2002年作品。東京で暮らす20代の女性6人を主人公にしたグランドホテル形式のドラマで、CMディレクター石川寛の監督デビュー作。フィルム撮りではなかったので開巻早々に鑑賞意欲を喪失した。内容の方も弱体気味。“こうすれば自然な演技になるだろう”とか“こんな映像にすれば観客が気持ちよくなるだろう”とかいう下心がミエミエの“癒やし系もどき作品”でしかない。
何より困ったのは、ドキュメンタリー・タッチを狙っているわりには各エピソードの構成が作為的なこと。本上まなみ演じる売れない女優などその最たるもので、ダサい服装と髪型、そしてヘンにオドオドした性格設定は、ワザとらしくて見ていられない。ランパブ嬢に扮している板谷由夏と井川遥の扱いも凡庸そのものだ。
唯一まともだったのは高木郁乃演じる喫茶店のウェイトレスと雇われマスターとのやり取りで、他愛のない会話を固定カメラで淡々と撮っているだけだが、映画の中でここだけが日常的な時間が流れていてホッとする(キャストが無名のせいもあるだろう)。なお、2時間7分という上映時間は長すぎ。あと30分削ったら少し違う印象を持ったかもしれない。菅野よう子の音楽は良好。