元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「フォロウィング」

2010-06-20 06:45:02 | 映画の感想(は行)
 (原題:Following )98年イギリス作品。今や「ダークナイト」のヒットでハリウッドでもビッグネームになったクリストファー・ノーラン監督が98年に撮ったデビュー作。1時間10分の小品だが、ストーリーテリングが冴えまくり、まるで良質の短編ミステリーを読むような気分を堪能させてくれる。

 創作のヒントを得るため見知らぬ人々への尾行を繰り返す作家志望の青年(ジェレミー・セオボルドが、尾行相手の怪しい男に感づかれたことで殺人事件に巻き込まれて行く・・・・という土台のストーリーを部分ごとに時系列をバラバラにして並べるという手法はノーラン監督の出世作「メメント」と共通するが、「メメント」のような“特殊な設定”に頼らず、まっとうな犯罪ドラマのモチーフを積み上げるだけでミステリアスな雰囲気を醸し出す作者の手腕には瞠目させられる。

 加えて16ミリのモノクロ画面がリアリティを倍加。「ユージュアル・サスペクツ」と比べる向きもあるようだが、あれよりずっとヴォルテージが高い。登場人物の面構えやロンドンの下町の描写も印象的で、見応えのある一編に仕上がっている。
コメント
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