鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2062~たくさんのふしぎ5

2022-03-28 12:59:45 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ5です。

「たくさんのふしぎ」シリーズから3冊の感想を書きます。

①都会で暮らす小さな鷹 ツミ
出版社の内容紹介を引用します。
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ツミは、とても小さな鷹です。
春に南のほうから渡ってきて、子育てをし、秋になるとまた南に移動します。
ツミはもともと山奥に暮らす、めったにみられない鳥でした。
しかし1980年代から、人の多く住む都市部でも繁殖が見られるようになったのです。
著者はその子育てを15年以上観察し、スケッチをしてきました。
その豊かな表情を、じっくりご覧ください。
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ツミという鷹がいることを知りませんでした。
夏に南方から渡ってくるそうですから、ツバメのように北海道ではほとんど見ることがない鳥なのでしょう。
ツバメは民家に巣を作るためポピュラーですが、ツミは近年まで山奥でしか見ることができなかったためあまりポピュラーではないようです。
それにしても小さいですね。
ヒヨドリくらいの大きさで、ハヤブサより一回り小さいそうです。
それでも巣に近づくカラスを撃退したり、スズメなどを狩ったりします。
著者は横浜でツミの巣立ちを観察しました。
子どもは飛べるようになっても親からエサをもらいます。
親は頃合いを見計らってエサを届けなくなり、子どもたちは仕方なく自分でエサを探します。
最初の獲物はアブラゼミ。
眼の良いツミならではの獲物です。
そして秋には南方へ旅立ちます。
最後に著者は冬の南方で暮らすツミを観察したいと書いています。
渡り鳥の夏冬の観察記って読んだことがありません。
ぜひ続編を書いて欲しいです。

②りんごの礼拝堂
出版社の内容紹介を引用します。
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フランス、ノルマンディ地方の小さな村に500年前に建てられ、壊れかかっていた小さな礼拝堂を、日本人画家、田窪恭治さんが生き返らせました。
自分で資金も調達し、10年かけてよみがえらせ、田窪さんはその礼拝堂を村に返しました。
一人の日本人画家が、なぜフランスの田舎の礼拝堂をよみがえらせようとしたのか、芸術家の創作の秘密にせまります。
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本書は、日本人が金に物を言わせて海外の不動産や美術品を買いあさり、エコノミック・アニマルという蔑称を付けられていた頃のお話です。
ある日、わずか数十人の集落に日本人画家が訪ねてきて、ボロボロになった礼拝堂を直したいと申し出ました。
村人は警戒しましたが、繰り返し説明会を開いて納得してもらいました。
画家は近所の町に家族を住ませて、修復に取り掛かりました。
屋根瓦が壊れ床に陽光が射していた美しい光景を再現するため、色ガラス1万枚を瓦代わりに使いました。
内壁は何重にも塗り重ねた後、引っ掻いて模様を出しました。
将来、壁が汚れたときは汚れを削り落とすことで新たな模様が生まれ、下地の鉛壁が出るまでに500~600年はかかるという画期的なアイデアです。
それにしてもタクボさんは随分と行動的な画家ですね。
金刀比羅宮の宮司と同級生ということで、帰国後は金刀比羅宮の再生計画に携わったそうです。
そちらの方も気になります。

③古くて新しい椅子 イタリアの家具のしゅうりの話
出版社の内容紹介を引用します。
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イタリアのフィレンツェにすむ小学生のマルコは、お父さんから机と椅子をもらいました。
でもそれは古くてぼろぼろ。
マルコは机と椅子を、いろいろな職人の工房へ持っていきます。
古いものがりっぱによみがえって、また使える喜びと、手でものを形作っていく職人たちの喜びを伝えます。
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お父さんのおじいちゃんの頃からある古い机と椅子。
お父さんも子どもの頃に使い、物置に仕舞っていましたがかなりボロボロ。
マルコが使うに当たり、職人に修理を依頼します。
本書はその修理の過程を丁寧に描いています。
机や椅子の壊れた箇所は別の木に取り替えます。
無くなった引き出しは新たに制作します。
新しい引き出しの取っ手は、残っている取っ手を使い砂に型取りして、溶かした金属を流し込んで作ります。
机と椅子の表面を金属タワシでこすって古い塗装をはがし、仕上げはニスを塗って表面保護、ワックスで艶出し。
ぴかぴかの机と椅子にマルコは大喜び。
ものを大切に修理して、何世代にもわたって使い続けていることに感動しました。
本書を読んで、使い捨て経済に流されず古いものを修理して使うことこそ温暖化対策になるのではないかと思いました。


コメント
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