元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ユリョン」

2013-02-17 08:43:01 | 映画の感想(や行)
 (英題:Phantom, the Submarine)99年韓国作品。精神錯乱に陥った上官を射殺して死刑に処せられたはずの将校が送られたのは、軍の核兵器基地。そこに集められた男たちは極秘の任務を遂行するために、表向きは“死んだこと”になっている。そのミッションとは、ロシアから運ばれた原子力潜水艦“幽霊(ユリョン)”に搭乗し、日本領海へ侵入することだった。監督は「ナチュラル・シティ」などのミン・ビョンチョン。

 かなりトンデモな設定で、下世話な反日感情を狙って製作しているのがミエミエだが、意外にも面白い。全編を覆う緊張感と、破綻を見せない骨太な演出により、最後まで退屈せずにスクリーンに対峙していられる。特に潜水艦同士の海戦シーンの迫力は、ハリウッド映画など軽く上回る。



 それはつまり切迫度の違いってことだろう。頭の中だけで思いついたアイデアを大金かけて商品にしただけ(例:「クリムゾン・タイド」等)のハリウッドと、今も準戦時体制にある韓国とでは求心力が違う。だから「韓国五千年の歴史」とか「今は日本と戦争する準備ができていないからダメだ(準備が出来れば日本と戦争してもOK)」なんていう失笑してしまうような無茶苦茶なセリフにも違和感がそれほどなくなってくるのだろう。

 チェ・ミンスやチョン・ウソン、ソル・ギョングといった面構えの良い役者を集めているのもポイントが高い。
コメント
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