今回のお気に入りは、「九十歳。何がめでたい」です。
佐藤愛子の「九十歳。何がめでたい」、現在大ヒット増刷中です。
妻から面白かったよ、と言われていました。
先日インフルエンザの予防接種を受けに病院に行った時に待合室で読んだ雑誌に本書の記事がありました。
桂歌丸や中村吉右衛門などが絶賛していました。
それもあって、ついに読むことにしました。
AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
待望の単行本がついに発売。
実にめでたい!
『九十歳。何がめでたい』というタイトルには、佐藤愛子さん曰く「ヤケクソが籠っています」。
2016年5月まで1年に渡って『女性セブン』に連載された大人気エッセイに加筆修正を加えたものです。
大正12年生まれ、今年93歳になる佐藤さんは2014年、長い作家生活の集大成として『晩鐘』を書き上げました。
その時のインタビューでこう語っています。
「書くべきことは書きつくして、もう空っぽになりました。作家としての私は、これで幕が下りたんです」(「女性セブン」2015年2月5日号より)
その一度は下ろした幕を再び上げて始まった連載『九十歳。何がめでたい』は、「暴れ猪」佐藤節が全開。
自分の身体に次々に起こる「故障」を嘆き、時代の「進歩」を怒り、悩める年若い人たちを叱りながらも、あたたかく鼓舞しています。
自ら災難に突進する性癖ゆえの艱難辛苦を乗り越え92年間生きて来た佐藤さんだからからこそ書ける緩急織り交ぜた文章は、人生をたくましく生きるための箴言も詰まっていて、大笑いした後に深い余韻が残ります。
ぜひ日本最高峰の名エッセイをご堪能ください。
=====
著者の著作を読んだのは初めて。
それなのに「かねがねお噂はお聞きしておりました」という感覚でした。
きっと著者と仲の良かった北杜夫や遠藤周作のエッセイに彼女が頻繁に登場したからだと思います。
3人の名前をキーワードにしてネット検索すると、そういえば読んだことあるなあ、という記事がありました。
エピソードをいくつか書きます。
遠藤周作はエッセイの中で「通学電車で乗り合わせる彼女は憧れの的だった」と書いていました。
このことを佐藤は認めていないそうですが、wikiを読むと彼女の母は元女優だそう。
だから美人なのか・・・。
どうやら遠藤の書いている方が正解という気がします。
北と佐藤が初めて会った時のエピソードも面白かったです。
20歳の北が25歳の佐藤に「有名な父親を持つと物書きとして大変ですね」と声を掛けたそうです。
そのとき佐藤はまじめにあれこれ答えたそうですが、後に北が齊藤茂吉の息子と知り激怒したそう。
目に見えるようで笑ってしまいました。
ただし20歳のときは北杜夫ではなく医者を目指している齊藤宗吉だったので仕方ないでしょう。
彼らの残したいろいろなエピソードから想像していたのは、美人の瞬間湯沸かし器、という佐藤愛子像でした。
そんな仲の良かった2人に先立たれた著者。
あの頃の馬力はあるのか?
楽しみにして読みました。
まずは著者が“今も”北杜夫や遠藤周作が書いていたままの人物であることが判り、楽しく読むことができました。
ただし肝心の内容はというと、期待していたほど大それたものではありませんでした。
著者が日々感じたことをエッセイに書いており、内容は多岐にわたっていました。
耳が遠くなってきたことをはじめとする、老化の大変さを訴えるくだりは、誰もが行く道であり、勉強になりました。
歳をとると抵抗力が落ちるので花粉症さえ発症しなくなるとは驚きました。
筋の通らないことへの怒りについて書かれたくだりは、納得できるものが多かったです。
特に小学校の運動会で音楽を流すと近所の老人から苦情が出るのはおかしいという話には、おおいに納得しました。
笑える話の一番は、授かり地蔵。まさか、本当に?という話です。
ナルホドという話の一番は、遠藤周作のあだ名ソバプンの意味です。
感動する話の一番は、グチャグチャ飯の話。犬好きは必読です。
呆れた話の一番は、思い出のドロボーの話。もっとも私も騙されそうですが・・・。
これらのエピソードについて、もっと詳しく知りたければぜひ読んでください。
特に優れたエッセイという訳ではありませんが、単純明快、猪突猛進の人生を歩んできた著者の歯に衣着せぬ言葉は、気づかいに疲れたあなたをリフレッシュしてくれます。
単行本よりひとまわり小さく、活字が大きく、行間もたっぷり広い。
中身だけでなく本自体もストレスなく読めるように作られているので安心して手に取れます。
佐藤愛子の「九十歳。何がめでたい」、現在大ヒット増刷中です。
妻から面白かったよ、と言われていました。
先日インフルエンザの予防接種を受けに病院に行った時に待合室で読んだ雑誌に本書の記事がありました。
桂歌丸や中村吉右衛門などが絶賛していました。
それもあって、ついに読むことにしました。
AMAZONの内容紹介を引用します。
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待望の単行本がついに発売。
実にめでたい!
『九十歳。何がめでたい』というタイトルには、佐藤愛子さん曰く「ヤケクソが籠っています」。
2016年5月まで1年に渡って『女性セブン』に連載された大人気エッセイに加筆修正を加えたものです。
大正12年生まれ、今年93歳になる佐藤さんは2014年、長い作家生活の集大成として『晩鐘』を書き上げました。
その時のインタビューでこう語っています。
「書くべきことは書きつくして、もう空っぽになりました。作家としての私は、これで幕が下りたんです」(「女性セブン」2015年2月5日号より)
その一度は下ろした幕を再び上げて始まった連載『九十歳。何がめでたい』は、「暴れ猪」佐藤節が全開。
自分の身体に次々に起こる「故障」を嘆き、時代の「進歩」を怒り、悩める年若い人たちを叱りながらも、あたたかく鼓舞しています。
自ら災難に突進する性癖ゆえの艱難辛苦を乗り越え92年間生きて来た佐藤さんだからからこそ書ける緩急織り交ぜた文章は、人生をたくましく生きるための箴言も詰まっていて、大笑いした後に深い余韻が残ります。
ぜひ日本最高峰の名エッセイをご堪能ください。
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著者の著作を読んだのは初めて。
それなのに「かねがねお噂はお聞きしておりました」という感覚でした。
きっと著者と仲の良かった北杜夫や遠藤周作のエッセイに彼女が頻繁に登場したからだと思います。
3人の名前をキーワードにしてネット検索すると、そういえば読んだことあるなあ、という記事がありました。
エピソードをいくつか書きます。
遠藤周作はエッセイの中で「通学電車で乗り合わせる彼女は憧れの的だった」と書いていました。
このことを佐藤は認めていないそうですが、wikiを読むと彼女の母は元女優だそう。
だから美人なのか・・・。
どうやら遠藤の書いている方が正解という気がします。
北と佐藤が初めて会った時のエピソードも面白かったです。
20歳の北が25歳の佐藤に「有名な父親を持つと物書きとして大変ですね」と声を掛けたそうです。
そのとき佐藤はまじめにあれこれ答えたそうですが、後に北が齊藤茂吉の息子と知り激怒したそう。
目に見えるようで笑ってしまいました。
ただし20歳のときは北杜夫ではなく医者を目指している齊藤宗吉だったので仕方ないでしょう。
彼らの残したいろいろなエピソードから想像していたのは、美人の瞬間湯沸かし器、という佐藤愛子像でした。
そんな仲の良かった2人に先立たれた著者。
あの頃の馬力はあるのか?
楽しみにして読みました。
まずは著者が“今も”北杜夫や遠藤周作が書いていたままの人物であることが判り、楽しく読むことができました。
ただし肝心の内容はというと、期待していたほど大それたものではありませんでした。
著者が日々感じたことをエッセイに書いており、内容は多岐にわたっていました。
耳が遠くなってきたことをはじめとする、老化の大変さを訴えるくだりは、誰もが行く道であり、勉強になりました。
歳をとると抵抗力が落ちるので花粉症さえ発症しなくなるとは驚きました。
筋の通らないことへの怒りについて書かれたくだりは、納得できるものが多かったです。
特に小学校の運動会で音楽を流すと近所の老人から苦情が出るのはおかしいという話には、おおいに納得しました。
笑える話の一番は、授かり地蔵。まさか、本当に?という話です。
ナルホドという話の一番は、遠藤周作のあだ名ソバプンの意味です。
感動する話の一番は、グチャグチャ飯の話。犬好きは必読です。
呆れた話の一番は、思い出のドロボーの話。もっとも私も騙されそうですが・・・。
これらのエピソードについて、もっと詳しく知りたければぜひ読んでください。
特に優れたエッセイという訳ではありませんが、単純明快、猪突猛進の人生を歩んできた著者の歯に衣着せぬ言葉は、気づかいに疲れたあなたをリフレッシュしてくれます。
単行本よりひとまわり小さく、活字が大きく、行間もたっぷり広い。
中身だけでなく本自体もストレスなく読めるように作られているので安心して手に取れます。