咲とその夫

 定年退職後、「咲」と共に第二の人生を謳歌しながら、趣味のグラウンド・ゴルフに没頭。
 週末にちょこっと競馬も。
 

映画「闇の狩人」・・・

2012-10-24 22:47:00 | レビュー
 昨日、小説「闇の狩人」についてさすがは池波小説と思い、あらましや独特の池波作品に触れた感想などを記している。そのブログを書き綴ってから、インターネットで「闇の狩人」に関して検索していると、1979年松竹映画制作の作品があると分かり・・・その日の内にTUTAYAのレンタル店に駆け込んだ。

 60歳以上の我々にとって、旧作は1本150円で観ることができるから、ついでに他の作品も借りた。すると、60歳以上のキャンペーン期間中とかで1本が無料。年金生活者の身には、ありがたい制度であると思わず喜ぶ・・・久しぶりに出向いたもので。

 映画の原作は、同名小説の池波正太郎氏である。余談であるが、23日付の産經新聞「産經抄」に池波正太郎氏の話が掲載されており、嬉しくなってその欄を楽しく拝見した。

 さて、この映画の主人公は、香具師(やし)の元締・五名の清右衛門(仲代達矢)のようである。そして、谷川弥太郎(原田芳雄)を助けたのは、盗賊の小頭・雲津の弥平次ではなくて、清右衛門の代貸を勤める河津の弥市(梅宮辰夫)であった。

 つまり、小説と大きく違うのは、谷川弥太郎が主人公で盗賊の小頭・雲津の弥平次がとてもいい脇を固めるところが大幅に変えてあること。残念なことに小説の中で、とてもいい雰囲気を出している弥平次も盗賊仲間も一切出てこない・・・脚本で大幅に変更。

 また、剣の技は最高であるが、記憶喪失の男前のやさ男でしかも礼儀正しい弥太郎が、映画の方では荒々しい雰囲気の浪人として描かれている。でも、荒々しいの雰囲気となると、故原田芳雄さんがピッタリの熱演。

 であるが、原作のイメージから大きくかけ離れており、ちょっとがっかりしながら観た・・・。もっとも、映画の方を単なる娯楽作品として、受け止めればいいのである。

 小説の方は、記憶喪失の若い浪人が仕掛人として生きながら闇の過去を探り、盗賊の頭目の死による跡目相続争いと若い浪人を支援する盗賊の小頭。同じく香具師の元締同士の縄張り争いと跡目相続などの話が、交錯しながらサスペンス風に描かれている。

 そのため、読者をグイグイとその見えない闇に引き込むのである。

 ところが、映画の方は、香具師の元締同士の縄張り争いと仕掛人としての裏社会、さらに老中田沼意次(丹波哲郎)が権勢を奮い腐敗した時代、浪人・谷川弥太郎が奉公していた北前藩のお家騒動と蝦夷地の裕福な資源を欲する老中田沼意次に取り入った元北前藩の家老・下国左門(JJサニー千葉)と五名の清右衛門の駆け引きなどが中心となっている。

 それぞれの力を誇示するため、裏切りも横行する裏社会の人間模様。最後は主人公・五名の清右衛門と元家老・下国左門の決闘・・・。五社英雄監督独特の派手なバイオレンスが炸裂する画面構成、映画の筋書きよりも映像描写に凝った娯楽作品として楽しむ映画であると思った。

 原作とはかけ離れた物語構成となっており、谷川弥太郎を演じている故原田芳雄さんの渾身の演技を見ることができる作品との評価もある。当方の本音のところは、ちょっと物足りない映画と思った。原作を大事にした映画であったら、さらに違った作品になったのではないかと思いつつ見終った。(夫)

[追 記]~あらすじ~
 徳川十代将軍家治の世、首席老中田沼意次が幕政をあやつり、後に田沼時代と呼ばれる金権汚職の世を作りあげていた。そして、江戸市民生活の裏面には、金で殺しを請負う“闇の狩人”という組織があった。天明4年冬、浪人谷川弥太郎は河津の弥市の手引きで、白金の徳三を斬った。闇の稼業の一方の旗頭、五名清右衛門が競い合う徳蔵を消す仕掛けであった。弥太郎は、五名の代貸を勤める弥市に、谷川に落ち過去の記憶を失って彷徨っていたのを助けられ、谷川弥太郎と名づけられたのだ。その仕掛け以後、五名は弥太郎を片腕として雇い入れた。
(出典:goo映画公式HP 抜粋)





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コメント (2)
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