元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「害虫」

2011-02-03 20:00:26 | 映画の感想(か行)

 2002年作品。宮崎あおい扮する女子中学生が遭遇する不幸のオンパレード。母親は自殺未遂、そして登校拒否、さらにイジメにレイプ未遂、暴行事件に放火、そして最後には・・・・。

 この転落の過程を、一見突き放したようでいて、実は粘り着くようなタッチで描く塩田明彦演出。いわば“好きな対象をとことんしゃぶり尽くしてしまいたいけど、露骨にやると恥ずかしいのでクールなフリをしている”ってな感じか。いわば“むっつりスケベ(ロリ趣味が入っている)路線”だろう(笑)。

 ただし、ヒロインが嘗める辛酸の数々は、先に岩井俊二監督の「リリイ・シュシュのすべて」を観ているせいか、いくぶん“甘い”印象を受けてしまう。さらに、脇の出演者の顔ぶれがけっこう豪華であることが、映画の“フィクション度”を高めてしまい、即物的リアリズムに徹しきれないもどかしさを感じさせる。結果として、力作ではあるけれど、いまひとつ突き抜けられない出来に終わってしまった。

 なお、宮崎は本作で第23回ナント三大陸映画祭の主演女優賞を獲得しているが、それも頷けるほどの存在感を発揮している。そして注目すべきは、同じく若手女優のエースである蒼井優との(今のところ)唯一の共演作であることだ。二人の役柄も、何となくライバル関係を意識しているようで面白い。また機会があれば一緒に映画に出てもらいたいものだ。

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