元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS」

2013-02-01 06:45:03 | 映画の感想(さ行)
 2001年作品。乖離性意志伝播過剰障害者、通称“サトラレ”と呼ばれる、自分が思っていることを周りの人々に思念で伝えてしまう特異能力の持ち主が一千万人に一人という確率で存在するという設定。しかも、例外なく高い知能を持つ彼らを、国家は保護している。その中の一人である若い男を監視するために派遣された女性自衛官が、意外な出来事に直面するという話だ。佐藤マコトによる同名漫画の映画化。

 突っ込みどころ満載の話である。“サトラレは自分がサトラレであることは知らない”なんて、そんなすぐバレるようなウソには笑うしかないし、主人公二人がバカンスに出かけた無人島に思わぬ人物がいた・・・・なんて展開には超脱力。上映時間もちょっと長い。



 でも、観る価値はないのかというと、さにあらず。国家戦略が云々というネタをバックにしながら、話を主人公と祖母との関係に絞ったところが高得点。しかも、何のためらいもなく“お涙頂戴路線”に邁進しているのも実に賢明。つまり“ポイントはここなのですよ”という意識がハッキリしており、他のウソっぽい設定を小道具扱いしている割り切り方だ。

 もとより本広克行監督はテンポのいい演出だけが身上の“軽い奴”ではなく、実は“泣かせ”が大好きなオーソドックスなプログラム・ピクチュア派であることを考え合わせると、今回の作り方はまことに納得できるものがある。主演の安藤政信をはじめ、鈴木京香、八千草薫、寺尾聰といった出演陣もソツのない好演だ。
コメント
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