ニューヨークの想い出

ニューヨーク生活20年間の想い出を書いていこうと思います。

1085、ルチア

2011年03月07日 | Weblog
昨日、上野の東京文化会館で行われた藤原歌劇団公演の「ルチア」を見に行ってきました。
知り合いが何人か出演し、その一人はルチアの侍女「アリーサ」を演じていました。
前回見に行った「701、カルメル会修道女の対話」では最年長の修道女を演じました。

ベルカント・オペラの代表作としてもっともポピュラーで上演機会の多いのがドニゼッティ作曲の「ルチア」です。
タイトルロールによる長大な“狂乱の場”は最大の聴き所でありコンサートなどでも取り上げられる名歌ですが、そのほかにも各主役のアリア、二重唱、合唱曲、圧巻の6重唱など、イタリア・オペラの醍醐味を存分に楽しめる傑作です。
あらすじ
17世紀のスコットランド。
エルガルドは父の仇をとろうとしているうちに仇敵エンリーコの妹ルチアと恋に陥ってしまう。それを知り、エルガルドの反撃を恐れたエンリーコは家名復興と政治的地位のため、金持ちのアルトゥーロの権勢を頼みに妹との政略結婚を企てる。
一方、ルチアへの愛と父の復讐への思いの狭間でエドガルドは悩むが、ルチアと愛を交わし、任務のためフランスに旅立つ。アルトゥーロとの結婚に応じないルチアに苛立ったエンリーコは、ルチアに偽の手紙を見せてエルガルドの心変わりを信じさせ、結婚契約書に署名させる。
急を聞きつけて帰国したエドガルドが婚礼の場に現れるが、ルチアの署名のある契約書を示され、怒りと絶望のうちに城を去る。
婚礼の宴が繰りひろがれているところに、発狂して花婿を殺害したルチアが登場する。エドガルドとの幸せな結婚の幻想に包まれ一人歌う(狂乱の場)。ルチアの真意を知らない失意のエルガルドは父の墓前で死を決意する。そこにルチアの死が報じられる。天国で結ばれることを願いながら、エルガルドは自らの胸に刃を突き立て、ルチアの後を追う。
(プログラムより)

「ルチア」を初めて見ましたがストーリーは「ロミオとジュリエット」に似ています。
原作「ラマムーアの花嫁」は実際にあった話を基に書かれた恋愛悲話で、ドニゼッティはこれをオペラ化するときキリスト教の聖人で殉教した「ルチア」の名を冠しています。
「カルメン」や「蝶々夫人」など、悲劇が多いオペラですが「ルチア」も悲劇でした。
ハッピーエンドのオペラもたくさんあります。
1078、コジ・ファン・トゥッテ」を参照

「ルチア」は悲劇と書きましたが、見終わって感じたことは、愛の完結という観点から見てこれはある意味、ハッピーエンドと言えるかもしれません。
キリスト教の教義はよく知りませんが、天国で永遠に結ばれる至極の愛で、魂の昇華を感じました。
2時間40分(20分の休憩を含む)の公演時間の7割はルチアの独唱で、他の出演者は「おまけ」という感じです。
狂乱した場面で歌う「狂乱の場」は20分間一人で歌い続け、高度なテクニックを駆使し、フルートと一体となったコロラトゥーラは絶妙です。
狂乱したルチアには喜びの笑みを感じました。(実際は悲壮な場面)
(以上は素人の感想)

マリアカラスの「 Regnava nel silenzio
オペラの前半で歌われるこの曲はよく耳にしますが、ルチアが歌うアリアとは知りませんでした。