元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ジュリエットからの手紙」

2011-06-11 06:43:06 | 映画の感想(さ行)

 (原題:Letters to Juliet )本当の意味での恋愛コメディとは、こういう作品のことを言うのではないだろうか。都会を舞台に、オシャレな男女が手練手管を披露してくれる映画ばかりがラブコメではない。イタリアの明るい陽光の下、大らかで楽天的な恋物語が展開して、行き着くところにすべて収まってしまう屈託の無さも、また良いものだ。

 ニューヨークで有名誌の調査員として働くソフィーは、ジャーナリストとしてデビューすることを望んでする。イタリアン・レストランを開店予定の婚約者と一緒にイタリアの古都ヴェローナを訪れた彼女だが、彼は食材の仕入れのことしか頭になく、ソフィーは単独行動を余儀なくされてしまう。

 偶然足を運んだ“ジュリエットの家”で、彼女は世界中から寄せられた大量のジュリエット宛の手紙と、それに返事を書く女性たちと出会う。彼女達を手伝うことになったソフィーは、そこで50年前に書かれた手紙を発見。返事を書いたところ、イギリスに住む差出人のクレアとその孫のチャーリーがソフィーの元にやってきて、昔離ればなれになったクレアの交際相手を一緒に探すことになる。

 元々は部外者の主人公が、長年“ジュリエットの家”で働いている者達も気が付かなかったような手紙を見つけ出すというのは“あり得ない筋書き”だし、手紙の当事者が健在でしかもソフィーと似合いのカップルになりそうな若い男(孫)を連れて来るというのだから、御都合主義もいいところである。しかし、これがリゾート気分あふれる風光明媚なイタリアの風景をバックにすると“まあ、いいじゃないか”という感じで許せてしまうのだ(笑)。映画における舞台設定の重要性を改めて認識出来る。

 主人公達が探し求める相手は、実は同姓同名が山のようにいて、足を運んではみるが空振りの連続。しかも、それら同姓同名オヤジどもが“人違いだとしても、そんなことはどうでもいい。一度ワシと付き合ってみないか”とばかりにクレアを口説き出すのには笑った(さすがイタリア人だ)。しかも、クレアに扮しているのが老いたとはいえ色香の残るヴァネッサ・レッドグレーヴなので、妙に説得力があったりする(爆)。さらに運命の相手を演じているのが彼女と実生活でもパートナーのフランコ・ネロだったりするので、興趣は増すばかりだ。

 ソフィー役のアマンダ・セイフライド(正式な発音はサイフリッドらしいけど)は、アメリカ人の若手女優にしては珍しく可愛く、画面に彩りを添えている。チャーリー役のクリストファー・イーガンとヘタレな婚約者を演じるガエル・ガルシア・ベルナルもイイ味出しているし、コルビー・キャレイが歌う挿入曲も抜群の効果。とにかく、観賞後の印象も良好な旨味のあるラブコメディで、幅広い層に奨められる。なお、監督のゲイリー・ウィニックは本作を撮り上げた後、今年若くして逝去してしまった。実に惜しいことをしたものだ。

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