Mr.コンティのRising JAPAN

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ACL日中対決 これが中国超級の実力なのか…. 柏 0-0 広州恒大   4th April 2012

2012-04-15 | Football Asia
先週発表された週間天気予報ではこの日も寒くなるとの事であった。 こりゃあ、キックオフ時間が変更となったキリンチャレンジカップ、アメリカ女子代表対ブラジル女子代表戦に続いて現場観戦中止かなぁ…と思った。
しかし前日吹き荒れた“春の嵐”から一転この日は“春の陽気”だった。

柏駅前には“広州恒大”サポーターがスタジアムまでの道程が解る様に臨時の案内所があった。 そこに貼られている地図を見て競技場までの道を調べているとボランティアだろうか中国人の若い女性に声を掛けられた。
“没有問題。我是日本人。”と大学時代に習ってまだ頭の中に残っている数少ない中国語で答え二度三度と頭を下げて競技場に向かった。 



前に来た時も歩いて行ったなぁ…あれは2009年衆議院選挙で民主党が政権を獲った日だった。 愛する京都が柏レイソルとのJ1リーグ戦を観戦して以来だった。あの時のレイソルはJ1残留に必至だった。試合は京都が押していた。試合結果は 0-0 だった。そのシーズン、柏はJ2に陥落してしまいサンガは何とか残留した。
そして約2年半後、京都はJ2に逆戻りそして今シーズンもJ2でのスタート。柏はすぐにJ1昇格を果たしそしてそのままJ1制覇。ACL 出場権も手に入れた。それにしてもいつになったら愛する京都のACL観戦が実現する比が来るのだろう…..

道中競技場に向かう多くの中国人達を見掛け国際試合の雰囲気がぐっと上がってくる気がする。
年々日本に渡ってくる中国人が増えているが広大な地域によって言葉も文化も料理も言語も異なる中国では地域間の、南北間の対抗意識も強いと聞いた事がある。 広東省の省都である広州は世界史の授業でアヘン戦争の発端となった都市。今では香港の奥座敷と言われているらしい。 この試合観戦に来た“広州サポーター達”の中には東北部や上海、北京から来た人達もいたのだろうか….
その広州恒大も柏レイソル同様2010年中国甲級リーグで優勝を納め中国超級に昇格したシーズンに優勝を果たしAFC Champions League 初出場を決めた。柏、広州、いずれかがACLで優勝すれば 1978-79 の Europe Champions Cup で優勝した Nottingham Forest と同じだ…と言っても例えが古いか…



最も注目される選手はアルゼンチン人MF Dario Leonard =Conca 。2008年にはかつての浦和レッズの中心選手、ワシントンと共にフルミネンセでプレーし。 リベリタドーレス杯準優勝の立役者に。 2009,2010年と連続してCBF MVP を受賞。
そして2011年に移籍金 €1000万 ( 約1億1574万円 ) 年棒US$1040万 ( 約8億3,740万円 ) という記録的破格な金額で広州恒大に移籍して来たMF. アルゼンチン代表に入ってもおかしくない逸材らしい。 更に 2011年中国超級 MVP のブラジル人MF ムリキ。 ワントップには Cleverson Gabriel Cordova ことセルビア人 FW のクレオ。 ブラジル国籍も持っているが2013年からセルビア代表でプレーできる資格があるらしい。 Liverpool も食指を出したらしい。
MF 29.郜林、ボランチの⑯趙旭日は AFC Asian Cup そしてワールドカップ予選メンバー。CB コンビは北京五輪メンバーだった⑥馮瀟霆と 2004年AFC Asian Cup のベストイレブン⑩鄭智。右 SB 孫祥はかつての上海申花の中心選手で2007年 AFC Asian Cup, ワールドカップ南アフリカ大会予選のメンバー。当初予想スタメンだった李健華に替って起用された 右 SB は韓国人の⑯趙源熙。水原、光州、蔚山でプレーし Wigan Athletics にも所属した。
タレント揃いのイレブンだった。 3月30日に行われた中国超級のアウェーでの上海申花戦 ( 1-0 で広州の勝利 ) は主力を休ませたのかこの試合に続いて柏戦に出場した選手は5選手だけ。 郜林、鄭智そしてクレオは途中出場だった。
柏は右SB に今シーズン北九州から移籍して来た福井諒司が負傷の橋本に替って今季初スタメンに抜擢された。 



試合は広州のキックオフで始まりそのままアウェーの広州が押す展開。 いきなり⑯趙源煕がドリブルできれこみ、その後も⑨クレオが⑮コンカとのパス交換で抜け出しシュートに持ち込み柏DFに当たりこぼれたところを29.郜林が拾って放ったシュートは⑤増嶋に当たりもう一度こぼれたところを⑪ムリキがシュートを撃つが④酒井が身体を入れて弾道をゴール枠からそらす。 広州は⑥馮瀟霆 ⑧秦升、29郜林らの長身が目立つ。そして⑪ムリキを起点とする左サイドサイドからの崩しが目立った。 
5分にはクレオからボールを受けたコンカがオーバーラップして来た右SBの孫祥に送り再びコンカに縦パスを送る。コンカが中に入れようとすると増嶋が身体を張ってクリアー。6分17秒、④酒井の⑪ムリキへのチャージがファールに取られる。広州の韓国人イジャンス監督はイエローカードをUAE人のアリハマド主審に促す。コンカが蹴ったFKからクレオがシュートを撃つが大谷に当たってゴール枠には至らない。12分49秒には福井が郜林へのチャージにイエローカードが出される。 
14分には波状攻撃を受け最後はクレオのシュートを③近藤が身体を入れて弾道をそらせる。17分51秒、ムリキが左サイドを上がったSB孫祥に送り絶妙のクロスを入れられるが増嶋がヘッドでクリアーしコーナーに逃れる。



広州は自軍GKの際はDFラインがセンターライン付近まで上がり、ボランチから前が攻撃時は高い位置をキープし柏ボールになると中盤以降が素早く守備陣形を敷き常に数的優位を保つ。劣勢の柏は⑩レアンドロのボールキープだけが頼り。そのボールキープも次第に持つ時間が長くなり還って他の選手にボールが出なくなって来た。
私が座っていた位置は前半、広州ゴール側付近だったので試合は視界から遠方で展開されていた。



しかし20分を過ぎると徐々に目の前で試合が展開されてくる。 酒井、レアンドロが相対するムリキ、秦升らに競り勝つようになり右サイドをどんどん切り裂いて来た。 24分には酒井が孫祥を外して中へ入れると工藤がヘッドで落としワグネルが放った強烈なショットはポストの右へ外れて行った。これが柏の最初のチャンスらしいチャンスだった。
“サ~カイッ !!サ~カイッ!!やってやれ!!”と言う柏サポーター達からの声援回数が徐々に増えて来る。
目の前でも何度も酒井が相手選手を外すシーンが演じられる。さすが球技専用競技場。迫力ある。



そしてワグネルを中心に左サイドからの突破も目立って来た。しかし工藤、田中と言ったFWになかなかボールが渡らないのでシュートシーンは演じられない。広州は劣勢時でもDFラインを下げて来ない。しかしGK楊君との間にスペースがある様に見えるのでそこに放り込んで走り込めば…と見ている方には簡単に思えるのだけどそうはいかんのだろうなぁ….
40分を過ぎるとレアンドロが2列目の中に入り酒井、ボランチの栗澤が2列目右に上がって来る様になりまた広州選手の脚が止まって来たせいか柏の攻勢が続いた。42分には田中が左サイドから福井、ワグネルの崩しからシュートに持ち込んだがGK楊君の正面に。 その後も何度か柏は広州ゴールに迫るもロスタイムが無かった前半は両軍ゴールを挙げられないまま終わった。

今シーズンのACL Group H は他に昨シーズンACL準優勝の全北現代(韓国)そして Buriam United ( タイ ) が同組。4カ国全て昨シーズンの国内リーグ覇者。 こうやって見てみればもっとなぜこういう組み合せになったのか不思議だ。 
そうしてこれまでこの Group の台風の目になっているのが Buriam United 。柏、広州を連破しこの組の首位に立っていた。
これまでタイと言うよりも東南アジアのチームがここまでやるのは記憶が無い。 一度このチームのゲームを観戦したいんだけど….

両軍交替選手無しに始まった後半、前半終盤に続いて柏の攻勢を期待するが再び広州が試合を試合する。
クレオのワントップだった前半とは異なりムリキが上がり2トップに。そしてダリオが右に郜林が左にそれぞれ両サイドに置かれた。
そしてボランチ秦升、趙旭日は相変わらず前後に精力的に動いていた。 
48分21秒にはムリキがこぼれ球を拾って柏ゴールに迫るが近藤がクリアー。49分29秒には郜林がこぼれ球を拾い放ったショットはGK菅野の正面に。58分ワグネルのクリアーボールをクレオが拾い繋いで右に送り趙源煕が入れたクロスをクリオがヘッドで後ろに落とすと郜林が切り返して上手く酒井のマークを外しシュートを放つが増嶋が飛び込んでブロック。 60分15秒には郜林からのクロスを受けたムリキがシュート体勢に入るが酒井、増嶋が身体を張ってストップ。 その直後にはムリキのドリブルシュートを近藤が何とかブロック。 広州の連続攻撃に柏DF陣がかわるがわる身体を張って失点を防ぐ。



劣勢のホーム柏レイソルは66分 FW 田中を下げて茨田を入れて工藤のワントップにし2列目を3人に増やす。茨田は昨シーズンのJリーグ優勝を決めた最終戦の浦和戦ではボランチのポジションだった。
70分頃には広州ベンチは長身の郜林がトップに上がりムリキが左サイドに入る。 これで前線にはクレオ、郜林の長身選手が並んだ。


 
73分柏ベンチは工藤を下げてリカルドロボを投入する。 サポーター達からは“進めリカルドロボ、立てリカルドロボ”と私が幼少の頃大好きだったジャイアントロボのメロディーに乗せた声援を送る。 あぁもっとこのメロディーを聞きたいなぁ~と思った。



77分そのリカルドに酒井からクロスが入るが馮瀟霆と競り合いながら放ったヘッドは惜しくも外れる。 
80分大谷が福井に送ると郜林の競りながらもワグネルに送る。この時郜林の手にボールが当たったようだけどアドヴァンテージをとったのか?そしてワグネルが中に入れるとそこに走り込んだ福井の放ったシュートは惜しくもポストの右に外れて行った。 ちょっと福井へのボールが足元に入り過ぎていた。 
残り10分を切り、終了時間が近づくとアウェーの広州は勝点1を守るかのごとく中盤が前に出て来なくなった。それでもムリキ、コンカのドリブルは脅威。柏の方ものそれを恐れてかなかなか攻撃に人数を掛けられない。そして何度か広州ゴール前に迄迫るシーンもあったがゴールは決まらずタイムアップとなった。





広州としても次節はホームで柏を迎え撃つ。このアウェー戦で勝点を計算出来ると思われたのではないか…..
それにしても広州恒大は強かった。 アウェーでありながら終始優勢に試合を進めていた。東アジア地区ナンバーワンの下馬評は正しい様だった。

翌週、柏は札幌を2-0 で破った。そして茨田がロンドン五輪候補合宿に愛する京都サンガの宮吉らと共に召集された。
ベガルタとの練習試合では宮吉のゴールで五輪候補チームが 1-0で勝利を収めた。
Jリーグ王者の柏は日本を代表して次節はアウェーで広州相手に勝点を稼いで欲しいんだけど…
広州はホームで Buriram United に 1-2で敗れている。 柏にもチャンスは充分にあるだろう。

そして春の陽気がようやく続く様になった….

柏レイソル:21-菅野孝憲;4-酒井宏樹、5-嶋竜也、3-近藤直也、26-福井諒司;10-レアンドロ・ドミンゲス、7-大谷秀和、15-ジョルジ・ワグネル、28-栗澤僚一;18-田中順也 ( 65分 20-茨田陽生)、19-工藤壮人 (72分 25-リカルドロボ )
  
広州恒大:1-楊君;32-孫祥、10-鄭智、6-馮瀟霆、16-趙源熙;8-秦升、37-趙旭日;11-ムリキ、15-ダリオ=コンカ、29-郜林;9-クレオ

柏駅にまで行く途中子供の時大好きでよく見た“ジャイアントロボ”の主題歌を何度も口ずさんだ。