元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

ソラリアシネマが閉館。

2011-12-27 06:32:56 | 映画周辺のネタ

 2011年の11月末をもって、福岡市中央区天神にある映画館・ソラリアシネマが閉館した。同映画館は元々、スケート場などを備えたイベントスペース「福岡スポーツセンター」の中に1956年に開館した名画座「センターシネマ」の流れをくむ劇場だ。89年に「福岡スポーツセンター」の跡地に建てられた大型商業ビル「ソラリアプラザ」の中に、3スクリーンを擁してオープンした。

 ソラリアプラザ自体がホテルと合体したような建物であるせいか、ソラリアシネマの待合スペースはホテルのロビーを思わせる佇まいで、従来館ともシネコンとも違う雰囲気を醸し出していた。3つの劇場の中で一番大きいソラリアシネマ1はオープン当初はボディソニックを配備した客席も用意されるなど、他の映画館との差別化を図っていたようだ。上映される映画は東宝系のメジャーな作品が中心であった。

 また、ソラリアシネマ2はセンターシネマ時代を引き継いで名画座として運営され、ソラリアシネマ3は単館系作品と、それぞれが役割を振られていて機能的なマーケティングが特徴的だった。ソラリアシネマ1はアジアフォーカス福岡国際映画祭の会場としてもよく使われ、県外の映画ファンにも知られるところとなった。

 待ち合わせまでの空き時間やショッピング・食事の後に気軽に立ち寄れるスポットとしても利用されていたが、東宝系との契約が切れた近年はなかなか客を呼べそうな番組を組めなかったようだ。そして2011年に博多駅ビルの大々的リニューアルにより天神地区の集客力が落ち、特にソラリアプラザはその影響をもろに受けて入場者数が低減したことが撤退の呼び水になったと思われる。

 2011年にはシネ・リーブル博多駅が営業を停止し、その前にもミニシアターの閉館が相次いだせいで、福岡市全体での上映本数が少なくなっているような印象を受ける。特に今は正月番組のかき入れ時であるにも関わらず、観たい映画が驚くほど少ないのもそのせいであろう。

 なお、2012年1月には「TOHOシネマズ天神 ソラリア館」としてリニューアルオープンするらしいが、要するに近くにある天神東宝と合わせたシネコンを形成するということで、ソラリアシネマ時代のような多彩な番組編成はあまり期待できそうもない。だが、少しは昔の「センターシネマ」を想起させるような旧作の上映も検討してもらいたいものだ。またそうすることによって、他のシネコンにはない独自性と固定客を獲得できるはずである。
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