昨日は翻訳中の幾何学本の関係者が集まった会合、というか忘年会で、話題は図形学なので私はもっぱら聞いているだけでした。編集部からの参加者に聞くこと聞いて、特に二次会なども無く解散。ま、ちゃっかりいくつかの懸案事項に関する意見を聞き出しましたが。
少し前に理科年表という、国立天文台が毎年編纂している天文・物理を中心とするデータ集を買って、ふんふんと読んでいたら、そう、最近、メートルやキログラムなどの国際単位に大幅な改訂があったのを思い出しました。
もうすでに手軽な解説本も売られていると思います。私はあまり深く知らなかったので、それっぽい、新SI単位と電磁気学、というタイトルの本を買ってみました。確かに新単位への移行の話題から始まるのですが、中間部は現代の電磁気学の説明で、そこが妙に力が入っている。ぶっ飛んだのは、ガウス単位系の跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)、という題のコラムです。
電磁気学にはいくつかの単位系があることは、私のレベルでも知っていて、従来は実用計算ができるのならどれを使っても良い、みたいな感じでした。しかし、これは違う。
スカラポテンシャルとベクトルポテンシャルの、いわゆる4元ベクトルと1形式の使用を強く勧めていて、単位系の取りようによっては有害な知識となり得ることまで指摘しています。
突然どうした、と私のように思った方もおられるかもしれません。
そうはっきりとは書かれていないのですが、特殊相対性理論と標準模型レベル(原子と核)の量子力学との整合性が無い電磁気学の理論は避けて欲しい、の趣旨のようです。
物理学はすでにマクロでもミクロでも重力理論との整合性に話題が移行しつつあり、その前段階でつまずいている暇など無い、みたいな感じ。
元々、電磁気学はニュートン力学と相性が悪く、ここの追求で特殊相対性理論が出てきた経緯があります。量子力学は最初は全く違う物理の分野に見えたそうですが、今では特殊相対性理論との整合性は当たり前のようです。