元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ランダム・ハーツ」

2011-06-12 06:53:39 | 映画の感想(ら行)
 (原題:Random Hearts )99年作品。パートナーを失った男女同士の逢瀬を描くシドニー・ポラック監督作。ワシンシンのベテラン警官の愛妻が飛行機事故に遭って死亡。ところが彼女は出張を偽って不倫旅行の真っ最中だったことが分かる。不倫相手の妻と知り合った彼は、共に真相の究明に乗り出す・・・・という話だ。

 ストーリーラインは何のひねりもなく凡庸もいいとこで、当時向こうの評論家から叩かれたのもわかるが、私としては「凡作」として片付けるのは忍びない。作品の雰囲気は非常に好きである。ガチャガチャした小児的な映画が多いアメリカ映画には珍しく落ち着いたタッチで、しかも演出があまりダレていない。

 主演の二人(ハリソン・フォードとクリスティン・スコット・卜ーマス)の演技は悪くないし、ワシントンの街の風景や紅葉が映えるニューハンプシャーの森の描写などが清涼な筆致で捉えられていて好感を持った。撮影はフィリップ・ルースロで、相変わらず的確な仕事ぶり。そしてデイヴ・グルーシンの音楽が実に効果的で、サントラ盤が欲しくなった。

 なお、本作は正月映画の目玉の一つとして公開された。こういう地味なラブストーリーが興業のかき入れ時に上映されたというのは今から考えるとあり得ないが、キャストのネームヴァリューがまだ重視された時代だったのだろう。しかし客席はガラガラだったことを思い出す。マーケティング面ではあまり良い番組選定とは言えないようだ。

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