶然でも知ってしまわないように気をつけていた。幸いにも?この試合を取り扱う日本のマスコミは皆無に等しく気を使う必要もなかたけど。
注目のスタメン。まず Auckland City の左SB には背番号3番、日本人選手岩田卓也が起用された事を知り声を出して拳を握り締めた。 怪我の為に Espanyol 戦に出場できなかったのでこの試合もベンチスタートかと危惧したけど見事に2年連続出場を果たしてくれた。
GK Tanati Williams も岩田同様昨年に続いて連続出場。 スペイン陣CB Angel Berlanga は2011年大会から3大会連続出場でもう一人のCB Ivan Vicelich は All Whites のメンバーとしてWorld Cup 2010 に出場。重鎮だった Ryan Nelsen とCBを組み、イタリアの猛攻を不可解なPK1失点に抑えた。この試合でも守勢に回ることは容易に予想されたので彼に掛る期待も大きかった。 右SB 25歳のJohn Irving はかつて English Premiership のEverton にも在籍した。ボランチには Villareal にいた Marques と31歳のウェールズ人 MF Christopher Bale が入る。 Bale は今大会で4回目の Club World Cup 出場となる。2007, 2008年大会は Waitakere のメンバーとして来日をした。 その後ろには長身のクロアチア人の MF Mario Bilenが置かれた。 攻撃陣では2列目右にフィジーからの助っ人 Ray Krishna 。 左の Daniel Koprivic は今大会で6回目、8試合目の出場。この選手も Bale 同様 2007, 2008 年は Waitakere のメンバーとして来日。 ワントップには England から来た Adam Dickinson。 2009年に初出場以来4大会6試合目の出場。
こうしてみると FIFA 大会の出場経験をみれば Auckland の方が断然上回っており、それが何とか試合に良い様に現れてくれればと思った。
一方ホームの Raja Casablanca はFIFA Club World Cup は2000年のブラジルで開催された大会に出場しておりその時は Corinthians 2-0, Al Nassr 4-3 そして Real Madrid 3-2 と3戦3敗で大会を後にした。 しかしそこはサッカー国技のモロッコで国内リーグ優勝11回。 アフリカクラブ選手権優勝3回の名門チーム。メンバーを調べると CB Oulhaj, 左SB Karroushy がモロッコ代表。 Issam Erraki と組む Guehi はコートジボアール人MFでまだ代表暦は無いが何とか代表入りをして翌年のワールドカップメンバー入りを目指しているとか。 攻撃陣ではトップしたの Chtibi と2列目左の Hatidi がモロッコ代表暦がある。 2列目右の Mohsine Moutaouali は何故か代表暦が無い。 トップの Moussine Iajour はまだ代表暦は無いが2005年オランダで開催された FIFA U-20 に出場。決勝トーナメント1回戦ではGK 西川、 FW 平山を擁する日本と対戦しロスタイムの得点で 1-0 で日本を破った。この日のスタメンでは唯一FIFA 主催大会に出場した事がある選手だった。
地力に勝ると言われている Raja Casablanca の最大のアドヴァンテージはBoca Juniors, Borussia Dortmund そして Celtic に次いで熱狂サポーター世界ランク4位と公式に言われているサポーター達の熱い声援。 ちなみに9位が浦和レッズらしい。実力もさることながらこのサポーター達の後押しが Auckland イレブンにと言うよりも審判団にどう影響するかが懸念された。
大会直前のリーグ戦では12月4日の Hassania Agadir 11月29日の Difaa El Jadida 戦に共に 0-1 で連敗を喫していた。その影響か監督が更迭され現在のチュニジア人の Faouzi Benzarti 監督が就任したとの事。
しかし1週間前に Agadir に来ていたことが更に大きなアドヴァンテージになると思った。この試合のメンバーが解ればなぁ~と思った…
6日前に亡くなったネルソン=マンデラ氏への追悼の為の黙祷 ( この模様は日本テレビでは放映されず ) の後に Auckland FC のキックオフで試合が始まった。キックオフ直後、Raja Casablanca ゴール前にロブがあげられ Auckland の選手が雪崩れ込む。そしてスローインを得ると早速岩田がボールを投げ込む。 完全アウェーのAuckland の数少ないアドヴァンテージは上背があることととこの大会への経験が多いこと。 2分17秒には岩田が Marquez とのワンツーで左サイドを抜け出し中に入れる。3分15秒には逆にCasablanca が左サイドから攻撃に出て Karroushy からのセンタリングに Chtibi が走りこんで撃つがここは Vicelich がクリアー。Auckland の選手がボールを前に運ぶとすかさず口笛が鳴り響き、Casablanca の選手達が取り返すと大歓声が上がる。 5分59秒、岩田がスライディングで相手の攻撃を止め、そのこぼれダマを拾った Krishna から Morquez に繋ぎ中に入れるが今度はボランチの Guehi がクリアー。 Auckland スペースに選手が出てきてボールを受けるなどこれまでの大会では見せなかった繋ぎを見せる。 Tribulietx監督はとにかくスペースを突く動きを徹底させたかったらしい。
しかしAuckland の攻勢もここまで、6分36秒、左サイドの Karrouchy から Chtibi を経由して Guehi に渡り、右サイドのMoutaoualiに送られる。岩田がマークに入る前に上がってきた Karrouchy に渡り Irving, Koprivic がマークに入る前にシュートを放たれる。このショットは外れたがこれを境にCasablanca の攻勢が続いた。7分54秒には Erraki から Iajour に渡り Vicelich がマークに入るもシュートに持ち込まれるがGK正面に。11分30秒、Irving が Karrouchy を倒して与えたFKの早いリスタートから Erraki が放つがここはゴール枠を外す。17分11秒、 Chtibi がMoutaoualiとのワンツーから抜け出すがここは Vicelich がクリアー。
Casablanca は右サイドをMoutaouali ドリブルでががんがん上がって来たと思えばトップ下の Chtibi に預けてリターンを貰ったり、素晴らしいスルーパスを送ったりと対峙する岩田は序盤何度か後手に回ることがあった。 ちょっと彼一人では対応は厳しいと思わされた。 また Hachimi, Karrouchy の両サイドバックがワイドに開き攻撃時は高い位置を保持するのでAuckland の2列目以降が押し込まれる形に。 ボランチの Guehi と Erraki が良い位置にいるのでAuckland がボールを取り返しても経てパスが入りにくい。
21分33秒にはMoutaoualiから受けた Iahour が岩田のマークをかいくぐってシュートに持ち込むがここはGK Williams がストップ。22分18秒にはMoutaoualiがドリブルで上がって来るがここは岩田と Berlanga と2人掛りでストップ。22分31秒にはショートコーナーから中に入れられるが長身 CB Vicelich がクリアー。23分5秒にはまたもショートコーナーから 左SB Karrouchy がシュートを撃つがGK Williams がキャッチ。 23分50秒には Iajour , 24分47秒には Guehi が連続してミドルを放つ。 Casablanca の選手達がシュートを放ったり、CKを得たりするたびに大歓声が彼らを後押しした。
29分29秒Moutaoualiから Hafidi への浮きダマのパスが通り Iajour 送られる。 Vicelich がマークに入ったところを後方のMoutaoualiに戻されシュートを撃たれるがアンカーの Bilen に当たってゴールラインを割った。
Auckland はCasablanca の猛攻に晒されている様には見えるが決定的なシュートは何とか防ぐと言う粘りのディフェンスを見せていた。 CKを取られても高さでは上回るAuckland DF陣はしっかりと中を固めていた。
しかし均衡は破られてしまう。38分11秒、Moutaoualiから Iajour に渡りボランチの Guehi に送られる。そして左サイドを上がってきた Karrouchy にパスが通ると Karrouchy はワンタッチパスを前線にそこに走りこんだ Iajour が Vicelich のマークを受けながらもシュートに持ち込み GK Williams の左を破ってAuckland ゴールネットを揺らし先制ゴールを上げた。
ここまでしっかり守ってきたのに….と残念に思った。大歓声を上げるCasablanca サポーター。大喜びと言うよりも快勝を期待していた彼らにとっては安心の遅すぎた先制ゴールであったか…… テレビに映し出されたAuckland のTribulietx 監督がミネラルウォーターをあおったのが印象的だった。
先制ゴールを許したAuckland であったが終了間際にチャンスを迎える。44分36秒、FW Dickinson にボールが入りドリブルでPA付近に迫る。 Hachimi のスライディングが明らかに Dickinson の脚に入り転倒するが笛は鳴らない。更にこぼれダマを拾った Marquez がドリブルでPAに入って転倒する。リプレーを見ればマークに入った Benlamalem が脛を蹴っているのにガンビア人の Gassama 主審は笛を吹かない。 どちらかのプレーは明らかなファールだったけど。 ファールをアピールする Marquez に観客は口笛を浴びせた。
しかし前半終了直前にCasablanca の選手が倒れてボールアウトにしAuckland のスローインとなったが、Marquez がCasablanca の選手に返した時は拍手が送られた。
同点!しかしロスタイムに無念の決勝点….
両軍選手交替無しにCasablanca のキックオフで始まった後半もMoutaoualiで幕が開けた。開始早々 Berlange がMoutaoualiを倒してFKを与えるがこのFKは Irving がヘッドでクリアー。その直後のCKは Vicelich がヘッドでクリアーするもこぼれダマを拾ったMoutaoualiがチップキックでAuckland ゴール前に送りテクニックを見せる。 50分には岩田をかわして前に上がるがここは Berlange がカバー。51分には左サイドに回ったMoutaoualiが Vicelich と競りながらドリブルシュートに持ち込むがファーポストの左に外れる。 何とか追加点は止めないと….と案じるが、55分を過ぎるとAuckland が前に出てくる機会が増え始めた。 その基点となったのは左MFの Roy Krishna。前半も何度かドリブル突破を見せていたが後半は更にそのドリブルがボランチの Guehi 一人では止められずSBの Hachimi , トップ下の Chtibi が引っ張られる様になった。
55分にはボール支配率がCasablanca 59 Auckland 41 と表示されるがこの時に試合を支配しているのはAuckland だった。56分岩田が Dickinson に送るとマークに入った Benlamalen に倒されイエローカードが出されFKが与えられる。 Marquez の FK から Koprivic に繋ぎ中央に走りこんだ Krishna に送られるがその前に Erraki がクリアー。惜しいチャンスだった。そのCKから Vicelich がヘッドで前に送り跳ね返ったところを Koprivic が放つがゴール枠は外れる。 61分には再び Vicelich からゴール前に入れられ Krishna が撃つがここは GK Askiri の正面に。 徐々にオークランドがペースを掴みスタジアムに口笛だけが響くようになる。
そして63分久々MoutaoualiにPA付近でボールが渡るが3人でマークに入りボールがこぼれる。そのこぼれダマを拾った Krishna が一気にドリブルで上がると今度はここにマークが3人入る。しかしマークに入った Erraki, Oulhaj おして Benlamalen が重なる様に交錯しボールがこぼれる。それを再び拾った Krishna がそのままドリブルで上がりGK Askiriと1対1になる。 Krishna が冷静に放ったシュートはCasablanca ゴールに突き刺さりAuckland が同点に追いついた。
スタジアムはただ静寂が訪れた。何人いたのだろう観客席にいた Kiwi 達が大喜びしている。そしてテレビを見ていた私も思わず声を上げた。
Auckland City FC というよりも2009年大会の TP Mazembe との5位決定戦で Auckland City FC の Riki Van Steeden がロスタイムで決勝ゴールを上げて以来333分ぶりにオセアニア代表のチームがこの大会で決めた得点であった。
その直後、追いついた Auckland ベンチが動く。トップの Dickinson を下げてアルゼンチン人FW Emilliano Tade が投入された。 足の止まり始めた Casablanca DF ラインをドリブルで突破する方策だろう。
攻撃の方も悩まされていた Moutaouali は岩田と Berlaga が上手く協力して抑える様になっていた。そして Chitbi の運動量が落ちて来てMoutaoualiが孤立しだした。70分には Krishina が左サイドを突破し左サイドに回って来た Bale に出す。 Bale が入れたクロスに Koprivic がヘッドで狙おうとするが Chtibi が完全に抱え込んでヘッドが撃てない。 ここはホイッスルが鳴ってもよくは無かったか? 73分にはMoutaoualiからのスルーパスに Hachimi が反応できずMoutaoualiの表情が険しくなる。 この調子で行けばAuckland にもチャンスがあると思い出した。
Casablanca ベンチは74分遂に Chtibi を下げてコンゴ代表の Deo Kanda を投入する。 Kanda は2009年大会 TP Mazembe のメンバーとしてAuckland と対戦している。Kanda は2列目右に入り、 Hafidi がトップ下に入った。 この交替がそうしたのかポジションチェンジがそうしたのかこれでCasablanca が再び主導権を握りだした。
76分 Erraki から Iajour に縦パスが入るが Berlaga がマーク。 77分にはMoutaoualiのドリブルから中に送られHafidi を経由して Guehi がシュートを撃つが Irving がブロック。
82分Auckland ベンチは2人目の交替選手パプアニューギニア代表 FW David Brown を投入する。これで2トップ気味にするのかな?と思ったけどCasablanca ベンチも延長はご免とばかりに Iajourを下げて中央アフリカ代表の Vivien Mabide を投入する。その直後にMoutaouali から Hafidi に渡るが Berlaga がスライディングでストップ。 87分には Mabide が右サイドから大きく左前方に送るがここも直前に Irvine に替わって投入されたベテラン James Prichett がスライディングでクリアー。 その向こうには Kanda, Hafidi がフリーだった。さすが元 All Whites のベテランと思った。88分には Erraki からMoutaoualiに入るがここも岩田が粘りのマークで中に入れさせない。
そしてロスタイムが4分と表示される。 延長に入るとAuckland の方が苦しいかもしれないけど前半よりも得点の可能性が感じた。チャンスがあるはずだと期待した。試合前に岩田卓也のコメントが紹介された。“ チャンスを掴めば拡がる。”
そして90分左サイドを Krishina がドリブルで上がり中央を上がった Tade に送る。 そして更に前に入った Brown に。Brown は倒されるけど笛は鳴らない。そこから繋がれ中盤のMoutaoualiに繋がれる。 Bilen がファール覚悟でストップを図るが Moutaoualiは倒れそうで倒れず、Gassama 主審はアドヴァンテージを取り笛を吹かない。 そして左サイドを上がった Karrouchy に送る。 Karrouchy のクロスに中央で飛び込んだ Oulhaj のヘッドは GK Williams が良く反応するが走り込んだ Hafidiにこぼれ球を押し込まれてしまった。 もう一人中央に走り込んだKandaのマークに入っていた岩田の反対側にボールがこぼれるという不運だった。 痛恨のゴールを許した GK Williams と岩田の表情が……
大歓声の上がるスタジアム。しかしまだ数分残っている….. 再開後に Bale が Erraki に倒されFKのチャンスを掴む。散々相対したこの二人、最後に来て睨み合いを始めた。 そしてCasablanca ベンチは時間稼ぎか Hafidi を下げて Rahumani を入れる。 もう最後のチャンスだ。 GKが蹴り入れろ!全員ゴールマウスに入れ!とテレビに向かって叫ぶ。
しかしWilliams は蹴らずにCasablanca ゴール前に上げられたFKは跳ね返され、激闘に終止符を打つホイッスルが鳴り響いた。
あぁ~惜しかったなぁ~。
試合後、Tribulietx監督は選手達の健闘を誇りに思う、というコメントを残したらしい。 日本テレビでも“これだけハイレベルな開幕戦は初めて。”としきりに賞賛していた。 だったら昨年までのAuckland は何なんだ?とちょっと腹が立った。
Auckland の選手達は翌朝早くに Agadir 離れ30時間近く掛けて遠路ニュージーランドに帰国したらしい。
この間の選手達の心中は......
勝ったCasablanca は更にMonterrey そして何とAthletico Mineiroをも破り、史上初めて開催国枠のチームの決勝進出を決めた。 こんなに強いチームにあれだけ健闘したのか....それともこの試合がCasablanca を成長させたのか......
決勝戦と同じくらい楽しみだった試合だった。また来年どんなオセアニアのチームが出て来るか楽しみだ。
その時は現地で観戦したいなぁ.... だけどモロッコは遠いか....
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