元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「彼女はハイスクール・ボーイ」

2024-08-17 06:29:21 | 映画の感想(か行)

 (原題:JUST ONE OF THE GUYS)85年作品。まったく期待しないで観たものの、意外な拾い物であった。日本の学園マンガなどにはよくありそうな設定であるが、不思議なことに日本映画ではこんなシチュエーションのドラマは思い出せない。大林宣彦監督の「転校生」と似たところがあるが、やっぱり違う。オリジナルの題材は数多く考案されてもそれを実際に映画として企画してしまうことは、やはり邦画では難しいのであろう。それをためらいも無くやってしまうのが、アメリカ映画の思い切りの良さとも言える。

 アリゾナ州の高校に通うテリーは、ジャーナリスト志望の女生徒だ。自信満々で地元新聞の記事コンテストに応募したものの、落選を知りショックを受ける。しかもその理由が“女子だから”という理不尽なもの。ならば男子の人生がどのようなものか確かめようと、男装して次の週から隣町の高校に勝手に転校してしまう。

 彼女は初日早々にリックという親友が出来るが、彼は内気で片思いしているデボラに声も掛けられない。そこでテリーは“男らしい(笑)”アドバイスで彼をイメージチェンジさせ、デボラと接近させることに成功。しかしデボラの恋人で悪ガキのグレッグが黙っていない。かくして複雑な三角関係もどきが賑々しく展開するのであった。

 ストーリーはだいたい予想通り。最後は収まるべきところに収まるのだが、下品な描写も無く気持ちよく観ていられる。けっこう前の映画なので、ジェンダーの扱い方は現時点からすれば古風に過ぎるかもしれない。性別でコンテストの入選が左右されるというのも、かなりキツいだろう。

 しかしリサ・ゴットリーブの演出は丁寧で、男女入れ替わりネタに突入する段取りは上手く、ギャグも鮮やかに決まる。テリーに扮するジョイス・ハイザーは芸達者で、難しい役柄を違和感なくこなしているし、見た目も可愛い。ただ、彼女は実質これ一作で消えたようなので残念だ。

 リック役のクレイトン・ローナーは好演だが、この頃はやっぱり若い(笑)。デボラ・グッドリッチにレイ・マクロスキー、シェリリン・フェンといった脇のキャストも堅実だ。音楽を担当しているのが何とフュージョン界の大物トム・スコットで、流麗なメロディを奏でている。

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