最近井川遥主演で映画化されたが、私は観る気も起こらなかった。なぜなら、この原作の持つスケールの大きさ、そして途方もない気持ちの悪さは、そう易々と映像化できるものではないからだ。
過疎に悩む宮崎県の片田舎で、遺跡から湧き出た水を商品化する企画が持ち上がる。しかし水を飲んだ人間が次々と人間離れした食欲を示した後に痩せ衰えて死亡するという怪事件が発生。民俗学者である主人公がその謎に挑む・・・・という筋書き。とにかく、出てくるキャラクターがどれも濃くて、かつまた気色が悪い(笑)。
特に主人公の恋人の性格設定は、作者には女性に対し何か歪んだコンプレックスでもあるんじゃないかと勘ぐるほど常軌を逸している。こんなヒステリックな女とよく付き合っていられるなと思ったら、よく見ると主人公も相当ヘンな奴だったりする(爆)。事件の鍵を握る少女の性格もかなりオカシイし、何より餓鬼に成り果てた人間どもの描写が強烈。さらに終盤に正体を現すクリーチャーの造形に至っては、こりゃもうグロの極致である。本気で映像化しようと思ったら、監督に若い頃のサム・ライミかピーター・ジャクソンあたりを持ってこないとダメだろうね。
ただし決してキモいだけの低劣小説ではない。パワーあふれる筆致に最後まで引き込まれるし、ネタとして古事記の一節を引用し、それに独自の解釈を加えているところは実に興味深かった。
作者の田中啓文は普段オチャラケた読み物ばかり手掛けている物書きらしいが、本書を読む限り、そのクソ力ぶりは侮れないと感じた。まさに悪趣味全開の大作で、ホラー好きには絶対のオススメだ。
過疎に悩む宮崎県の片田舎で、遺跡から湧き出た水を商品化する企画が持ち上がる。しかし水を飲んだ人間が次々と人間離れした食欲を示した後に痩せ衰えて死亡するという怪事件が発生。民俗学者である主人公がその謎に挑む・・・・という筋書き。とにかく、出てくるキャラクターがどれも濃くて、かつまた気色が悪い(笑)。
特に主人公の恋人の性格設定は、作者には女性に対し何か歪んだコンプレックスでもあるんじゃないかと勘ぐるほど常軌を逸している。こんなヒステリックな女とよく付き合っていられるなと思ったら、よく見ると主人公も相当ヘンな奴だったりする(爆)。事件の鍵を握る少女の性格もかなりオカシイし、何より餓鬼に成り果てた人間どもの描写が強烈。さらに終盤に正体を現すクリーチャーの造形に至っては、こりゃもうグロの極致である。本気で映像化しようと思ったら、監督に若い頃のサム・ライミかピーター・ジャクソンあたりを持ってこないとダメだろうね。
ただし決してキモいだけの低劣小説ではない。パワーあふれる筆致に最後まで引き込まれるし、ネタとして古事記の一節を引用し、それに独自の解釈を加えているところは実に興味深かった。
作者の田中啓文は普段オチャラケた読み物ばかり手掛けている物書きらしいが、本書を読む限り、そのクソ力ぶりは侮れないと感じた。まさに悪趣味全開の大作で、ホラー好きには絶対のオススメだ。

