▼1972年札幌五輪。笠谷・今野・青地の【日の丸飛行隊】が、表彰台を独占した。転んでも笑顔が素晴らしかった【銀盤の妖精】ジャネット・リン。そして、テーマソングの【虹と雪のバラード】。札幌は、世界のサッポロになった。
▼素直に感動し、涙を流した札幌五輪。五輪は「国威発揚」という側面があるが、それらは、サッポロに降る白い雪に、すべて覆い隠されていた。
▼平昌五輪の日本選手団の結団式。海外遠征で欠席した葛西選手(45歳)に代わり、高梨沙羅選手(21歳)が旗手を務めた。
▼『国旗を持たせていただき、あらためて日本代表で夢の舞台に立つんだなと、身に染みた。心を燃やして、全力を尽くしたい』。
▼金メダル期待へのプレシャーか、最近、表彰台のトップに立てない高梨選手。「キラリと輝く君の瞳の中に、メダルは輝いているよ」と、道民すべてがテレビで、応援してますよ。
▼引っ込み思案だったという、小平奈緒選手(31歳)は、主将に選ばれた。『覚悟を決めることで勇気が生まれる。主将という大役も含め、覚悟を以て(五輪)に臨みたい』。
▼小平選手は友人で、同じスピードスケートの住吉都選手(享年30歳)が、先日自室で亡くなった。遺族からは「都の分まで頑張って」と託されたという。
▼選手たちは、それぞれに大きな重荷を背負い、自分の限界と応援する国民のために挑戦する。今大会は、1998年の長野大会以上のメダルが期待されるという。
▼参加する選手たち、また参加できなかった選手たちに、『あなた方は日本の誇り』ですと、心から拍手を送りたい。開催前に、すでに胸を熱くする道民の一人です。
▼さて、選手たちと真逆で情けない人物がいる。我が国の“主将”アベ総理だ。開会式に「行かない行く」の、混迷ぶりだ。
▼行くことになったのは、米国からの要請で、ペンス米副大統領と文大統領とアベ総理で、北朝鮮包囲問題を討議するように言われたという報道もある。
▼さらに国会答弁が情けなさすぎる。自衛隊を憲法に明記するという件では『自衛隊に憲法違反だが、何かあれば命を張ってくれというのは、無責任だ』と、詭弁を弄す。
▼『多くの憲法学者が自衛隊を違憲と判断するが、そうした議論が行われる余地をなくしていくことは、私たちの世代の責任ではないか』。学者を無能呼ばわりするなら、自分は何者なのか。
▼話は沖縄に飛ぶ。事故を重ねる米軍機。飛行中止を求める県民の願いに、爆弾でも落としかねない感じで、上空を我物顔で飛行を続ける。
▼「日本人は、繰り返し行えば、あきらめる人種なのだ」と米国に教えているのは、もしかしてアベ総理ではないか。「改憲も何度も声高に発言したら、どうやら国民もその気になってきたからだ」と。
▼「開会式に出席し、選手団を激励したい」と、アベ総理は言う。選手たちは、世界が一つに集まり、みんなが仲良く、平和であることを心の底で願いながら戦うのだ。「国家の威信に賭けて」などという、そんなレベルの低いことで戦うのではない。
▼五輪期間中に、北朝鮮を訪問し、拉致問題解決を話し合う。そんな総理であれば、国民はあなたに、世界一の金メダルを差し上げるだろう。