▼昭和天皇といえば、軍服に身を包み白馬にまたがる凛々しい姿と、マッカーサー元帥とのツーショット写真がまず目に浮かぶ。それに、なんと言っても、昭和天皇といえば、切っても切り離せないのが戦争だ。
▼父親のイメージは長男が受け継ぐが、孫までは及ばない。今上天皇は『戦争責任』という重い荷物を背負わされて生きてきたようだ。
▼憲法には「国政に関する権能を有しない」とされているので、俗にゆう「口出しができない」というのは、何とも歯がゆい象徴という役割だ。憲法が改正されたら、『憲法改正にあたっては、天皇の助言を必要とする』という文言を入れてやってほしいものだ。
▼『天皇を辞したい』とのお言葉は、相当な決断であったに違いない。自分の代で『天皇家の戦争責任』を終わらせたかったのではないか。在位後半の『慰霊の旅』は、それを実証しているように思われるからだ。
▼次の天皇は、おそらく改正憲法下での在位になるだろう。『戦争をしてはならない』というお言葉を発せるような、新たな天皇像を期待したい。
▼歌会始の儀の、美智子皇后陛下の歌だ。【語るなく重きを負ひし君が肩に早春の日差し静かに注ぐ】。皇后陛下も民間から初めて嫁がれた。御苦労は陛下同様のものだったのではないか。この歌は、肩に重くのしかかる陛下の悲しみにそそぐ尊敬のまなざしを、自分にも重ねたものだろう。
▼次期天皇の歌だ。【復興の住宅に移りし人々の語るを聞きつつ幸を祈れり】。深読みの私には、大災害を戦争に例えての歌のように思う。戦後の復興を忘れずに、平和で幸せな国であってほしいと願う、歌のように思うが。
▼願わくは、新元号は【平和】であってほしい。その元号が、我が国の【御印籠】になることを。さらに【天皇の退位と即位の儀式】が、憲法改正の格好の呼び水にされんことを祈り、天皇皇后両陛下へ、鄙の片隅から、感謝とご苦労様の言葉をお届けしたい。