元・副会長のCinema Days

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「ワイルド・スピード スーパーコンボ」

2019-09-15 06:59:07 | 映画の感想(わ行)
 (原題:FAST & FURIOUS PRESENTS:HOBBS & SHAW)数多く作られている「ワイルド・スピード」のシリーズは、今まで一本も観たことがなかったが、本作はスピンオフとして“単品でも楽しめる”という評判を耳にしたので、劇場に足を運んでみた。そして、後悔した(笑)。とにかく大味で、キレもコクも無い。何となく、マイケル・ベイ監督の諸作を思い出してしまった。

 米DSS捜査官のルーク・ホブスは、ロスアンジェルスで娘と静かな暮らしを送っていた。一方、MI6に在籍していた元特殊部隊員デッカード・ショウはロンドンでの優雅な日々を満喫していた。そんな2人のもとに米英双方の政府から要請が来る。内容は、消息を絶ったMI6の女性エージェントのハッティを見つけて保護せよというものだ。



 ハッティはテロ組織から危険な新型ウイルスを奪うことに成功するが、ブリクストン率いる組織の戦闘員に追い詰められ、ウイルスを自分の身体に“注入”したまま姿を消したらしい。しかも、彼女はデッカードの妹である。ルークとデッカードは犬猿の仲らしいのだが、やむなく手を組む。そんな2人の前に立ちはだかるブリクストンは、サイボーグ化によって超人的な力を手に入れていた。ルークの出身地であるサモアで、最終的な一大バトルが展開する。

 主人公2人の起床時から“仕事”に出掛けるまでを平行して描く、冒頭の処理は良かった。これならば“一見さん”でもキャラクターの設定は分かる。しかし、その後は話にならない。

 敵の組織の目的が、殺人ウイルスで世界中の無能な人間を全て抹殺し、自分達だけで理想社会を作るの何のというシロモノだが、これは今どきアメコミの映画化作品でも恥ずかしくて採用しないような子供っぽいネタだ。ハッティはウイルスが体内に入っているのだが、なぜか“時間内であれば体外へ抽出可能”という笑える設定(せめてワクチンの存在ぐらい示して欲しかった ^^;)。しかも、抽出作業中でも元気に暴れ回ったりする。

 ルークとデッカードの会話シーンはグダクダな上に長い。そしてアクション場面もそれに呼応するように、締まりが無い。どの場面もCG合成が丸分かりだ。そもそも効果的なアクションシーンというのは、リアリティが介在するギリギリのところを狙ってこそ成立する。本作のように、最初から何でもアリの脳天気な仕掛けばかりでは、観る側も鼻白むばかり。

 デイヴィッド・リーチの演出は「デッドプール2」(2018年)より随分とヴォルテージが低く、盛り上がりに欠ける。主演のドウェイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサムの演技は、まあいつも通りで特筆するべきもの無し。敵役のイドリス・エルバもただのキン肉野郎で、凄みに欠ける。ただ、ハッティ役のヴァネッサ・カービーだけは「ミッション:インポッシブル フォールアウト」(2018年)に続いて良かった。

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