Mr.コンティのRising JAPAN

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ヤングなでしこ日韓対決制して準決勝へ  日本女子 U-20 3-1 韓国女子 U-20 30th August 2012

2012-09-23 | Women's Football
昨年ワールドカップをなでしこが制して以来長い閉塞感から抜け出せない日本列島における女子サッカーの見られ方はまさに劇的に変わった。 ロンドン五輪では金メダルが期待された。北京五輪で史上初めて準決勝に進出した事を知るマスコミはほぼ皆無に等しかったのに。 その前から2008年ニュージーランドで開催された FIFA 女子 U-17, 2010年ドイツで開催された FIFA 女子 U-20 更に同年トリニダードドバコで開催され決勝に進出した FIFA 女子 U-17。 どの媒体が取り上げた事があるのだろう? 

ロンドン五輪と入れ替る様に FIFA Women’s U-20 大会が開幕した。 もともとこの大会はウズベキスタンで開催される予定だったが FIFA の基準を満たしておらず開催地が日本に変更された。 選手の、特に20歳以下の女子の大会と云う事を考えれば2年前(ドイツ)や今年の様に先進国で開催された方が圧倒的に良いと思う。

対韓国戦と言えばロンドン五輪の男子サッカー3位決定戦では敗れ、女子バレーボールでは雪辱を果たし、そして三度の対戦となった。李明博大統領の竹島上陸、更に天皇陛下の戦争責任を示唆する非難発言を受けて今日韓関係はかなり悪くなっている。
個人的にはそれを修復する必要はないと思っているし日本が困る事は何も無く早く竹島を実行している韓国軍を追っ払って欲しいと思うところだ。 そしてその感情はもちろんスポーツの世界に持ち込むべきではないと思っている。 多くの人がそう考える様に。

両国は2年前の FIFA U-17 の決勝戦でも対戦しておりその時は韓国がPK戦で日本を降している。 その大会の経験者が日韓共に多くを含んでいるが、ヤングなでしこ達の思い出は準優勝に終わったにもかかわらずみな異口同音に“悔しい思い出しかない”との事らしい。

韓国のスタメンを見ると今大会ずっとゴールを守っていいたGKは FIFA U-17 2010 でも控えGKであった Shim Dambi でなく全ハヌル。FIFA U-17 2010 でレギュラーだった決勝戦ではPK戦で殊勲のセーブを見せた Kim Minah はメンバー入りしていなかった。
CB の金池恵、申譚詠共に 170cm 。申譚詠はU-17 メンバーで張セルギ(左)徐賢淑ら両SBもU-17 メンバー。ボランチは 共にU-17 メンバーであった李定垠と李永周。⑦の李永周はFIFA U-20 2010のメンバーでもあった。 ワントップの金銀河も同じく 前回のFIFA U-20, U-17 に選ばれたメンバーであった。 2列目には左に U-17 メンバー李金玖と右に崔ユリ。そしてトップ下に1次リーグのナイジェリア戦で負傷して以来出場していなかったエースストライカーの余智が3試合振りにスタメンに起用された。余智はU-17 2010 では8ゴールを挙げた選手。 今大会、もしナイジェリア戦での負傷がなければ韓国もグループ首位で抜けていたかもしれない。
ヤングなでしこ達も経験者揃い。 この試合は2列目左で起用された、今大会の“アイドル”となった田中陽子は左SBの愛する高槻でプレーする浜田遥と共に2008, 2010 年のFIFA U-17 メンバー。他にも2年前韓国との決勝戦でプレーした選手が GK 池田咲紀子、右SB高木ひかり、ボランチ猶本、MF田中美南ら4人が含まれており、この試合もベンチスタートとなった仲田歩夢もそのメンバーだった。 他にはボランチの藤田のぞみとCB木下栞がU-20 2010 のメンバーだった。



日本のキックオフで始まった試合は開始そうそう柴田から西川にスルーパスが送られるがシュートには至らない。 立ち上がりから韓国は FW 全銀河のボールキープが目立った。 
5分には花火が打ち上げられ観客はそちらに注意をひかれる。 何の花火だったのだろう??



その花火の効果があったのか8分に日本が先制ゴールを決めた。 全銀河から李永周へ送られたパスをカットし田中陽子に送られ、中央の西川に。そして走り込んだ柴田にスルーパスが通りボールは申譚詠が触れられず柴田にGK全ハヌルが前に出て来るがその前に放ったシュートが韓国ゴールに決まった。 日本の最初のチャンスが先制ゴールに繋がった。


 
その後も日本のパスがリズムよく回りチャンスが続いた。 9分52秒には田中陽子から美南にサイドチェンジのボールが渡り折り返したところを西川が走り込みシュートを放つがGK全ハヌルが何とかストップ。 12分には西川明花からパスを受けた美南が張セルギをかわしてシュートに持ち込むが惜しくも外れる。 
これで追加点は時間の問題と思った15分、李永周からミドルパスを受けた李金玖が左サイドを上がる。 高木ひかりがマークにはいるが李金玖は態勢を崩しながらも藤田のぞみがマークに入る前にしぶとくクロスを上げると走り込んだ金銀河がフリーでヘッドを放ち日本ゴールネットを揺らされてしまった。 猶本のマークがわずかに及ばなかったがここは李金玖の粘りが全てだった。
2年前にPK戦で敗れている事を思い出す。 



しかしすぐに日本は追加点を上げる。 19分猶本から右サイドの美南にミドルパスが繋がり中に折り返し中央の柴田が放ったミドルが韓国ゴールに左ポストの内側に当たって突き刺さった。柴田の見事な連続ゴールだった。これでヤングなでしこ達は落ち着きを取り戻したと思った。
その後もヤングなでしこのワンタッチパスが回り出す。 21分には好位置でFKを貰う。観客が田中陽子の直接FKに期待を送るがここは壁に直接あたった。 
30分には韓国が右サイドを使う。 徐賢淑がサイドをオーバーラップしてくるが浜田遥がスライディングでCKに逃れる。そのCKを李周永が全銀河とのパス交換でシュートを放つがGK池田がパンチでクリアーするとそのこぼれ球を李金玖がシュートを撃つがクロスバーを越えた。 ここで決められていたらちょっと試合展開はどうなっていただろう? そして浜田が脚を引きずっている。気になるところだった。 



33分韓国ベンチは早くも李定垠を下げて文美羅を投入する。文美羅は前のブラジル戦ではスタメンだった。 
だが次にゴールを決めたのもヤングなでしこだった。 高木ひかりがオーバーラップし美南の縦パスを受ける。ドリブルで中に切れ込み文美羅のマークを受けながらも中に折り返すと田中陽子が蹴り込み追加点を決めた。
“た!な!っか!ようこ~!ららら~ららららら~”とスタンドからは大歓声が沸き上がる。 田中陽子のシュートも見事だったが中央で上手く徐賢淑のマークを引き付け田中陽子をフリーにした西川の動きも見事だった。


 
2点のビハインドとなった韓国は前線に余智を上げて全銀河との2トップ。 しかし余智、今一つ調子が上がらないみたいだった。 そして日本ベンチは前半終了間際の44分に高木ひかりを下げて中村ゆしかを投入した。 中村は前のスイス戦ではスタメンでフル出場をしていた。 そして前半が終了した。 
この日も相当な蒸し暑さ、気温というよりも湿度が高いのが辛くかっただろうなぁ~。 と選手達が水分補給をするのを見て思った。



後半に入っても日本のパスワークは韓国を圧倒。更に1対1でも韓国選手に勝ち目はなかった。 おそらく70年代のある時期の日韓の男子代表の差はこれぐらいあったのかもしれない。
韓国はボランチの李永周のパス、ドリブルと前線の全銀河のボールキープ、シュートだけが頼りだった。
52分には李永周がミドルを放ったがポストの右に外れて行った。
この日は24,097人の観客が詰めかけたが以外にも韓国側のサポーターが少なかった。 劣勢を予想される試合では応援に来ないのかなぁ~と思った。 2010年 U-17では決勝戦で日本と激闘を交えた韓国であったがその時の選手が中心となった両チームが激突したこの試合はそんな片鱗は見られなかった。 それは恐らく韓国女子サッカー界の体制に有ると思う。
選手の所属先は高校か大学。 文美羅、FW 崔ユジン、DF徐賢淑らがクラブチームに所属しているようであった。一方のヤングなでしこは FW道上彩花(常盤木学園 )、中村ゆしか( 関東学園大 ) そして高木ゆかり(早稲田大)以外はなでしこリーグのクラブチームに所属する選手達。 女子サッカーが韓国でどの様な位置付けになっているかわわからないが日本よりは環境が良いとは言えないかもしれない。 7番を付けていた李永周はなかなか私好みの顔であるので漢陽大学を卒業したらなでしこリーグにはいってくれぃ~。 



69分には李金玖を下げて U-17 2010メンバーの李ソンダムが投入されるが状況はあまり変わらなかった。

日本ベンチは60分浜田遥を下げた。やはり脚の具合が。そして投入されたのがFWの横山久美。彼女もU-17 2010組だ。
これで前線を西川と柴田の2トップにし左サイドに横山を入れて田中陽子を左SBに置いた。 
日本はサポーターが陣取側の韓国ゴールに何度も攻め込むが後半はなかなかゴールが割れ無い。 75分の西川のミドルはポストも左に外れ、80分はゴールインと思われたがその前のプレーでボールがゴールラインを割っていたとの事でノーゴール。



85分、西川が大歓声に迎えられベンチにさがり道上彩花が投入され柴田が2列目に戻り再びワントップに。 
終了間際、ロスタイムに入り韓国ベンチはCB申譚詠を下げて崔笑美を投入した。崔笑美は前のブラジル戦でも残り4分で投入されたけどこの試合の投入はどういう意味だったのだろう?
そして3分あったロスタイムも過ぎタイムアップのホイッスルが鳴り日本の準決勝進出が決まった。 
もうすこし韓国が頑張るかとおもったけど……
地元開催とはいえ前回は1次リーグで敗退したヤングなでしこは今回は準決勝に進出した。そしてあと2試合出来る事となった。

競技場を1周する選手達と観客を観てこれからも女子サッカーが発展していく事を願った。 



マスコミは次なるヒロインを見つけられてほっとしているだろう….



そして帰宅後私は次の出張準備にかからねばならなかった。

出張先でヤングなでしこは準決勝のドイツ戦に敗れてその後ナイジェリアを破って3位になった事を知った。