Mr.コンティのRising JAPAN

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サンガ残った 第33節 大宮 1-1 京都サンガ

2008-12-06 | 京都サンガ J-League

右サイドで柳沢からボールを受けた渡邉大剛がボールをキープしている。
腕時計のデジタルは49分を過ぎていた。私が観ていたところからは何分のロスタイムが表示されたか確認できなかった。そして後ろのスクリーンにも映し出されなかった。そして待ちに待った山西主審の試合終了のホイッスルが競技場内に響き渡った。

      “やった~っ !! “

思わず叫んだ。しかし周りのサポーター達は意外に静かだった。試合内容を振り返れば勝点3を奪える展開だったかもしれない。しかし私は来シーズンのJ1残留を決めたこの瞬間にたまらない安堵を感じた。

      J1残留…..

この4文字が頭の中を駆け巡った。そしてこの試合を観戦しに来て本当によかった….と思った……

サンフレッチェ広島との激闘そして感動の入れ替え戦から早1年。京都はJ112位の位置にいたが2試合を残してまだ完全に降格圏内を脱していなかった。前日、残留争いをする千葉、東京V、磐田が揃って敗れてくれたので愛するサンガはこの日の大宮戦で引き分ければJ1残留が決まる事となった。しかし相対する大宮も立場はほぼ同じ。この試合に勝てば残留争いから安全圏に抜け出せる。しかもこの試合はホームゲーム最終戦。イージーな試合になると思うサンガサポーターはいなかったはずだ。
日差しが暖かいが冷風が少し吹く11月末日の大宮 NACK 5 スタジアム。愛する京都のスタメンは GK 水谷、DFは4バックでCBが北京五輪代表の水本と手島。右サイドは増嶋で左に渡邉大剛。シジクレイと佐藤がボランチ。2列目は右に角田、左が安藤。そして2トップが柳沢と林丈統。 林は31節の横浜FM戦から3試合連続スタメンだ。ベンチには16歳の宮吉拓実が入っていた。

  

一方地元の大宮はGK江角。DFは右から塚本、片岡、富田、波戸 。ボランチは右に小林大悟、左に佐伯。スロベニア人FWのラフリッチが1トップでその後ろには藤本主税。2列目右には小林慶行、左に内田。CBのブラジル人DFレアンドロが痛い出場停止。そして藤本は怪我が伝えられたがスタメンに名を連ねた。
大宮の樋口監督は“試合中にフォーメーションを替えて来るのが京都の特徴。それに惑わされない様に….” と試合前に語っていたそうだ。
樋口靖洋と言えば四日市中央工高時代は日本で開催されたワールドユース候補にも上がっていたが残念ながら最後のメンバーには残れなかった選手だった。

サンガのキックオフで始まった試合は立ち上がりから風上のサンガが押す展開。
2分には渡邉大剛のミドルシュートが富田に当たってCK. そのCKからのこぼれ球を今度は佐藤がシュート。5分には林がクリアーボールをヘッドで左サイドの安藤に送りそのまま安藤は惜しいドリブルシュートを放つ。攻撃時は柳沢、林、安藤が3トップを形成。真ん中には柳沢と林が入れ替わりに入る。そしてDFの押し上げも早く、ボランチの上がりも効果的。8分には左サイドで佐藤からボールを受けた柳沢が林にスルーパスを通す。林が片岡をかわして放ったシュートはポストの右に外れて行ったが右に走り込んだ佐藤に送っても良かったか…… DF陣も190cmの長身ラフリッチがボールを持っても水本がまずマークに入りシジクレイもフォローに入りうまくマークする。

   

しかし先制ゴールは大宮。11分にCKから最初のシュートを佐伯が放つと俄然リズムが出て来たのか立て続けにサンガゴールに迫り12分に左サイドで佐伯のスルーパスから抜け出した小林大悟が中に入れる。中ではラフリッチと手嶋が交錯し倒れるが逆サイドに流れたボールを内田が折り返すと走り込んだ藤本がショット。これはGK水谷が反応して防いだがこぼれ球がラフリッチの前に転がりそのままサンガゴールに押し込まれてしまった。
佐伯のスルーパスを受けた小林大悟の位置はオフサイドに見えたし、ラフリッチが手嶋と交錯した時はむしろ手嶋が引き倒された様にも見えたが、それまで攻勢だっただけに痛い失点であった。
先制ゴールを上げた大宮はダイレクトパスが繋がる様になり、またセカンドボールも拾える様になった。これは藤本主税が前後左右に動いて起点となる良い動きをみせておりサンガDF陣はやや後手を踏んでいた。早く同点に追いつきたいサンガは柳沢がワントップに張る様になった。22分佐藤が柳沢からボールを受けて惜しいミドルを放つ。29分には林のスルーパスを受けた柳沢がそのままドリブルシュートを放つが惜しくもゴール枠を外れた。30分頃からシジクレイと佐藤が左右のポジションを替え、シジクレイが相手の左サイドを突くシーンも目にするようになった。
38分にサンガは決定機を阻まれる。手島の右からのクロスを一旦は片岡にクリアーされるが逆サイドに転がった所にシジクレイが追い付き中に折り返す。それを塚本がヘッドでクリアーするが正面から走り込んだ水本がダイレクトで放ったショットは大宮GK江角が素晴らしい反応で弾き出した。思わず席を立ち上がってしまった。
その直後のCK からカウンターを食らい佐伯とのパス交換で小林大悟が抜け出してドリブルシュートを放つがこれはバーの上。右側に走り込んだ内田がフリーだったのでこれは助かったシーンであった。 前半終了間際には安藤の豪快なミドルシュートが強烈にクロスバーを叩きまたも天を仰ぐ…..そして前半が終わった。
攻勢だったサンガが1点のビハインド。終盤にあったチャンスのどれかを決められなかったか….そんな思いが頭を充満した……

ハーフタイムに入り、少しでも暖を取ろうとコーヒーを求めて売店に並んだ。さすがに日本人。整然と列をなしている。欧州では見られないシーンだ…. と感心していいたら私の直前でコーヒーが無くなり次の分のドリップが終わるまで少し待たねばならなくなった……そしてコーヒーをようやく手にした時に後半が始まってしまった。

後半は席には戻らず立見席の後ろで観戦した。もちろん立ちっ放しだ。この日はヴィジター席いっぱいにサンガサポーター達が集った。願いはただ一つ、勝ってJ1残留を決める事だ。専用球技場なので目の前に江角の守る大宮ゴールが。開始から我がサンガ攻撃陣がサポーター側に向かってがんがん攻め込んでくる。46分には手島がミドルを放ち、50分には安藤のスルーから林がシュートを撃つがここは富田がブロック。53分にはGK水谷のゴールキックが大きく弾み安藤がヘッドで前に送り林が走り込んで放った強烈なシュートはポストの左に飛んで行った。
そして57分、左サイド渡邉から縦パスを受けた柳沢が一旦安藤に返し中に切れ込んだところのもう一度ボールを受け塚本がマークに入る前に中に入れるとそこに走り込んだ林丈統が大宮ゴールに蹴り込み試合を振り出しに戻してくれた。 
この試合は前線で素晴らしい動きを披露していた林のシーズン初ゴールだ。柳沢が我々サポーター席に向かって両手を大きく振って歓声を煽る。私を含め大歓声をピッチに送る。同点ゴールを決めた林もサポーター席に向かって両手を振る。
Let’s Go 林 ! Let’s Go 林丈統 !! ララララ~林 !! 決めてやれ !! “ 林のサポーターソングの大合唱が始まる。前半から決まりそうで決まらなかったゴールがようやく決まりサポーター達の喜びが大爆発だ。
サンガは勝点1で充分だが大宮は勝たねば残留は決まらない。この同点ゴールを機に試合が激しくなる。63分、増嶋が芝生に足を取られて痛めそれを見た佐藤が外にボールを出すがスローインを受けた藤本主税がタッチラインに出したのだが、その方向がサンガ陣内深くに入ったところ。この出し方に就いてサンガの選手達が藤本を囲んで抗議をするが藤本も引き下がらないので小競り合いが。66分にはラフリッチがしつこいマークに手を焼いていた水本を倒して増嶋が詰め寄る。 
京都はセカンドボールをよく拾うので大宮はラインを上げられず、特にDFラインはゴールエリアのすぐ近くまで下がってしまっていた。 
サンガとすれば逆転して残留を確固たるものにしたいところ。 70分にサンガベンチは安藤を下げて183cm長身の西野を入れて1トップに据える。そして林と柳沢のどちらかがが西野の周囲に。その直後に角田から西野を経てボールを受けた柳沢がシュートを放つがここは江角にパンチで弾き出された。
柳沢にボールが入ればやはり安心してみていられる。さすが元日本代表。2試合連続2得点を挙げこれまで日本人選手の中ではJ1得点王だ。私はまだまだ柳沢は代表に必要な選手と考えているのだが…..

  

73分大宮ベンチが動く。後半動きの少なくなった藤本を下げて土岐田洸平が投入される。藤本は故障を押して良く走っていた。その直後、大宮サポーター達の大歓声が沸く。サンガペナルティーエリア前にこぼれたボールを拾った内田が入れたクロスに波戸が走り込み前にこぼれた所をフリーで抜け出たラフリッチのシュートが水谷を破りゴールネットを揺らされたが、これはオフサイドの判定。ラフリッチは自分のポジションが解っていたのか激しく抗議はしなかった。しかしラフリッチのオフサイドポジションを主審は気づいていたとは思えなかった。線審がよく見ていてくれた。それにしても冷や汗が背筋に流れるシーンだった。

77分には佐伯に替って大宮一筋この日33歳になった大ベテランの斉藤雅人が投入され右のボランチに入り小林慶行が右から左のボランチに入った。この選手交代が大宮に勢いを取り戻させた。78分には波戸が渡邉をかわしてシジクレイがマークに入る前に強烈なショット。これは水谷がナイスセーブで防いでくれた。74分、大宮ベンチは内田を下げて最後の交代選手、188cmの森田浩史を入れラフリッチと2トップを組む。こうなるとサイドからクロスを上げる選手をケアーせねばならない。

だが85分、増嶋が角田とのパス交換から久々にわれわれの目の前に迫り、柳沢、西野、林がゴール前に雪崩れ込むがここは何とか大宮DF陣が耐えた。 

   

サンガベンチは87分に林を下げて森岡を投入し逃げ切りをはかる。大歓声に送られてベンチに下がる林。87分間は今シーズン最長出場時間だがこれまで林がこれだけの時間プレーした事は何度あっただろうか? 
そしてこれまた大歓声に迎えられた2002年ワールドカップ日韓大会の日本代表の主将の森岡は今シーズンは怪我のせいもあったのか第13節横浜FM戦以来の出場。そして今季はこの試合を含めても7試合目の出場だ。 

   

森岡の投入でDFラインは水本、手島、増嶋の3バックとなり森岡はそのDFラインの前にはいり渡邉、シジクレイと守備的MFラインを構成する。そしてボールをキープして上手く時間を使っていく。大宮も森田の位置が意外に高くないのでラフリッチに密着マークを付けられる。  後はこのまま引き分けに….と思うがロスタイム表示が見えず、また発表もなく焦燥感がつのりだす。 もう時計の針は49分を過ぎていた……..

試合後は来季もJ1でプレーできるという安堵感に浸りながら帰途に着いた。 
今季は少なくともJ1でも中位争いは出来るくらいのチーム力があったという事だったのか……
  
  

  
12月に入ると各球団“来季契約しない”選手を続々と発表。京都も徳重、田原豊といった選手が対象となった。2人とも好きなんだけど….田原はそのちょと惜しい気がする….
そして森岡の現役引退が発表された。 最終戦はホームで清水エスパルスとの対戦だ。かつて所属したチーム相手に森岡が少しでもプレーできる時間がある事を願った。

しばらくは来季もJ1のサンガをサポートできるこの幸福感に浸りたい。
勿論J2でもサポートするけど…… それにしても1年経つのは早いなぁ……….