元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「猫の恩返し」

2018-01-12 18:57:25 | 映画の感想(な行)

 2002年製作のアニメーション作品。他愛のない話なのだが、単純明快な分、同じスタジオジブリ作品としては前年の「千と千尋の神隠し」よりは好きだ。上映時間が1時間15分と短いのも良い。

 主人公ハルは17歳の女子高生。おとなしく優柔不断な性格で、周りに流されてばかりの、あまり充実しているとは言えない日々を送っている。ある日、彼女はトラックに轢かれそうになった猫を助けるが、実はその猫は猫の国の王子ルーンだった。

 そのお礼に猫の国に招待されるハルだったが、豪勢な歓迎ぶりにすっかり上機嫌。“このまま猫になってもいいかもしれない”思ってしまう。ところがその瞬間、ハルの姿は猫になっていた。さらに、王子と無理矢理結婚させられそうになる。そこに現れたのがバロンと名乗るヒーロー然とした猫。メゲそうになるハルを叱咤激励しつつ、彼女を元の世界へ返そうとする。柊あおいによる漫画の映画化だ。

 ストーリーが一直線であり、かつコンパクトにまとまっているので、ストレス無しにスクリーンに向き合える。ヒロインは冒険を通じて自分を見つめ直し、ちゃんと“成長”するという、文句のつけようのない展開だ。主人公の女子高生ハルは声を担当する池脇千鶴のキャラクターも相まって実に好ましい印象を残すが、おそらく実際にはこんな子はいない。作者の願望だろう(笑)。

 監督の森田宏幸はこれ以降の演出作はないが、的確な仕事をこなしており、いつかまた監督をしてほしいと思う。池脇以外の声の出演は、袴田吉彦に丹波哲郎、前田亜季、山田孝之、佐藤仁美、岡江久美子、渡辺哲と、かなり豪華。野見祐二の音楽とつじあやのの主題歌も良い。それにしても、ヒロインの父親がいないことがどうしても気になる。何か作者の狙いでもあったのだろうか(うーむ ^^;)。
コメント
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