元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

石原都知事の「天罰発言」について。

2011-03-20 13:30:31 | 時事ネタ
 去る3月14日、石原慎太郎都知事が今回の大震災について「津波は天罰」などという発言をし、大顰蹙を買った。さすがに後日謝罪したが、謝れば済む問題ではないと思う。政治家、それも首長という地位にある者が、いくら口が滑ったとはいえ斯様な暴言を吐くこと自体、適性を欠いていると判断されても仕方がない。

 マスコミ等は「天罰とは被災者に対して失礼だ!」との論調でこの発言を批判しているようだが、石原の言い分の不適切な部分はそれだけではない。むしろ別の箇所にある。それは「日本人のアイデンティティーは我欲になった」というくだりだ。

 あれだけの大災害に遭遇しても、現地では略奪や暴動のひとつも起こらず、整然と救助を待つ姿勢に各国のメディアが驚きと賞賛を持って報じている。こうした被災者たちのどこに「我欲」があるのだろうか。また、普段は社会問題に無関心に思えた若年層が、積極的に募金や献血に応じている。彼らが「我欲」にまみれているなどとは、断じて言わせない。

 石原は「アメリカの国家的アイデンティティーは『自由』。フランスは『自由と博愛と平等』。日本は無い」と強調しているが、何を眠たいことをほざいているのか。日本にはそれらに匹敵する共助の精神がある。自国を貶めるのもいい加減にして欲しい。

 それと「減税という耳障りのいい言葉で釣られて国民が歓迎するという心情が、今の政治を曲げている」という物言いに至っては、あまりの馬鹿っぷりに脱力するしかない。今日本経済に一体何が必要なのか。それは、不況を克服するにはマクロ経済政策である。具体的には減税を含む財政政策だ。減税は「耳障りがいいだけの言葉」ではない。今最も必要とされている施策なのだ。

 名古屋市で既成政党が負けたのは、減税を掲げた新興勢力の主張に対抗出来なかったからだ。つまりは市民の視点で政治を行っていない連中に対する鉄槌が下ったわけである。

 石原は都民の視点で政治に臨んでいるのか・・・・都民ではない私が迂闊なことは言えないが、少なくともオリンピックの誘致や新銀行の運営など、あまり役にも立たないことに執心していたようにしか見えない。

 日本人ほど「我欲」から遠い民族はいないと思う。結局「我欲」に拘泥しているのは一般国民ではなく、石原をはじめとする為政者や財界や官界のお偉方だけではないのか。天罰が下るべきは今回の地震で被害を受けた人々ではない。石原を筆頭とする「奴ら」である。

 さて、震災の復興の財源として、またぞろ増税論が出てくる気配がある。この期に及んで消費税増税案なんかを採用したら「被災した人たちは困窮しています。だからみんなも一緒に困窮しましょう」というアホっぽい結果にしかならない。だいたい、税金というのは徴収するまで時間が掛かる。税率をアップさせて、いろいろとシステムや段取りを整えて、それから徴税して復興に回すのでは間に合わない。政府貨幣発行や日銀の国債買い入れなどで資金を手っ取り早く調達し、早急に施策に投入するのがベストである。

 とにかく今回の石原の発言により、完全に「上から目線」の政治家が存在していることが明らかになった。石原は次の知事選にも出るらしいが、今回の失言(本音?)をリカバリーするような態度(被災地への具体的な積極支援など)を直ちに表明しない限り、当選は覚束ないと言って良いだろう。
コメント (10)
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