Weblog喫茶 モンブラン

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はしか流行について考える:(1)なぜ高校・大学で流行しているのか?

2007-05-27 17:02:52 | ノンジャンル

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。
しゅんけい白熱の運動会の記事は、親戚の不幸の件が一段落してから書かせていただくことにしますね。

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このところ連日、ニュースになっている「はしか」(麻疹)の流行。
関東圏を中心としたあちこちの大学・高校などで感染者が出て、大学が全面休講になったりしています。

今朝の新聞ではこのような記事を見ました。


<はしか免疫検査ピンチ、試薬不足で中止相次ぐ>

 若年層を中心としたはしかの流行で、免疫の有無を調べる「抗体検査」が試薬不足から実施が難しい状態になっていることが26日、分かった。
検査依頼の殺到が原因で、試薬が底をついた検査会社は相次ぎ受け付けの一時中止を医療機関に通知している。流行の封じ込めに影響する可能性もある。

 はしかの主な抗体検査は「HI法」「EIA法」「PA法」など。
いずれも4月以降の流行の拡大で検査会社の試薬が在庫不足に陥り、メーカーからの供給も追いつかなくなっている。特にミドリザルの血液成分を使って造られる「HI法」の試薬は原材料不足が深刻という。

[2007年5月27日/日本経済新聞 朝刊] (NIKKEI NET より引用)


私は診断薬メーカーに勤めていたことがあるので、(専門家のようなことは書けませんが)今日はこの話題について取り上げてみようと思います。

まず、
「なぜ、はしか(麻疹)が大学生を中心に流行っているのか?」について。

国立感染症研究所の2006年度のデータに、
年齢別/年齢群別の全国「麻疹予防接種率」というのがあります。

麻疹ワクチンは誕生後1歳過ぎから接種することができますが、
「1歳になったらすぐ接種させる」という人は2006年度でもさほど多くなく、
1歳児の間の接種率は80%弱で
だいたい2歳児のうちに、ようやく接種率が全体の90%まで上がる、という感じです。

昔、「MMRワクチン」というのがあり、「麻疹+風疹+おたふく風邪」の混合ワクチンで、
1988年~1993年まで「単独ワクチンをそれぞれ接種するより(ワクチンメーカー、医師、接種対象者とも)負担や手間が少ない」ということで、選択で接種が推奨されました。

MMRワクチンを構成する3種のワクチンのうち、おたふく風邪のワクチンによる副作用事例が問題になり、やがてMMRワクチンは93年に中止になったのですが、
中止前後の数年間には、ワクチンの副作用事例に対する不安感からか
「(単独・混合ワクチンを問わず)麻疹ワクチンを全く接種していない」という未接種者の割合が10%を越えており、
他の年代の未接種者率がおおむね5%前後であるのに比べて、明らかに多いのです。

この子供たちが今いくつかというと、
現在はしかが主に流行している年齢層(高校~大学生)とほぼ一致します。

つまり、今の大学や高校でのはしか流行は、麻疹ワクチンの接種率がこの年齢層で有意に低かったことが、主な要因の一つとして言えると思います。


次に、はしかの抗体検査試薬の話を書こうと思っていましたが、
ここまででずいぶん長くなってしまったので、それはまた別の機会に・・・。(^^;;