鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1992~たくさんのふしぎ3

2021-02-12 12:10:24 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ3です。
「たくさんのふしぎ」シリーズ第3弾です。
①「ライオンタマリンの森」
出版社の内容紹介を引用します。
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ライオンタマリンという動物がいます。
ブラジルに住むサルなのですが、数が減って今では500頭しかいません。
そこで動物園にいるライオンタマリンを、野生で生きられるように訓練して野生の森に放すことになりました。
この本では、そうした運命をたどる2頭のライオンタマリンが登場します。
彼らは無事生きのびることができるでしょうか?
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かつてブラジルの大西洋側には「東の森」といわれる南北に長い広大な森がありました。
ところが焼き畑農業の拡大により現在では離れ小島のような森がポツンポツンと残るだけ。
貧しい農民に野生動物保護の大切さを訴えても協力してもらえなかったため、その子どもたちに教育を通して訴え、ようやく保護活動が浸透しました。
森の再生と野生動物を増やす取り組みが始まりました。
本書では動物園育ちのライオンタマリンのつがいを時間をかけて野生に戻す様子が描かれています。
エサを獲る、身を守る、テリトリーを守る、ということをひとつひとつ学び、やがて子どもが産まれます。
彼らは無事に生き延びることができたのでしょうか?
本書は23年前も前に書かれており、その後保護活動はどうなったのでしょうか?
調べると意外な事実が明らかになりました。
以下の記事は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」からの要約です。
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ゴールデンライオンタマリンは1970年代に200頭まで減少したが保護活動により2014年に3700頭にまで回復した。
ところが2017年に黄熱病が流行すると30%も減少してしまい、対策として黄熱病ワクチンの投与計画を進めてきたが、現在コロナ禍で中断している。
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本書で取り上げた取り組みがその後大きな成果をあげたことを知りとてもうれしく思いました。
ところが今度は彼らを黄熱病が襲い、さらにコロナ禍と次々困難な状況が訪れていますが、きっと乗り越えてくれると思います。
なおライオンタマリンには4種類いて、本書で取り上げた全身が明るいオレンジ色のはゴールデンライオンタマリンというそうです。

②「熱帯雨林をいく」
出版社の内容紹介を引用します。
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赤道直下のボルネオ島。
この島の熱帯雨林と呼ばれる森には、ものすごい数と種類の生き物がいて、複雑に関わり合いながら生きています。
60メートルもある巨木、自分の中にアリを住まわせる植物、ある花とまったく同じ形のくちばしを持つ鳥などを見ているうちに、生命の持つ不思議と力強さが感じられます。  
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たくさんのふしぎシリーズでボルネオ島について書いたものをこれまで2冊読みました。
「まぼろしの大陸スンダランド」「アリクイサスライアリ」
そして今回3冊目。
すべて著者が違います。
それだけボルネオ島が魅力的だということでしょう。
本書ではボルネオの熱帯雨林を疑似体験できます。
・高い木が光を遮っているため、常に薄暗く、気温も30℃ほどにしかならない。
・日光が弱いため下草が伸びず、道が無くても何とか歩き回ることができる。
・ただし熱帯雨林だけあって湿度はほぼ100%で蒸し暑い。
・たくさんいるはずの動物たちの姿はほとんど目にすることができない。
・多くの動物たちは木々の上の方にだけ枝が茂っている樹冠という場所に住んでいる。
・研究者は高所で観察するために木から木に渡れるように吊り橋をかけるなどして工夫しているが研究はなかなか進んでいない。
・1本の木に殺虫剤を蒔いたら、落ちてきた昆虫の95%が新種だったということもあったそう。
研究者にとって興味の尽きない地であることが良く判る一冊でした。

③「人がねむる 動物がねむる」
出版社の内容紹介を引用します。
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夜、まだ全然眠くないのに、「早く寝なさい」ってベッドに追いやられたことありませんか? 
もしずっと起きていられたら、遊び放題なのに。
でも、もしずっと眠らなかったらどうなるのでしょう? 
はたして眠っている間は、なにもしていない無駄な時間なのでしょうか?  
人や動物のさまざまな眠りをみていきながら、眠りのふしぎに迫ります。
でも、これを読んだら、面白くて眠れなくなっちゃうかも!? 
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冒頭で、動物を眠らせない実験をするとすべての個体が死んでしまったというショッキングな結果が紹介されています。
眠ることは命にかかわる重要なことだと思い知らされます。
眠っている間に脳を休め、修復するのだそうです。
そして動物たちのいろいろな眠りが紹介されています。
猛獣から身を守るために完全に眠ることができない草食動物には、左右の脳を片方ずつ眠らせるものがいるそうです。
横になってぐっすり眠ることができることって幸せなことなのですね。
また体内時計についても触れられていて、人間の体内時計は25時間なのだそう。
なぜ24時間ではないのでしょうか?
季節により昼と夜の時間に差があるのを解消するため、と説明していますがどうも納得できません。
ネットのあちこちで納得できる理由をさがしましたが見つかりません。
ちょっと不完全燃焼気味。
最後に、本書の文章に対してイラストが合っていないことが気になりました。

④「トナカイに生かされて シベリアの遊牧民ネネツ」
出版社の内容紹介を引用します。
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「自分は世界で一番幸せ」……
シベリアにトナカイと移動しながら生活をする遊牧民「ネネツ」の人たちがくらしています。
ひとつの家族で飼うトナカイは1200頭にもなります。
トナカイの肉を食べ、トナカイの皮で着るものやテントを作り、トナカイを売ってお金も稼ぐ、ネネツの家族をおいかけた写真絵本です。 
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極寒の地でネネツの家族がどんな暮らしをしているのかを知ることができました。
彼らの神話では、神は大地を創り、そこに住む人を創り、最後に人が暮らしていけるようにトナカイを創ったそうです。
内容紹介にある通り、ここでは人の暮らしの全てがトナカイに依存しています。
食事のシーンで、トナカイの生肉を食べながら、血も飲んでいます。
植物からビタミンを補給できないため、血から補給するのだそうです。
大切に育てたトナカイを売ったお金でスノーモービルや発電機のガソリンを買い、携帯電話やノートパソコンを使う姿も紹介されています。
子どもたちはヘリコプターで寄宿舎に移動して学校生活を送ったり、移動生活の間もパソコンで映画を観たりもしていて外の世界を知っていますが、家族で協力して過ごす遊牧の生活が気に入っているようです。
外の世界がどうであろうと、自分たちが幸せに思える暮らしが一番。
著者がぜひまた彼らを訪ねたいという気持ちが伝わりました。
ちなみにネネツとは人という意味だそうです。
そういえばアイヌも人という意味です。
この大雑把な言葉から、人が生きていくためには人と人以外という区別だけで十分なのだという真理のようなものを感じました。
蛇足ですがウルトラセブンに登場したノンマルトも人(地球人)という意味でした・・・。

コメント
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