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元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「インテリア」

2015-11-02 06:22:27 | 映画の感想(あ行)
 (原題:Interiors )78年作品。ウディ・アレン作品としては自身が出演していない初のシリアス・ドラマで、しかも成功作「アニー・ホール」の次に撮った映画ということから、一般ウケは良くなかった。中には“ベルイマンのモノマネに過ぎない”という評もあったほどだ。しかし、出来としては確実に水準を超えており、もちろんベルイマン作品とも全然違う。アレンのこの時期の代表作ともいえる。

 ニューヨークの山の手であるロングアイランドに瀟洒な家を構える実業家アーサーは、妻イヴとの結婚30周年を迎えていた。3人の娘はすでに独立していて、これから夫婦だけの悠々自適な生活が待っていたはずだが、ある日彼は娘たちの前で“離婚したい”と告げる。実はスノッブでプライドの高すぎるイヴに辟易していたのだ。



 彼女が出て行った後、アーサーはパールという新しい女を連れて来る。イヴとは正反対のくだけた性格の彼女に娘たちの配偶者連中は好感を覚えるが、三姉妹はその俗物ぶりに嫌悪感を隠さない。やがてイヴの自殺未遂騒ぎをきっかけに、一家は思わぬ事態に向き合うことになる。

 アレンの映画には大抵インテリぶって講釈ばかり垂れる人物が出てくるが、本作ではそのキャラクターが一家全体に横溢している。正確にはイヴこそがその雰囲気を醸し出している張本人であり、アーサーは尻に敷かれてばかりで、娘たちは母親の影響下にあるのだが、それらがまとめてドラスティックな現実の前に価値観の転換を余儀なくされるという構図は、普段のアレン映画と一緒だ。

 しかしながら描き方次第で他の作品のような喜劇になることもあれば、本作のように重厚なドラマに成り得るという、いつもながらアレンの提示する図式のフレキシビリティには感心する。

 3人の娘はそれぞれの分野で腕を振るっているように見えて、本当はすべて三流だ。それでも母親から受け継いだプライドによって現実を直視出来ない。この寒々とした状況を打破するのが、ハイ・ブロウな生き方とは縁の無さそうなパールである。彼女の出現によって、無機的だった彼らの人生にうっすらと色が付いてくることを暗示させる終盤の扱いは、作者のポジティヴな姿勢が窺われて心地良い。

 アーサーを演じるE・G・マーシャルとイヴに扮するジェラルディン・ペイジ、そしてパール役のモーリン・スティプルトン、いずれも力のこもった演技だ。ダイアン・キートン、メアリー・ベス・ハード、クリスティン・グリフィスの三姉妹も実に芸達者である。ゴードン・ウィリスのカメラによる静謐な映像、隅々まで磨き抜かれた見事な画面構成にも感服する。

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